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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§149 理科の問題集を作りながら思ったことVOL.3
<頭に60の抽斗> 

 理科をどう攻略すればいいのか? いったいどうすれば、入試に打ち克つ実力を育てることができるのか? 「理解」を乗り越えたあとの、最も大事な作業をどう詰めていけばいいのか? そんなことを考えながら今回、いま作成中の問題集を通して以下具体的に述べてみます。

 理科の4つの分野――「生物・地学・化学・物理」のなかには3つずつ単元があり、計12の項目に別れているわけですが、その中の一つ、中2で学習する「化学」を引き合いに出して説明してみます。 

 この言葉を聞くだけで以下の内容を想像して、額にしわ寄せて少し苦痛に感じたり、また少々億劫で尻込みしたくなったり、あるいは拒否反応を起こしてしまう方もなかに多いかも知れない。急所の説明ですから、少しご辛抱を。

 新指導で習う中2の化学の内容は、「分解・化合・化学変化と質量の割合・水の電気分解・化学変化と気体の量(質量保存の法則)」の5つです。もちろんこれは、教科書、参考書、問題集によってさまざまな分類のしかた、項目の分けかたがあります。総称的に「物質と原子(1)・(2)」とか、「物質のつくりと変化」「化学変化と規則性」なんて、さっぱりその内容のイメージがわかない名前のつけ方がいまは多く、首を傾げたくなることも多いのには閉口しますが。

 上記のわたしの5つの分類は、入試問題から独自に編集・再構成し、その問題タイプを集約したものであり、まさにこの5タイプの問題が、入試では問われることになるのです。ですから中2の化学では、この5つの問題を徹底して掘り下げる、理解するのは当然として、掘り下げて掘り下げて覚えこんでしまう学習が効果的で、実力に確かに繋がる道だということがお判りいただけるかと思います。

 さて、その中の1つ、「分解」の問題にフォーカスを中ててみます。

 問題を読みます。
「炭酸水素ナトリウムについて次の実験をしました。・・・」の最初、炭酸水素ナトリウムという言葉と、実験の図を観た瞬間、ああ、これは「分解」の問題だなと、すぐに脳裏に浮かばねばなりません。そして、以下のことが頭に用意されていることが、「理解」とそれを乗り越えて「自分のものにして深くしまい込んだ実力」、つまり、ほんとうに掘り下げた「入試に打ち克つ実力」の正体でしょう。それは問題を読んで、新たにいちいちどうだったかなと考えていく作業ではありません(しかし、大抵の生徒はこの姿をとっていますが)。用意しておくべきものです。ほんとうに考えるべき点は別のところにほんの少しあるだけです。

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 頭に用意されている知識。
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1.炭酸水素ナトリウムの化学反応式。2NaHCO^3 →Na^2CO^3+H^20+CO^2
     (^2は、2を小さく右下に、という意味でここでは使いました)
2.「分解とは、1種類の物質が2種類以上の物質に分かれる化学変化」という説明ができること。またこれを裏返した設問(やさしいね)に答えられること。

3.石灰水を通すと白くにごる。二酸化炭素。化学式が問われる(CO^2)。

4.塩化コバルト紙を赤色(or桃色)に染める。水の検出。

5.できた後の白い物質、炭酸ナトリウムをチェックする方法。フェノールフタレイン液を加える(赤くなる)。<応用>炭酸ナトリウムはアルカリ性を示す。

6.「石灰水が試験管に逆流するのを防ぐため」
  ←ガスバーナーの火を消す前に・・・の問い。

7.「できた水が加熱部に流れて、石灰水が割れるのを防ぐため」
  ←試験管を少し傾ける(右下がりに)・・・の問い。

8.二酸化炭素は臭いがなく、少し水に溶ける。その水溶液は酸性を示す。(炭酸水)

9.やさしい計算問題、比例式で。

10.水上置換(法)の図が作図できること。

 あと同様に、「酸化銀」の分解問題。

11.酸化銀の分解の化学反応式。 2Ag^2O →4Ag+O^2

12.「火のついた線香を入れて激しく燃えるかどうかをみる」
  ←酸素であるかの確認

13.「始めに出てくる気体には試験管内にある空気が混じっているから」
  ←始めに試験管に出てくる気体を集めない理由

14.金属に共通する性質。「熱をよく通す・電気をよく通す・叩くと薄く伸びる・特有の光沢がある」<このうち2つぐらいが書ければいい>

(わたしの頭からすっぽり抜けておりました知識は13番ですが、当たり前といえばごく当たり前の、実験に関する基礎的で平凡なことでした。)
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 こんなところです。この中で問題として選択抽出され、実際に出されるのは4、5問であるわけですが、まあ、これだけ覚えていれば、平常の定期テストや実力テストどころか入試問題へ十二分に対応できる。なぜなら入試問題(過去15年以上の資料を検討して)そのものから精選して(?)作っているのですから。

