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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§93 入試数学の対策アドバイスって?!・・・VOL.2
<入試問題を解くと、わからなくては>

 1つの入試問題を通じて、上っ面でもきれいごとでもない数学の入試対策アドバイスについて、私なりにもう少し説明を続けます。

 問題URL:<前回同様>
 http://www.e-juku1st.com/mathtest/spemath.htm/spemathlevel3.htm
 解答URL:
 http://www.e-juku1st.com/mathtest/spemath.htm/spemathlevel3a.htm

 前回のVOL.1では、大問4番の小問4つの中で、3番までが確実にできること、またできて欲しいと書きました。それが入試対策、過去問をするという、第一の意味である、とも。

 また、「しかし、実際、1番の証明でも手に負えない生徒は多くいるはずですし、何でもないのですが2番を解くノウハウを持っていない生徒も結構いる筈です(ご丁寧なことに、ヒントまで与えてくれているのですが)。3番もオーソドックスで定番的な問題です」とも説明いたしました。

 問題は、これからあとですね。
 もしできないところがあれば、どうするか?!――
 それは、できるようにすること、でしょう! 解答を見て或いは説明を聞いて、はは、なるほどそうか、では何らできません。解答通り直した、よく考えて理解したでも、解く力を高めることには決して至らない。

 どうもね、大部分の生徒は、この点を大いに勘違いしているんだね。心底、そう思います。そこで、少し厳し目の意見を開陳。
「入試レベルの図形問題はね、自分の力で解けなければ、できないということ! これをはっきり認識すること。どう転んでもできやしないね。解答をみて理解しても、人の説明を聞いてわかってもね、所詮それはまだ人の頭で、または冷たい解答プリントの中に納まっている状態で、ちっとも自分の頭に中に納まってはいない。そのまま抛っておいたら、1日も経たないうちに同じ問題ですらできなくなるのが関の山だ。まして他の類題が解けるようになる筈もない。何故かって? それは、自分の血肉になるまでその解法とポイントの把握に時間をかけていないことと、まだまだ全然吸収する努力が足りないからですよ」

 つまりは、その逆をやるべきなんでしょう。もう一度書きますが、図形問題は、自分の力で解けなければ、次も解けない、ということです。もしこの認識に立てば、そしてその問題を吸収し尽くし、それこそ前回の例で書きましたところの、「図形の分野では、的確な読解力と柔軟な思考力を養っておきたい」を実践しようと思うなら、本気で自分の頭で考えなければなりません。

 その方法は今までたくさんあちこちで述べてきましたが、再度ここに書くのなら、「復習」の一語。もう一度、問題もすべてノートに書き、やり直すことです。でもね、考えて下さい。これで果たしてできなかった問題が、次には出来るようになるでしょうか?! まだそれは、自分の体内には入っていません。煮詰まっていないのです。ノートはね、閉じれば終わりです。目に触れることはできません。

 追求しなければ! 目を瞑って、その解法の筋道とポイントがすらすら浮かぶまで。そのためにはね、ノートを開けたままにしておくか、別の用紙にまた書いて、壁に貼って目に触れることですよ。うざったいなあ、もう十分わかったよ、見たくもない、と思うようになれば、やっと本物ですね。それは、他の問題に必ずや活用できる。ここまでして初めて、思考力と応用力の幾分かが身
についたといえるのではないでしょうか。また入試対策の一つの正しい在りかただと思われます。

 さてもう一つ、前回まったく触れていない、小問4の問題解説とその処置について。

 実際に小問の4番を解いてみなければ、また解いてみてその壁の厚さ、高さに気付かなければ、どれほど高水準の問題であるかが理解しづらい面があるのですが、イメージ的に解答の分量からみて(上記URL参)、1番と2番と3番を足した分量に均しい重さといいますか、実際はそれ以上の重さ、つまり難度の高い問題であります。

 これこそ高校入試(もちろん公立ですよ)の図形問題の中で、一つの頂点にあたる問題といえましょうか。過去問にあたって、的確な読解力と応用力をもとに、柔軟で深い数学的思考力を養成しよう、と、まるで雲を掴むような助言に相当する問題です。正答の確率は知りませんが、恐らく多くても1.5%前後かそれ以下だと推測しますが。

