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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§165 数学を得意としている生徒のために VOL.2 
<ベースに国語力が・・・> 

 数学を得意としている生徒のために、自分のペースで学習を進めて行く際の、課題と注意点、そして大まかなスケジュール、その続き。

 中3で習う内容は以下6つ。多項式、平方根、2次方程式、2次関数、相似な図形、三平方の定理。教科書によって多項式、平方根の習う順番が逆であったり、2次関数を最終に持ってきているものもあって多少その習う順番は異なります。

 先にスケジュールを書いてみます。前回では1年の内容――4月から9月、2年の内容――10月から5月、で組みました。中3の内容は、6月から翌3月までの10ヶ月間です。これで丸2年をかけています。

 多項式(6月)、平方根(7月)、2次方程式(8月半分)、2次関数(8月後半と9月)、相似な図形(10月・11月・12月)、三平方の定理(1月・2月・3月)

 2年間全体を瞰るために、1年と2年の進度も再度書いてみますと、1年――正負の数(4月)文字式(5月)1次方程式(6月と7月半ば)正比例・反比例と図形(8月後半から9月)。2年――式の計算(10月)連立方程式(11月)1次関数(12月と1月)図形<2つの単元>(2月と3月と4月の前半)確率(4月の後半)、5月は調整期間。

 どうでしょうか? できるできないは別にして、しかし、私立中学のなかの進学校なら当然これくらいは軽くこなして、中3には高校数学に入っていくのがごく普通ですから、またそれは数学にとどまらず英語も同様、理科や社会なども相当レベルの高い、または知識の拡がりと深さのある内容を学習しているのですから、その学習量はかなりのものがあると、また相当の時間を費やして勉強をしていると思ってください。

 数学一つだけ先行するのは、過去の公立中学と照らしても、いまの私立中学と照らしても、決して非現実的なことではない。但し、これができるのは、前回も書きましたが、ごくごく一部の生徒に限られるでしょう。

 よくですね、英語にしろ数学にしろ、先取り学習をする生徒やまたそれを当然いいことだ、力のある証拠だと思っているご父母の方がいらっしゃいますが、また大手の塾の特進クラスとか家庭教師などでかなりのスピードで先の内容を学習したり、○文とかでも中学の数学を中1の段階で早や終えてしまっている生徒がいたり、通信教育でも中学英語を中2の段階で終了してしまう計画だったり、また小学校の時点で英・数の中学内容を先取りして、家庭で子供にどんどん教えているお母様とかおられるわけですが、わたし個人の感想としては、なんでまあそんなに先を急いでいるのかなあ、また、急ぐ必要があるんだろか?と、やや眉を顰め、小首を傾げて(ということは、客観的にみると、非常に不細工な面(つら)をして)不思議に眺めている、といったところでしょうか。

 そんな勉強の姿を見聞するにつけ思うのは、幅をね、また奥行きをね、あまり感じないんですよ。ひょろひょろと痩せ細って、上にばかり伸びている、といった感じがする。野菜の促成栽培じゃああるまいし、まあ、喩えが悪いのはお許し願うとして、なんか粒のそろった、規格化された、見栄えはいいんだけど味がもうひとつのトマトを喰っているというのかな、それよか、多少ほった
らかし、陽をたっぷり自然の時間のなかで育って、外見も不揃い、皮も少し硬く青みがかっているけれど、食べると甘酸っぱい昔のトマトのほうが、なんともわたしには旨い、と感じる。

 どんどん先の学習をするのも結構。けれどもその中身がついて来いよな、と思う。雑学ならたまたま覚えいたものだけでいいのだけど、数・英の場合、10えば10の結果が伴う勉強をしろ、といいたい。その結果が、7や8ならまだわかる。しかし、半分以上も穴が開いている、場合によっては2や3のことし身についていない勉強のしかたとその結果では、弊害ばかりが残り、まったく意味がないのですよ。それは多くの生徒を観てきて、よくわかる。