 これを如何に覚えるか、その場限りではなく少なくとも2,3年は覚えておれる方法は次回に触れるとして、覚えておくべき事柄、知識としては、多いでしょうか? 大雑把な言い方と計算になりますが、この14問を1つのグループとすると、中2の化学、5つあるなかの1つですから×5倍、そして全体の12単元で×12倍、およそ60のグループが出来上がる勘定になりますが、そのなかの1つにあたります。

 この60倍の知識をしっかり自分のものにして使いこなす力をつければ、入試の理科に関しては、85点は取れることになるでしょう。言い換えれば、頭のなかにこの60の箱をしっかり形成すること、そして適宜その必要な抽斗をいつでも開けて取り出せるよう管理することが望まれるわけです。

 たとえばその箱のなかの一つ、星に関する問題を3つの箱に分類別けするとその一つ、南の空を見て、春はしし座、夏はさそり座、秋はみずがめ座(ペガスス座)、冬はおうし座(オリオン座)などの星座は覚えておくとして、同地点、同時刻では、1ヶ月で東から西に30度動いている(年周運動)、南中時刻で見ると2時間早くなる、なんて知識は、確かに理解した上で計算もできなくてはならないが、それ以上にその動くイメージが頭に焼きついていること、また3ヵ月後真夜中に西の空に何の星座が見えるんだと問われれば、その作図をすばやくして答えを出す術をとことん深く身につけておかねばならない。

 それが生物の単元を習っているときでも、化学の内容を勉強しているときでも、その抽斗を開ければ、入っていなければならないんですね。それがどこにしまったかわからない(大抵は抜け落ちているのですが)、またどこかに消えてしまうような勉強方法、内容的に広く浅い、ポイントを掴んでいない学習のあり方は、結局中途半端に終り、実力は思うように溜まりませんね。

 理科は社会に較べて、理解する内容に比重がかかり、その暗記する内容はそう多くはありません。また新指導要領で30%削減ですから、量的にもかなり減っている上に、これは問題集を作っていてつくづく感じることですが、理解の問題レベルといいますか、従来のやや難しい点が多いに削除されているので、内容的に随分軽いなあという印象を抱きます。

 それでも理科が十分にできない、また苦手とする生徒は却って増加しているのですから、なんとも厄介なことです。その原因をここで述べる事は本意ではありませんので控えるとして、このいまの、理科の量的・質的学習内容を生徒の立場で観た場合、それでもやはり複雑多岐にわたるのでしょうし、実際どのように具体的に勉強していけばいいか、またどんな問題集を使っていけばいいのかなど、頭を痛めるのでしょうね。さらにまた、普段の定期テスト段階ではいい点を取っていても、ポイントを押さえていない、強弱の比重をかけていない平面的な理解と暗記のため、その知識と力は時間が経つと、実力とはほど遠い位置になってしまうのでしょう。

 これを克服するためには、ひとつには時間をもっとかけること、そしてもうひとつにはそれなりの的を得た問題集を使いノート学習をすることだと思います。数・英に取り組む気持ちと姿勢、また日々に費やす時間に較ぶれば、あまりにも理科(と社会)にかける時間が少ない、テスト前にちょこちょこっと勉強する、それが大半の生徒の現状でしょう。もう少し常日頃から自分の側に理科を引き寄せて、接近して勉強を積まねば。そう、思います。

 あと市販の理科の問題集。これも実は活用次第なのですが、また目的に沿って使い分けすればいいのですが、どうもいまいち気に染まない。これはいいぞ、という問題集が見当たらない。何がいいかという基準は、実力がつけられるか、というその一点です。わかる問題集なら、それなりにある。もちろんぞっとするような、とんでもなく不親切な作り、2,3ページすればいやになるだろうという問題集も中にあります。また、説明がていねいで、カラフルな問題集もありますね。ただし説明がていねいでも、基礎と応用の演習が一杯入っていても、逆にこれだけも細々した事は要らんだろう、却って焦点がぼやけるだろう、という問題集の作りもあります。

 何かが足りない、大事な視点が一本抜けている。それはむしろ生徒側に求めるべき事柄かも知れないんですが、今回最初に書きました、「理解」を乗り越えたあとの、最も大事な作業をどう詰めていけばいいのか?という視点を取り入れた問題集が、ないのです。

 そのことに関して次回、説明をさせていただく予定です。