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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§223 入試数学攻略のあり方 VOL.1
<「3と4」レベルの図形問題をすべし>

 今回は思いっきり上から瞰た、そして結論から眺めた、入試数学攻略のあり方・力のつけ方などについて、忌憚なく述べてみたいと思います。生徒の目線や親の考えに拘泥することなく、またさまざまな学力を想定したりして今回は書かないこと、「公立トップ校に進める数学の学力だけ」に焦点をあてて持論を展開しますので、顕微鏡でいえば倍率を上げると視野が狭く暗くなることと同様で、広く一般的でない面があるのはお許し願います。

 数学全体の実力、そして特にそのなかの30%を占める応用に対する実力のなかで、周りのいかなる条件にも影響されない、岩のようにがんと動じない素の力が、入試数学攻略の核となる。
 と、NO.221で書きました。また、受験時期に行う過去問対策は、その核の周りに付着する力を補うに過ぎない、とも。

 この核になる力だけが結局、信頼しえるもので、その周りに付着した力は、役立つこともあれば、所詮付け刃にすぎずほとんど意味はなかったという結果になることもある。出来ることなら、いや出来うる限り、一般にいうところの受験対策云々の時期の前までに、信頼できるその実力の核を大きく、そしてずっしり重くしておかねばならないだろう。

 数学の高校入試の段階でどういう力が求められているか。それは、教科書や学校の授業で教えられるところの内容とは、大きく食い違う点が多々あるのが現実です。もう少し具体的に掴んでいただくために、数学の力を単純に5段階に別けた図をホームページに載せてありますので、宜しければそれを先にご覧ください。<下記URLをクリックしてください。ピラミッドの図です>
 http://www.e-juku1st.com/referencebooks/mathjituryoku6indx.htm
 
 1は、教科書及び学校の授業で習う基礎問題です。2は、生徒が普段、教科書や学校でするよく見慣れた定番的、またやや応用的な問題です。それに対し、数学の公立入試の問題は3と4のレベルまで出されます。こう指摘しても、それが如何なる内容であるか、どれだけの応用の拡がりがあるのか、わかりませんね。さらにはその難しさの度合いや壁にぶつかりむげなく峻拒される実感も。

 それは、5000円の松葉ガニと2万円の松葉ガニの違いはどうなんだと、実際手にとってその質感をみて、また食べてみなければわからないように(うーん、2万円の松葉ガニを喰った経験はないんですけど)、実際に入試図形のさまざまな問題10問ほど解いてみればもっとその質感が、そして通常のテスト問題とのレベル差が明確に区別、把握できる材料になるのですが、そうもいかない。

 そこで、「<新版>入試図形問題の攻略問題集」で扱っている図形問題の名称、わたしが分類上、問題内容がわかるよう適当につけている名に過ぎませんが、「3と4のレベル」の問題を下に羅列してみます。(なんのこっちゃ?と適当に読み飛ばしてもらっても結構ですし、言葉から問題イメージを膨らませてもらえばありがたいですが。)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
1.相似問題応用
・3角形の線分比を求める(補助線のひき方)
・3角形で平行な補助線を引く
・平行四辺形で線分比・相似の利用
・平行四辺形で延長した補助線を引く
・相似比から底辺比へ転換
・平行四辺形で延長補助線=相似な3角形
・2組の相似な3角形・線分比の統一
・跳ね返りの最短距離問題・作図で相似
・中点から延長補助線で合同な3角形
・正方形で相似・底辺比の利用
・△AEFを1とすると、底辺比より
・相似比の2乗=面積比
・3中線の交点は重心・2:1に内分
・角の2等分線、という条件があれば
・3角形で平行な補助線を引く
・平行四辺形で線分比・相似利用
・長方形と線分比・相似比
・平行四辺形と合同、相似
・平行四辺形で線分比・相似利用
・長方形と正6角形における面積
 
2.3平方の定理(平面図形)
・長方形を折り返す問題
・長方形を折り返す基本3例 
・折り返し問題の証明と応用
・円と円が外接する問題
・3角形と内接円
・円+3平方の定理+相似
・長方形・正方形と角の2等分線
・正3角形が2つでひし形
・3角形に内接する円の半径
・正方形と角の2等分線
・正方形を折り返す問題
・大小2つの正方形
・正方形における証明、求積、応用
・直角2等辺3角形の応用
・平行四辺形における応用
 
3.円と三平方の定理と相似
・円と2等分線/スーパー公式活用
・2次関数と円・直径をつかむ
・円と直角3角形が交わる
・おうぎ形と3平方の定理
・円と正方形が交わる
・半円と長方形・1/4円と正方形
・円の中レベル問題
・円に内接する正5角形・応用
・円と3平方の定理
・円と正方形・3角形が回転
・2円が交わる・相似証明、求積
・円と3角形が交わる・ハイレベル
・3角形と重心・ハイレベル
・円と直角3角形が交わる/方べきの定理
・円と3平方の定理・高い計算力
・円と求積の工夫/全体ーある部分
・円と動点の軌跡
・動点は弧を描くことを予測すべし
 