 幅とはね、この場合一言でいうと、国語の力です。このことに言及すると話があらぬ方向に脹らむのでよすとして、ここでは、年相応の国語の力をもっと身につけることに、時間と努力を費やさねばならぬ、と書くに留たい。

 さて、数学の話に戻します。
 前回、ようやく中等数学らしくなるのは、また本格的に入試に絡んでくる重要な単元が出てくるのは、中2の後半からと書きました。それは特に1次関数と図形でした。もう一度最初のスケジュールをじっくり視ていただきたいのですが、中1の学習期間6ヶ月、中2は8ヶ月、中3は10ヶ月の、丸2年間で組んであります。それに対し、現実の学校の授業スケジュールでは、中1は丸々1年間、中2も同様1年間、そして中3は2月には受験(私立入試、なかには公立入試も)があるので1月までの期間ですから、10ヶ月間ですね。

 もちろん学校は勉強だけではなくいろいろと行事がありますし、また春夏冬の休みもあり、単純にこの通りの期間を比較検討することには誤りが含まれています。しかし、それを半分割り引いたとしても、基礎重視に時間配分を多く回したとしても、その授業内容とバランスには不合理で矛盾を孕んだ点がいくつもあるなと思います。

 その最大のものは、学習する中身の濃さ、重さと、それを学ぶ期間が比例しているか、という点です。

 生徒にとって難しい問題、思考力を要し時間もかけて解かねばならない問題と関連事項は、当然のことですが時間をかけて説明をし、またそれなりの問題数もこなさねば、理解も納得もできるようにはなりません。ましてや生徒のその活用は、その場の中途半端な模倣に止まっているかぎり、絶対に入試では通用しませんし、ほんとうに掘り下げて水が出てきた井戸を何本持っているかによって、その数学の力は決まるものです。しかし、これができる生徒は、ほんとに少ない。

 中3の後半ともなると、入試に絡んだ図形の応用問題を説明解釈する率も高くなるわけですが、その際へたをすれば(?)(以前にも書いたことですが)たった1問を教えることに、2時間も延々と費やすこともあるわけです。

 このことを逆にいえば、それだけ1問の問題密度は大きく、重さも濃さもあるということです。天秤にかければ、左に正負の数の単元すべて、右にたとえば相似の応用レベルの図形1問を載せたすると、一瞬にして秤は右に沈む。では、左に中1の数学の内容すべて、右に上と同じ図形問題1問を載せたするとどうだろうか? 入試に占める重さでいえば、やはり秤は右に沈む。まあ、ここの比喩を誤解しないでもらいたいが、それほどにときに或る図形の1問は重いのである。

 もうおわかりいただけたかと思いますが、容易に習得できる単元は短く、容易に習得できない単元は長く学ぶ期間をもって事にあたる、という当たり前の勉強姿勢を貫くことがほんとに大事かと思います。スケジュールの私案をもう一度みてもらえばわかることですが、中2と中3の関数、また図形には、相当の期間を、2年のなかの半分、丸々1年を割いています。

 これを車の運転に譬えると、スピードを上げても十二分に安全な箇所は制限時速なんて気にせずかなり飛ばして、その代わり危険な交差点や曲がり角では細心の注意と気配りで、ゆっくりゆっくり直ぐにも止まれるスピードに落として走る。それと同じようなもの。

 中3の後半、或いは入試も迫る時期にもなって、2次関数や図形の相似、三平方の定理の図形を、それも「基本的なもの」だけを「短期間に」さらっと教わる(学校での授業です)、非常識でいい加減な授業進度に沿って勉強したすれば、翼の半分が機能していない鳥の飛行みたいなもので、入試への焦点がまったくずれて、ふらふら力もなく飛ぶ破目になりますから、くれぐれもそのようなことにならないようご注意を。

さて、もう1点、応用問題を学ぶ場合の姿勢、その吸収のしかたについて触れておきます。しかしこれは、次回に。