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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§92 入試数学の対策アドバイスって?!・・・VOL.1
<入試問題を解くと・・・>

「入試数学の対策アドバイス」を述べている文面を幾つか拾ってみる。

1.○○の□のように、方程式を作るときの考え方を問う問題は、数学的思考力が問われる内容 になっている。過去問にあたって、日頃から思考力と応用力、記述力を十分養っておきたい。

2.図形問題の配点の割合がかなり高い。1番、2番の図形は基本の問題が中心なので、ここでい かに失点を防ぐかが合否の分かれ目になりそうだ。

3.教科書レベルの基礎力と正確な計算力を養っておくとともに、グラフや図形の問題では、深い 理解力をつけておきたい。過去問に多くあたるなどして、解く力を高めておこう。

4.ユニークなテーマを題材にした長文問題は、内容を把握するだけで一苦労するので、過去問に あたって読解力をつけておこう。関数・図形は難問の類はなく、基礎力の充実を。

5.全範囲の基礎力と計算力を徹底させることはもちろん、方程式、関数、図形に関しては、多く  の問題にあたり応用力を身につけておくこと。証明問題は、高水準の問題もこなしておこう。

6.全般的な基礎力があれば1番は出来る筈。ここでのケアレスミスには要注意。残りの関数・図  形では、時間の配分に注意して、問題の題意を正確にとらえ確実に解いていくとよいだろう。

7.9番の(2)、最終の10番は、正確な読み取りと柔軟な対応力をためされている。公式の丸暗記 では解けない内容だ。この種の問題は、あせらずじっくり取り組むことが大切。

8.基礎力をしっかり身につけておくことはもちろんだが、関数、図形の分野では、的確な読解力と 柔軟な思考力を日ごろから養っておきたい。三角形の相似に関する問題はよく出されるのでマ ークしておく。

 うーん、もっともらしい文句が羅列されている。それも版で押したような決まり文句が。確かにそうなんだけど、果たしてこれを生徒は実践できるのかな? そもそも2,3行で対策アドバイスなんぞを述べること自体が、無理があるというか矛盾に満ちているわけだけど、それにしてもこの抽象的な指摘、わかったようでさっぱり問題解決に至らないアドバイスとは、一体どういう感覚と思慮のもとに書いているんだろうか、と思ってしまう。

 これをもし読むとしたら、その時期はいつか? 早くとも公立入試の2ヶ月前? いや、実際平均するなら1ヶ月前ぐらいだろう。過去問にあたるのは当たり前として、「日頃から思考力と応用力、記述力を十分養っておきたい。」とは、どういうことだろう。日頃から、という言葉にひっかかる。

 別に揚げ足をとるつもりは毛頭ないのだが、入試前は、「日頃」ではないでしょう。また逆にこの言葉は、思考力と応用力、記述力を十分養っておくのは、入試対策の時期に来て急にするものではなく、また出来るものでもなく、日頃の学習の中にあるということを言っているに過ぎない。

 一方では基礎力の大切さを謳い(これは常識)、他方では過去問に多くあたって、読解力と深い理解力をつけ、また応用力、柔軟な思考力を養っておこう、と、学校の授業ではとんとそのような勉強も指導もない事を平然と書いている。

 このようなことが自分の勉強に取り入れて実践できる生徒は、私の目から観て、全体の5%にも満たないであろう、と“日頃より”痛感している。たかだか1ヶ月やそこらで思考力や応用力を伸ばせるはずがないではないか?! このアドバイスは95%の生徒の数学の学力と実態を視ずに、ひょっとしてごくごく一部の数学が出来る生徒を対象に助言しているのではないのだろうか、と勘繰りたくもなる。

「時間の配分に注意して、問題の題意を正確にとらえ確実に解いていくとよいだろう」ではなくて、問題の題意を正確に捉えられない生徒が殆どなので、それに対してどうしたらよいか、確実に解いていく力のない生徒が多いので、どういう練習をしたらよいか、などが本当のというか、もう少し親切なアドバイスだと思うんだけど。

「あせらずじっくり取り組むことが大切」ではなく、あせらないようにはどうするんだ、じっくり取り組むにはどういう方法があるんだ、という具体的説明、ヒントが、ただの1行も載っていない。「過去問に多くあたるなどして、解く力を高めておこう」でも、過去問を多くあたっても、その具体的作業が間違っていれば、解く力なんて、はっきり言うがちっとも高まるものではない。

 ここに1問、と或る県の2002年度公立入試図形問題(大問4問の4番目)とその解答を詳しく載せておきます。制限時間15分(これが一つの大きな課題であり、プレッシャーとなりますが)として、もし生徒、ご父兄の皆様のなかで、よしやってみたれ、と思う方は解いてみてください。また、そうでない方も、解答だけはわからずとも雰囲気、イメージだけは掴んでくだされば、今後何か
の参考になるかもしれません。(下記をクリック)

 問題URL:
 http://www.e-juku1st.com/mathtest/spemath.htm/spemathlevel3.htm
 解答URL:
 http://www.e-juku1st.com/mathtest/spemath.htm/spemathlevel3a.htm

 目を通されたとして、話を少し続けます。小問4題で構成されているわけですが、もし生徒が過去問としてこれをした場合、問題1、2,3番まで出来てかつ正解を得られれば、合格ですね。公立トップの進学校にはこれで十分太刀打ち出来ます。内容レベルはまあ標準といったところでしょうか。難しくはありません。基本的ですし、1番、2番、3番と問題追求も、公立入試の典型的思考パターンです。

 この3番までが確実にできること、またできて欲しいわけですが、それが入試対策、過去問をするという、第一の意味なんです。しかし、実際、1番の証明でも手に負えない生徒は多くいるはずですし、何でもないのですが2番を解くノウハウを持っていない生徒も結構いる筈です(ご丁寧なことに、ヒントまで与えてくれているのですが)。3番もオーソドックスで定番的な問題です。

 もしできなければ、どうするか?!―― それは、できるようにする!ことでしょう。当たり前だ。その当たり前のことを、実は意外に生徒はできていないし、真剣にしようともしないのをよく瞰る。解答を見て、はは、なるほど、では何らできませんよ。大抵の生徒はそれで過去問を解いたという気分になるらしいが、それは上のアドバイスに載っている「過去問に多くあたるなどして、
解く力を高めておこう」という科白そのままの、愚かしく且つ少しの身にもつかない勉強作業に過ぎない。この誤った表面的な入試対策だけはしないようにしましょう。

 次回のVOL.2では、表面的でないもう少し突っ込んだ勉強のしかたと、今回まったく触れていない小問4の問題解説とその処置について述べてみる予定です。