§640中1英語通年用問題集について
<be動詞をまず徹底的に攻略せよ!>
中1英語通年用問題集を今回、ほんのすこしだけ改訂しました。(けっこう地味な作業で、意外と時間がかかりましたが。なお中2英語、中3英語通年用の改訂はまったく予定していません。)
改訂した部分は、問題編ではなく解答編にあります。問題編のほうは手前味噌の言い方になりますが、塾などに頼らない自立学習による確かな実力養成の点で、もうまったく完成した内容と構成になっており、追加したり削ったりするものがないなと考えています。
それに対し、解答編はどうかというと、実はすでにじゅうぶんな説明を書き入れてありますので、基本的には改訂する必要はないのですが、そこを再チェックして今回、さらにしつこく注意点など説明を加えた次第です。(仮に100点満点でいえば、あと3点ほど底上げしたというくらいなものです。)
ところで、勉強をする場面というものを考えてみると、それは大きく別けて、学校の授業や塾の学習で先生から内容を教わりその場で問題を解く場面と、自分でワークやその他問題集を使って問題を解いたり、わからないところを理解したりする場面の、ふたつがあるでしょうか。
ふつう問題集というものはもちろん後者になるわけですが、わたしの問題集の場合、このふたつの場面を想定し作ってあるので、基本的にまったく自分の力で勉強できることになります。
その場合、生徒はまず「問題で勉強する」ことになりますが、実は「解答で勉強する」ことも大いに大切なことなのです。しかし一般に生徒は、解答は○か×の判断材料に過ぎない意識がつよく、○なら頭はすぐ次の解答へと移るでしょうし、なぜマルであるのかその理由や知識の確認はまずしません。いわんやマルを取り巻く関連の知識や、過去に習った覚えておくべき知識の整理やくり返しによる暗記を高める作業と確認を、まずやらないのが生徒の現実の姿で
す。
解答を見てバツであったときだけ、なぜバツであったのかの理由を解答の説明を見て考えます。考える生徒はまだましなのですが、考えない生徒も実は不思議なことに、想像する以上に多くいるのも現実ですね。
また解答そのものが、入試の応用問題ならいざ知らず、ふつうの演習問題のなかではいちいち詳しい説明なんかは併記されていませんから、説明箇所を見直す必要があります。これがきちんとできる生徒もいれば、できない生徒もいます。
これとは別に、英語の場合はとくにバツの原因がケアレスミスであることもとても多いわけで、つまり理解してじゅうぶんわかっているつもりでも、解答を見てついミスをしてしまったことに気づくこともけっこうあります。
しかし、気づいたからといって、そのミスが直せて次に出ないようになるかというと、とんでもありません。またくり返すのです。これを「解答で勉強する」ことができるように、至る所で注意喚起の説明をしておかねばなりません。
こうした解答での勉強が、○であるにしろ×であるにしろ、生徒が学習を進めていくなかで、知識を深めたしかな実力をつけていくひとつのポイントといえるので、その目線のもと問題集を作ってあります。
しかし、英語学習(ここでは読み書きの力だけに限定しますが)のなかに占める割合でみれば、やはり「問題で勉強する」ほうが数倍大きいわけです。
問題をやりながら理解する、そしてじわじわ理解を深める。問題をやりながら何が大事なのかを学ぶ。問題をやりながら単語や熟語そして重要構文を暗記する。問題をやりながらケアレスミスを減らしていき、そして最終にはなくしてしまう。問題をやりながら前に習った知識の点検をし、くり返しの勉強をする。
こうした英語の勉強のしかたにこそ、一歩一歩ですがほんとうの実力が養成されると考えています。そして誰にでもできるわけです。ただ、相当な演習問題が必要ですし、その演習内容も単純なだけの問題ではいけません、つねにすこし考える問題演習をすべきであり、そして上の視点がすべて入り込んだ統一性のある問題構成と編集であることが求められます。こういう目線に立った問題集は、世のなかに捜しても見つかりません。よって、作りました。中2英語、中3英語の問題集も同様の観点からであります。
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さて、これから中1英語を勉強していく生徒とそのご父母の方に、英語学習
の基本とは何か、また英語を学ぶ以前に当然持っていて当たり前のこと、そし
て読み書きの上で必要なものとは何かを、以下に列挙してみます。
<A>英語を学ぶ以前に知っておくべき常識。
1.主語と述語(or主部と述部)ぐらいは、ふつうに判別できる。
2.名詞と動詞、そして形容詞の3つの品詞は、最低何であるかを知っている。
3.文の種類(肯定文・否定文・疑問文)を識別する。
<B>学習上の作業の基本。
1.宿題は、帰ったらすぐにする。
2.字はていねいに書く。
3.間違いの上に訂正を書かない。行間に赤で書く。
4.ノート直しは詰めて書かない。
5.ノート直しはほんとに気を入れてやる。さらなる間違いを書いて練習しない
こと。
6.日本文はやたらとひらがなばかりで書かない。適切に漢字を用いる。
<C>1学期の英語を習得する上で。
1.主語(or主部)の人称が区別できる。
2.単なる疑問文の最後は揚げて読む。疑問詞のある疑問文は下げて読む。
3.分かち書きをする。
4.単語と単語の間は1文字分あけて書く。
5.肯定文・否定文なら文の終わりにピリオド、疑問文なら?マークをつける。
また文頭は大文字から始める。
6.単数なら冠詞をつける。
7.習った単語は必ず覚える。
8.音読する。大切な文は暗記してしまう。
9.bとdをはじめとするスペルの単純ミスは、5月末くらいまでに無くしてしまう。
10.イディオムとは何かを知る。
11.前置詞を知る。
12.日本文をみて、be動詞の文か一般動詞の文かをすばやく掴む。
13.設問の主語に対し、代名詞で答える。また、二度目は代名詞に転換する。
14.同じ間違いは3回までに止める!