 建物に譬えるなら、この大問4の構成で、1番、2番、3番は4階建てくらいの高さかな。エレベータはもちろんありません。自分の足で4階まで登ればよい。さっさっさーと駆け足で、しかし慎重に昇ればいいんですよ。でも、おのおの別の建物ですからそれを3回繰り返すと疲れますよね(実際は公立入試の問題は非常に密接に関連付いていますから、この比喩には少し無理があるのですが。まあでも、しんどさの面では想像できますよね)。脚力です、勉強に言い換えれば、基礎学力の充実です。ですから、これは努力すれば、誰でも或る程度出来る筈です。この部分をしっかり練習、頭と体で覚えるのが、過去問をするという意味なんですね。

 次に4番。もうこれは、“おまけ”です。第89号の「数学の入試問題得点率について」で既に書きましたが、殆どの生徒はできません。そのできない問題をできないと認識することも、入試対策の一つですよ! 
 さてその建物の高さは、1番と2番と3番を足した分量に均しいと既に書きましたから、12階に相当するでしょうか。これを自分の足で駆け上ることになります。脚力は大丈夫ですか? 既に小問3題、12階分登ったとして、普通なら足腰に疲れが溜まりつつある状態で、そのあとに聳えて(?)いるんですから、しかも、制限時間15分という中で、頭の体力と集中力は残っているでしょうか?・・・

 実はもう一つややこしいことがありまして、この4番の建物にはすぐに見えるような階段がないのです。でもそれを見つけることが、応用レベルの図形といえるのですが。はい、ここに階段が見えるだろう、上って上って、という単純な教科書レベルでは全然ないことは、思考すればすぐわかる筈です。

 それでも公立入試の応用問題で、しかもかなりの高水準の問題でもまだ救いがあるのは、私立の超難関校の問題形式とは違って(ちょっと脱線しますが、簡単に触れると、質もさることながらその問題構成でも、例えば4問構成とすると、1番がハイレベルの計算他、1問は関数、2問はハイレベルな図形です。5問構成なら、3問は確実に応用図形です。極端な例では、4問構成すべて図形というところもありますね)、必ず“誘導”されているということですね。

 一般的に、1番が証明なら、2番はその結果を必ず使うんだろうし、そのあとの問題も1,2番でわかったことを踏まえて考えるのが常識。<ここもアドバイスですよ! ほんと、この初歩的なことですらわかっていませんからね> (この問題は少しそれとは違いますが。)
 
 その階段を何とか捜して4階まで上ったとしても、この種の問題には鍵のかかった扉が必ずあるんです。もし3番まで何とか7,8分で無事通過したとしても、ここでまごまごするわけですね。どうしても開かない。先に進むことができず、時間は4分、5分と徒に過ぎるだけ。それに見合う鍵を捜すことができないのです。この合鍵を幾つ持っているか、またすばやく探し出すことができるかが、「柔軟な思考力と応用力」の正体ですね。

 大抵はその合鍵で真っ先に使うのは「相似」なのですが、この問題はそうともいえません。仮に4階の扉を空ける鍵が「相似」だとしても、あと8階、10階にも厚い扉の存在が行く手を塞いでいるといった按配でしょうか。詳しい内容は解答をみてもらうとして、ここではその合鍵を併記しますと(少し専門的になりわかりづらいでしょうが)、「相似」のほかに、「3平方の定理」「底辺
比=面積比」「相似比の2乗=面積比」「角の2等分線における比」と、「直角2等辺3角形に気付くこと」及び「面積比=底辺比への逆転換」を用いなければならないのです。

 高水準とは、つまりそういうことです。複合的に絡み合っているわけですから、その視点1つ抜けても解答へはなかなか辿り着けない。私立の超難関校の入試数学については範疇外ですが、一言イメージで触れておくと、20階建てに相当するのを見かけますね。上には上があるもんだ―――

 さて現実的に。4番の小問はもうおわかりのように、学校の定期テストで90点以上(中3でね)常に取っている生徒でもなかなかできません。もっとはっきり言うなら、そのうちの5人に1人いるかどうかでしょうね。過去問にあたりその傾向と特徴を把握し、自分の能力一杯テストで発揮できる問題の処理のしかたを心掛けてください。それが入試対策の真髄です。

 勉強のしかたは前半で述べました。目を瞑れば、その解法が脳裏に鮮やかに筋道を立てて浮かぶまで、時間をかけ掘り下げること。そして、そのエキス、つまり問題攻略の合鍵を、一つでも増やす努力を最後まで続けてください。