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§211 英語の入試長文に入ってわかること VOL.1
<具体策>
前回では中3の2学期後半の生徒の英語の実情、それも長文対策に入ったときのその英語力と国語力の関連について述べました。
今回は残り少ない期間のなかでどのように学習を進めるべきか、それも「入試長文の勉強」のなかで如何に点数を確実に取れるようにもっていけるか、そのためにはいったいどうすればいいのか、そのひとつを助言しておきます。
公立入試前の過去問対策ではなく、その前の11月、12月、そして冬休みと1月にかけて進めていく勉強方法です。とはいっても現実、この時期の中3生の7割前後は通塾しているでしょうし、その指導がかなりあるかと思います。またそれ以外でも通信教育や家庭教師の指導を受けている生徒もいるでしょから、まったく個人的に勉強している生徒は限られてくるでしょう。
それでも長文が苦手、これまでの力からして思うように点数が取れない、また塾でもその勉強をしているのにその効果が出ないなどなど、またどういうふうにすれば長文問題に強くなるんだと迷っている生徒も多いかと思います。
しかし、これから書くことは、その生徒すべてに役立つものではありません。また実行が容易であるものでもありません。むしろ逆です。この最終の時期の、しかも英語力のすべて(&国語力)を問う段階ですから、ある一定の基本の知識を持っていることは当然の条件です。中途半端な気持ちならやめておいたほうがいいわけで、何より真剣さが第一に要ります。
さて前置きはこれくらいにしておいて、どうするのか? それは簡単にいって「解体と再構築」の作業、とでもいえばいいでしょうか。ちょっと硬い表現になりましたが大まかにいって、解体は、英文の訳を徹底して行い、英文の使われている文法を十二分に分析、把握すること。再構築は、日本文に直したものを基の英文に直すことです。しかしこの再構築はすべてすると大変なので、重要な箇所、キーポイントとなる英文だけを日本文から英作転換できればいい。つまり、英文解釈と英作の両方を取り入れた勉強ですね。
「いや、それなら、いまの塾でも似たようなことを勉強しているよ」 と、いう生徒も多いでしょう。しかし、2つの点で大きく違う。
まず1つは、似たような勉強の段階に留まっているに過ぎないということ。塾の指導する側の力量もある、また生徒の消化する能力、どこまで深く追求できるか、その学習のしかたの深浅にも大きく影響される。もう1つは、他人から与えられたものをするか、自分でするかの違い。他人からある程度咀嚼されたものを教えられるか、自分ですべて咀嚼しなければならないかの違い。これは根本的に勉強の世界が異なる。それは、やってみればわかる。
具体的に。
いい入試長文のひとつを、じっくりていねいに解き、徹底的に解剖する。
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1.いい(orと思える)入試長文のひとつを、まず自分で解き、解答を合わせる。
間違いを直すのは当たり前だ。 <ここで終わる勉強は最低のやりかた>
2.その入試長文を手書きでノートにすべて書き直す。1行ごとに。
大学ノートを用い、左ページに英文、右ページにその日本語訳。左ページ
1枚だけでは書ききれない場合が多い。そのときは右ページではなくもう1枚
めくった左ページに英文を書くこと(日本語訳も同様)。
3.右ページにまず自分で訳していく。わからないところは空白にして、無理し
て書かなくていい。無理して書いたのは殆ど間違いだから。
4.解答を見て、自分の和訳の間違った、わからなかった、おかしいところを直
していく。大体解答の日本語訳は意訳されていることが多いので、自分の書
いた直訳とは、表現や訳す順番が違うことが結構あるかと思う。うまく訳す
事は必要ないので、意味がほぼ同じなら、修正しなくてもいい。とにかく最
後まで訳す。
5.4の作業で同時にするのが、文法のチェック。英文に下線を引いたり、括弧
で括ったり、重要構文は特にマークし、単語から熟語まですべて分析をする。
ここが難しいというか、やり方が浅かったり学力の差が出る。しかし、これ
以上はここではなんとも説明の仕様がないので、まあ、それぞれの視点で
頑張ればよい。
また、設問に対して答えに当たる英文に印をつけ、なぜそれが答えになるのか、よく考え理解する。 <通常2〜4がなく、1と5で終わる学習が個人にしても塾にしても多い>
6.5のなかで和訳として重要な部分、また文法や構文として必ず押さえておかねばならない英文orその骨組みを右ページに抜き出し、徹底的に頭に入れ込む。単語や熟語関係でまだわかっていないのは当然練習し、暗記する。
7.全体を見回し、この長文から得るところ、吸収しなければならないところを考える。文法や構文を見落として和訳の転換で間違った部分は特に注意して頭に叩き込む。また設問に対する答え方の部分で、未熟なところはないか、文法的にまだわかっていないところはないかなど、十二分に反省を加える。
<ここまでが「解体」の勉強、つまり英文解釈>
8.再構築。つまり、日本語に直したものをみて、そのすべて英文に転換する作業。この勉強のしかたは、英作力を抜群に磨くことはもちろん、あらゆる英語の知識を強固にする点でとても有効なものだけど、それだけに誰にもできものではない。偏差値で最低でも68以上をもっている生徒しかまずできないので、無理してまでする必要はまったくありません。 ==================================================================
これで1問の勉強が完成。1日ではとても無理で、また集中力も続かず、さらに最後まですると勉強の中身が雑になるので、2,3日に別けてする。最初はなんでもそうだけど、要領を得ず、かなりしんどい。が、2問目以降は何をすべきかがわかり、そのぶん少し楽になる。また改良というか、掘り下げる眼も深くなっていくはずだ。
長文読解の内容としては、「日常生活」「手紙」「異文化交流」「環境・社会問題
」「インターネット」「説明文」の6タイプと「対話文形式のもの」を1つ、計7種類をすればよい。
この7つの長文を、その面倒で時間がかかる学習を通して、じっくり長文のなかのひとつひとつの英文のつくりを観察すれば、長文中に必ず使われる文法や構文、頻出の単語、イディオムなど、殆どとは言わないまでもかなりの部分まで知り尽くせることになる。
これこそが長文読解するために、なくてはならない力、攻略する実力となるといえるでしょう。それは長文を読むに臨んで、前以ってつけておくべきメガネみたいなもので、ここに何がある、あそこにこれが必ず使われているといったことを誤ることなく見つけ出す、それゆえ長文の正確な読解ができることになるんですね。それは当然、設問に対する正答率を上げるのはいうまでもあり
ません。
あとはこのことによって身につけた力をさらに確かなものにするために、ノートに写したり、和訳したりの作業はせず(時間に余裕があればするほうがいいのだけど)、英文を速く正確に読み取る訓練、問題にすばやく対応できるコツや知識を増やすことをポイントに、他の長文にできるだけ多くあたっていけばいいのです。
よくですね、アドバイスとして、まず1度目は速読しろとか、大意を掴めとか、あるいは設問を先に読んで長文を読めとか、ほかにもいろいろなものがあるかと思いますが、それはみな、ある一定の確かな長文読解力があってこそできるものだということを知っておきたい。
1日2時間、3日で1つできるとして、計21日要する勉強方法です。普段の英語の学力に対して、長文問題(入試はこの形しかないわけで)になるとどうもその力が発揮できない生徒に、ひとつの参考になればと思っています。
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それぞれの立場と状況で問題集を選択、かつやりかたの工夫をすればいいことですが、E-juku1st.Comからこの課題に対応した問題集をご参考まで下に明記しておきます。
「<新版>公立入試英語の攻略 by Toppo」(高校入試対策問題集)
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