これ以外にもあるかと思ってますが、一応3つに別けて挙げてみました。英語を学習するのだから、当然最初はアルファベットの練習をして、単語の発音やその覚え方を習い、挨拶などの文句を耳にし、そして文法に移って行きますね。ただその際、この1から14まで挙げた項目の、まさに反対のことをとことん生徒はやってくれます。
E-juku1st.Comの中1英語(通年用)問題集では、まず単語の暗記のしかたを十二分に演習し、そのあとbe動詞の文法(38枚)を徹底して学ぶべく構成してあります。なぜ最初に、be動詞の勉強を徹底してやったほうがいいのか、be動詞の文法をたっぷり演習し習熟してその後に一般動詞の文法(25枚)に移ったほうがいいのか、その理由をひと言でいえば、「主語」にあります。
「<A>英語を学ぶ以前に知っておくべき常識。1.主語と述語(or主部と述部)ぐらいは、ふつうに判別できる。」と「<C>1学期の英語を習得する上で。
1.主語(or主部)の人称を区別できる。」
主語(or主部)がどれかおさることができない、そしてその人称を正確に区別できないところから来る文法的過ちと混乱は、生徒が中1英語習得の過程で遭遇する災難(?)のなかで最大のものであろう。中学にもなって、まだ主語も認知できない生徒が、非常識なほど大勢いるのをご存じでしょうか?
主語とその人称の把握を中途半端な状態にし、あるいは後回しにし、be動詞と一般動詞の述語部分を動かし回して1学期を終わらせ、そして2学期になる頃に、実は主語には3人称単数があるんだけどその場合にはこれこれこうなるんだと、間が抜けた(ここが一番のネック)教え方をする昨今の教科書の文法構成と配列には、生徒も災難なものだとも思わないでもない。
なんでも最初はやさしい、途中からすこしずつ難しくなっていく、また覚えるべき内容も増えていくといった経験上の感覚で、勉強の中身を捉えている場合が、一般に多いかと思います。よって、英語の場合も最初はやさしく、確かに単語を覚えていく事には多少の困難を最初伴いますが、まあ大体が1学期の場合、主語の何たるかを意識せずとも、またbe動詞と一般動詞の文法の区別もその狭い範囲でやっていれば、つまり教科書どおり進めていれば、テスト内容もその設問形式も同様にやさしいので、80点以上の点数は8割以上の生徒がまずとれるのがふつうです。
しかし、その狭い枠組みのなかで生徒は、1学期のあいだに何を基礎として吸収し固めたかといえば、よーく観察すると甚だ心許ないものがあると言わざるを得ません。この期間に明確に意識して、理解と暗記を心がけた文法は何でしょうか? 実はそれが教科書の内容のままで勉強していると、習ったことが知識として整理整頓できない生徒(わたしからみれば、9割近く)にとってはとても曖昧な状態になっている、と指摘しておきます。このことがわかるのは多くの場合、2学期に入ってからなのです。2学期には、また新しく習う文法も当然ぐんと増えてきます。
そうした授業の流れのなかで、疑問に思うところや曖昧な箇所をよく考え追求し、そしてそれらをなくし、全体を整理する力のある生徒ならいいのですが、そうでない多くの生徒は、be動詞と一般動詞の文法が完全に入り混じり、疑問詞のある疑問文を本格的に習いだした頃には、その答え方をどうするかで混乱がより深まってくるのです。
3人称単数の主語がまだ判然としないところから来る間違いで済むならまだしも、応答の問題で設問の主語を適切な代名詞に転換することができない、二度目には代名詞に置き換える、といったルールもまだ定かに掴んでいない。つまり主語に関する基本ルールがまったく認識・区別できていないのか・・・、といった大きな大きな欠陥を露呈してきます。
さらに、一般動詞の根本ルールも、主語の認識が甘いため数々のミスを引き起こす。英語力の基盤がまだじゅうぶんに形成されていないこの時期の生徒は、一般動詞の文法に大きく影響され引きずられてしまいます。それゆえ、be動詞の文法までぐちゃぐちゃにしてしまうケースが多々出てくるわけです。
