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§220 入試数学の最終段階で生徒を観た場合
<広く一般的な考え方は・・・>
受験勉強の最終段階で生徒を観た場合のアドバイスについて、インタ−ネット上でもよくみかけます。
何度も同じような質問をし、何度も同じような内容のアドバイスをするのが多いですが。(そのままの文面は失礼なので、多少変更して)
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・まず時間を計って過去問をし、自分の出来具合を確認します。次に、間違っ
た部分を勉強し直して何度も復習します。何度も時間を計ってやり直し、必
ず100点が取れるようなレベルになれば大丈夫です。
・数学の場合ですが、教科書や問題集の問題をくり返し解きまくりましょう。
わからない問題はじっくり考えるのも大切ですが、ある程度考えてわからな
ければからは解答をみてしまった方が効率がいい。同じ問題を何度も解き、
公式をいちいち思い出すことなくすいすいできるようになれば大丈夫。
・そのまま書き込むのではなくノートなどに問題を解いていってみること。一
通り過去問をやったらはじめからもう一度解いていってみてください。何度
もやっていくうちに入試ではどのような問題が出るのかなど出題傾向がわか
ると思う。
・過去問についてですが、時間がなければ、過去3年くらいのものをとりあえ
ず一通り解くことです。そして、間違えたところは必ずチェックして、単な
るミスなのか、理解が足りなかったのか考えましょう。理解が足りないと判
断したならば、同類の問題を数題解いてみる。
・とにかく反復練習をする。同じ問題を何回も解いて解き方を覚える。同じ問
題なんてでるわけないじゃんって思っても、大事なのは解き方である。こう
いう問題はこう解くというパターンをいくつも覚えるのが得点を上げる最短
の方法です。一番肝心なのは、とにかくパターンを暗記すること。過去の試
験問題を100点とれるまで何度も繰り返しやって覚える。100点取れるように
なったら次の過去の問題を100点取れるまで覚える。だいたい似たようなパ
ターンの問題が出題されることが多いので多く覚えれば覚えるほど得点はあ
がるでしょう。今からなら理解しようとかは無理なのでとにかく暗記です。
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これらの助言は、広く一般的な考え方、経験者の意見でしょう。おそらくこれをお読みのお母様も生徒も、ふむふむなるほどと思って納得される方が多いだろうと思われます。
さて、わたしのみかたとアドバイスですが、数学でいうところの「ねじれの位置」にあたるといいますか、まったく異なる土俵からの話になります。
あくまで次に述べることは、英・国・理・社の教科ではなく「数学に限定した」ものであるということを、くれぐれもお間違いなきようご理解ください。また一部の例外的な事例もここでは排除します。
究極的なことをいいますが、入試の数学で何点取るか?ということです。また何点なら取る自信が確実にあるんだということです。
たとえば100満点にして述べますが、入試の数学に対し自分の素の力が75点とすると、蓋を開けた結果は、78点、75点、70点のいずれかです。蓋を開けた結果とは入試の学力検査の結果であり、素の力とは入試対策に入る段階で、一般にまあ1、2ヶ月前(〜3ヶ月前)と判断していただければいいかと思います。かなり断定した表現にあえてしていますが、長年の経験則でいえばおよそ95%前後の確率でこうなります。
もちろん年度によりテスト問題が多少難しくなったりやさしくなったり、それによる平均点の変動はあるものですが、その表面的な点数ではなくあくまで上の数値は、生徒の素の力、実力の絶対値と把えてください。
ちなみに75点は、4つから5つの大問で構成された都道府県の、かつ45点前後が平均点になる公立入試数学を想定して書いていますので、特別優秀な点ではないものの、実際中3段階の数学の定期テストで90点以上取れている生徒のなかで、平均やや上の生徒の姿を映しているもので、まあそこそこいい点数であるとご判断ください。
さてもう一度点数に戻りますが、素の力が75点に対し、蓋を開けた結果は、78点、75点、70点に違和感を感じられた方は多いかと存じます。ちっとも上がっていないじゃないか、それじゃあ、何のための受験対策なんだ?!と。
でも、そういう目と意識が一般的にですが、上記の受験勉強の「数学」へのアドバイスになんの抵抗も違和感も感じず受け入れることになるんだろうと、わたしは思っております。入試対策をすれば生徒はみな、「点数は確実にあがるもんだ」という道理は、はたして本当か? そして現実に、以前に較べ大いに、ときに飛躍的に、点数が上がったのだろうか?! もしそうなら、あいも
変わらず45点前後が毎年、判を押したかのように平均点になるという結果は、いったいなんだ?!
入試数学の中身は、大雑把な言い方をしますが、ほんとに基礎、中学数学を3ヵ年学び「最低これだけは知っているだろうな、またできるだろうな?」という確認レベルの問題がおよそ40%、習った知識の基本運用をまず確実にすれば出来る問題が30%、そして残りの30%が応用問題といいますか、各生徒の数学の能力差を調べる問題、といっていいかも知れません。いわゆる考える問題(その中にはパターン化されていない、いや、され得ない問題も増加してきています)で、高校側が生徒の真の力をみたい、と思っている問題です。
これからして平均点の45点がいかなる姿であるか、そしてその受験勉強の在り方が実際にはどのようなものであったのか、容易に想像しえるでしょう。
過去問を解き、わからないところを解答をみて理解したり、何度も復習したり(しかし何度もというのは、二度を指すのではなく三度以上だけど、そうは実際しないでしょう)、過去の試験問題を100点とれるまで何度も繰り返しやって覚えたり、またどういてもわからないところは学校や塾の先生に尋ねたり、解法パターンをできるだけ暗記したりと、確かにそれらは基本的、模範的なアドバイスですが、根本的なところで、また最初の認識からして間違っている部分が、常識には多いのである。
定期テストや総復習的な意味合いで作られた実力テストの理想は「全員満点」で平坦な道に似ているが、入試数学の問題構成は坂道、上で書いたように明確にレベル差を設けた、各段階(ここでは3段階に別けましたが)の能力を問う問題構成なわけで、各々の脚力、つまり実力に相応して、できる者は登れる、できない者はどう転んでも登れない、といった問題が厳としてあるんです。この最低の認識すら持っていない生徒、また的確な指示も出せない先生は、残念なことにいっぱいいますね。
素の力が平均点なる者は、平均点までの問題をなんとしても固めることであり、補強することであり、実際この最後の時期に及んでも、基礎の最低確認問題が10問あるとすれば、7,8問しかできず、2,3問はミスやまだわかっていない部分がありますから、その2,3問を確実に補強することを努めることでしょう。
具体的に1問だけ書いておきます。
「2次関数Y=1/2X^2(Y=2分の1・X(エックス)の2乗、という意味です)で、
Xの変域が−1から3までのとき、Yの変域を求めよ」
ミス例<1/2≦Y≦9/2> 答え<0≦Y≦9/2>
あとはその上のゾーンの問題、習った知識の基本運用をまず確実にすれば出来る問題のことですが、まあ、確実に自分ができる問題を増やしていくことです。これ以上ここでは詳しくは書けません。
次は、トップレベル乃至それに近い生徒の力の実態と助言、また今回まだ意図するところを述べきれていない部分に関して書いていくつもりでいます。
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