4.3平方の定理(空間図形)
・3角形の面積比/3角すいの体積比のS公式
・4角すい&円すい求積の基礎問題 
・求積における高さの判断
・求める立体=全体ーある立体(7/8)
・円すい&4角柱の最短距離
・立体での「方べきの定理」の活用
・円すい&4角すいに球が内接
・正4面体へのスーパー公式活用
・正4角すいを斜めに切る問題
・立体を3分割して求める
・正4角すいを斜めに切る問題の応用レベル
・立方体を斜めに切断
・補助線延長で3角すい・全体の7/8!
・補助線延長で3角すい・工夫
・補助線延長で3角すい・別パターン
・直方体を斜めに切る・ひし形
・正4面体へのスーパー公式活用
・正8面体における最短距離・切断面
・立方体・球に線分が交わる
・正4面体と基本問題
・4角すいに水を入れ、傾ける
・3角柱に水を入れ、傾ける
・円すいを転がす
・円すいに水を入れ、正4角柱をはめる
・正4面体と最短距離(糸巻き)
・直方体を斜めに切る問題・ハイレベル
 
5.動点・図形の移動問題応用
・動点が正方形の周りを移動・基礎
・動点が直角3角形の周りを移動
・動点が台形の周りを移動
・動点が正方形の周りを移動
・動点が長方形の周りを移動
・長方形が正方形に対し移動
・長方形が直角3角形に対し移動
・直角3角形(小)が直角3角形(大)に対し移動
・動点と正方形の作図・応用
・台形が長方形に対し移動
・動点が正方形の周りを移動

6.2次関数問題応用
・スーパー公式・3角形の求積
・1次関数の等積変形の定番問題 
・2次関数の等積変形の定番問題
・等積変形を利用する問題
・等積変形の応用レベル
・aの文字でX座標、Y座標を表す
・平行四辺形にスーパー公式活用
・平行四辺形の面積を2等分する
・平行四辺形にスーパー公式活用・応用
・2直線が直交するときはー1
・応用の基本レベルの集合問題
・応用の中レベルの集合問題
 
7.私立型入試図形への補足問題
・円と接弦定理
・円に交わる2直線/方べきの定理活用!
・正4面体に球が内接、外接する
・正8面体内に立方体を作る
・直方体を斜めに切る問題/補助線延長で3角すい、全体の26/27!
・立方体から3角すいへ・全体の7/8!
・その他いろいろ
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 一部学習指導要領外(私立対策には是非必要なので)も混じっていますが、以上の殆どは、教科書や学校の授業では直接に習わない、また教えられない問題と知識ばかりといってもいいでしょう。問題の考え方をある程度分類、パターン化したもので、実際の問題数はこれよりさらにもっと多く演習することになりますが、これくらいの解法技術と知識を時間をかけ充分習得しておいて、公立トップ校やそれに応じた私立校の入試本番の図形問題にあたりたい。

 数学の「応用へのたしかな実力の正体」――その中核を占めるのは、これら「3と4」レベルの図形問題をいかに攻略する鍵と解法を持っているか、また公立入試独特の設問の流れに乗って考えを進めていく姿勢、手がかりを得られないで困ったときの対処のしかたや特有の計算式などまで含めた、細かなノウハウをいかに我が掌中に収めているか、その力如何でしょう。

 入試数学の視点と結論から眺めた場合、1や2のレベル、すなわち教科書及び学校の授業で習う基礎問題、普段教科書や学校でするよく見慣れた定番的、またやや応用的な問題、それらからなる定期テストや実力テストだけで、さらには塾に通っていて中1や中2段階の学力評価テストの偏差値も含めていいますが、数学の力の良し悪しを、それらだけで単純に判断されることには少なからぬ過誤がありますよと、ここに厳しいですが指摘しておきます。それは中等数学レベル全体の力に対し、入試配点でいえば、半分にも満たない、と考えているぐらいがちょうどいいかも知れません。

 この続きは次回VOL.2で。

 なお図形の力を観る材料のひとつとして、「図形能力診断テスト4問」を設けてあります。直接のページは下記URLです。
 URL:http://www.e-juku1st.com/basetoppo/ability/nyushizukei1.htm

 現在中1生でも問1から問3までの3問ができます。現在中2生は問1から問4まですべてです。中1生は3問中2問、中2生は4問中3問、制限時間(30分、3問の場合は20分で)内にできれば、まだまだもっとこれから本格的に図形力を磨いていかねばなりませんが、まずは一安心というところでしょうか。

 ちなみに問1から問3までの問題は、私立中学受験をした生徒なら当然習っている図形の知識です。上の基準に満たない生徒(ほんとに多いでしょうが)は、応用レベルの基礎ですらまだ満足に身につけていませんから、気持ちを入れ替え引き締めて、これから頑張ることが必要でしょう。