生徒には折に触れてたびたび、「be動詞ができる奴が、英語ができるんだ!」と言ってきましたが、be動詞の文法がしっかりしているからこそ、一般動詞の文法との区別が鮮明にできるわけで、日本文での対比はもちろん、英文上での細かな差異も見分けがつくのです。そうでない生徒は、たとえば現在進行形なのにbe動詞が時間が経つといとも簡単に欠落しますし、存在のbe動詞も満足に和訳できない、英作力も極めて弱いのがふつうになってしまいます。
ですから、最初が大切なんです。はじめに何を固めるか、形作るのが大事なのか、生徒にじゅうぶん意識させ、理解と整理整頓させるのか、その対象を明確にすることがポイントです。そして十二分に演習し掘り下げて身につけることが、中1の1学期になすべきもっとも重要な課題になるかと思います。
その第一が、主語(or主部)なんですね。その人称をすばやく正しく捉える力をきちっと身につけることが、その後に必ず起こる文法的混乱をできる限り防ぐことに繋がるのです。
中1の後半だけなく、中2生や中3でも英語が弱い生徒の文法的混乱と誤りの原因を遡ると、そのすべての震源地はここに在る、といっても過言ではありません。最初に十二分に掴んでおくべき主語とその周辺の文法に、まったく習熟していなかったことが、共通している現象なのですから。ですから1学期に、これを叩いて叩いてもうじゅうぶんだというくらいしっかり固めることです。
まずはbe動詞の文法を通して、主語を徹底して知ること、そして代名詞転換を学ぶことです。一般動詞と違ってbe動詞は、たった3つ、is,am,areしかありませんから、述語に意識をあまり働かせずとも、ただただ主語を見つめることができます。主語の拡がりを初めからしっかり見据え、判断することができるのです。
ご存知のように、主語は1人称、2人称、3人称があり、またその単数と複数に別れます。そして代名詞の場合なら「格」があり、主格、所有格、目的格とその使い方を学ばねばなりません。物か人かによっても訳し方、使われ方も異なることを知らねばなりません。さらに上で書きましたように、応答の問題では設問の主語に対し、答えは適切な代名詞に転換するということ、前の名詞が二度目に出てきた場合も基本的には代名詞に置き換える、というルールがあります。
こうしたことをまずbe動詞の文法の範囲だけで、他の文法に邪魔されることなく徹底して演習する。間違いはつねに直し、問題を進めるなかで繰り返し、深く理解していく。ほんとうに確実にできるようになるまでには、これに対応した演習問題を数多くこなす必要があります。おそらく、思っている以上の時間がかかるでしょう。
また中1のこの時期、<A>から<C>までの「基本の習得」、要は勉強を進める上でのさまざまな弊害を取り除いていく、基本を知らない生徒は新たに構築していくことが当然求められます。
こうした勉強のなかで、主語とその人称を瞬時にして判断する目が持てるようになれば、また適切な代名詞転換をすばやくできる力をつければ、be動詞に関わる文法の基礎と基本の骨子は、人一倍強固に形成されるでしょう。
そして次に、一般動詞の文法に入ったときには、主語がたとえ3人称単数であろうと、これはあらゆる形――this,that,it,he,she,your
book,my mother,a woman,his camera,her notebookだけでなく、their teacher,one of
themなど、3人称単数であるという認識がすでに頭に刷り込まれているので、その代名詞転換も正確にすばやくできるのです。あらたな文法を識別する目を持って、スムーズに一般動詞の文法を受け入れて吸収することがより容易になるのです。
以上、なぜ最初にbe動詞の勉強を徹底してやったほうがいいのか、その理由を述べてみました。参考になるところがあれば、さいわいです。
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