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§9英語について思うこと VOL.1
<英語と国語力>
今回より「英語について思うこと」を少し述べてゆきます。最初は、英語と国語力の関係について少し触れたいと思います。
英語は、数学で述べましたように「学校で教えてる数学と入試数学のギャップ」という点に関し、それほど違いを感じません。むしろ生徒側の要因に学ぶ上において、問題点はさまざまあるように思います。
その一つが国語力です。「ゆとり教育とは何か」を論じるつもりはありませんが、昨今の生徒の、その90%近くが外面の成長とは裏腹に内面の成長が伴っていない、むしろ幼児化しているように感じるのは私だけではないように思います。まず物事をあまり知りません。深く知りませんではありません、ただ表面的なことでさえ知らないことが多い。
学校や塾や本の中で学んだことではなく、日常の中で見たり、聞いたりしてごく普通に接して得られること、それはテレビのニュース、新聞、さまざまな雑誌、本、今はインターネット、等、いろいろ情本源があるかと思いますが、ここから何を得てるのか、吸収しているのか? いつも不思議に思うんです。
対象が中1ぐらいでいいますと、次のようなことです。
(中2、3生も試してください)
1.<社会>フランスの首都はどこ? 2.<理科>冬の夜、南の空に見え
る星座は何? 3.<国語>神社の境内( )で遊ぶ。読みを書け。4.
<数学>半円を書け。<英語>study 3単現のs
をつけて書け。
ごくごく平凡な問題ですね。英語以外、全て小学生のレベルです。もし、時間があれば子供にやらせてみてください。因みに解答は、1.パリ 2.オリオン座 3.けいだい 4.省略
5.studies
4は、もう半円を反対側に同じように書けば、ラグビーボールのようになってませんか? 3は、きょうない、と読んでませんか? 5は、studys
と書いてませんか? 厳しく言えば、5問出来て当たり前。なんら特別の知識でもなく、努力を要する問題でもないからです。優しく言うなら、少なくても4問は出来て欲しい。ここまでが限界です、基礎ですから! しかし悲しいことに、私は生徒の現実を知ってます(何ら誇れることではありませんが)。即ち、3問しか出来ない、いえ、中には1、2問しかわかっていない生徒の多いことを。
次はやや勉強の知識も入った、<普通>の問題を出します。
1.<社会>フランスはEU の中でも代表的な農業国である。その輸出品目
の農産物の第1位は何? 2.<理科>胚珠は成長すれば何になるか?
3.<国語>動ける、という動詞の活用の種類は何? 4.<数学>立方体
の見取り図を書け。5.<英語>水曜日、のスペルを英語で書け。
どうでしょうか? 解答は、1.小麦 2.種子 3.下一段活用 4.省略 5.Wednesday
3は、「活用の種類」と「活用形」の区別、違いが出来ていますか? ひどい場合、「活用の種類って何?」と問題そのものの意味がわからず、聞いたりしませんか。4は、見たら自然に立方体に見えますか? 辺と辺が平行に書けてますか? 5は、もし書けてもW
が小文字になったり、d が抜けていたりしていないでしょうか。
こういったことが何故国語力と結びつくのか、それについて書けば原稿用紙10枚ぐらいになるかと思いますのでやめますが、簡単に言って、ものを考える、記憶する、理解する、何が大切で覚えておかねばならないかの判断、想像する力などは全て、人から与えられるものではなく、その多くは言葉や文章を通じて自分の力で鍛えてゆく、培っていくものだからです。
文章を正しく読む、書かれてることの内容を正確に掴む、何を理解して覚えておかねばならないかそのポイントを考える、はたまたその文章に描かれている世界、情景を想像する、といったことは、読書を通じてであり、その芯を入れるのは国語の科目だとしても、全ての教科に通じるものです。その支え、土台になっているものを、ここでは国語力と呼んでます。
これがか細いと、別な言葉でいえば、土壌がもろいと、立派な苗も十分育ちません。直接的に、間接的に、国語力は他の教科に強い影響を及ぼす。少なくてもある程度の国語力を持って勉強しなければならない。その少なくてもが、読書離れの結果、さらにひどくなり、それに比例して、学力全体が以前より低下している、と教えていて、肌身に感じることがしばしばです。
それは至るところで出てくるのですが、中1の英語で例を言えばこういうことです。「彼は公園で妹と遊びますか。」と「あなたのおばさんは英語の先生ですか。」の二つの英作があるとします。どちらも中1の2学期で十分出来る内容であり、基本ですね。
まずは最初の文から。「彼は公園で妹と遊びますか。」
(正解)Does he play with his sister in
the park ?
<では、間違いの例>
1.Does he play with his sister in the park
.
2.Does he play with sister in the park ?
3.Does he play with his sister in park ?
4.Does he plays with his sister in the park
?
5.Do he play with his sister in the park
?
6.He plays with his sister in the park ?
7.he play with sister in the park ?
8.he play with sister in park.
(まだまだあるのですが、きりがないのでこのへんで)
一番多いのは1です。?マークのつけ忘れ。何だ、そんなミスか、ほぼ出来てるじゃないと思われる方もいるでしょうが、実はこれは厄介。最初のころは誰でもしますが、何十回注意しても、直らない、注意できない生徒がいます。中1の1学期中にしっかりこのミスをなくせない、つまり自己注意できない生徒は、2年でもやりますし、3年でも時折します。その間、指摘は100回は
軽く超えます。このような基本ミスを永続的にする(?)生徒は、長文読解に対応できると考えますか?
2、3は、軽症のミスです、直せます。4は、理解が足りない。それまでたっぷり説明、また演習はしてるのでが、あるとき突然出てくる例です。根気よく直してゆかねばなりません。5は、主語の人称を見ていない、重症です。英語は常に主語から入る!と、何百回も言います。同じく、時制と文の形も口を酸っぱくして何百回も指摘し続ける!(中3まで) もしこれをしてるのなら、
早めに直すこと! 6も同じレベルです。まったく注意力が欠如している。7,8はどこから指摘、直してゆかねばならないか?! 学校でも塾でもついて行けていないでしょう。相当しっかりした熱心な家庭教師が必要かも知れないですね。
次の文例。「あなたのおばさんは英語の先生ですか。」
(正解)Is your aunt an English teacher
?
<間違いの例>
1.Is your aunt an English teacher .
2.Is your aunt a English teacher ?
3.Is your aunt English teacher ?
4.Are your aunt an English teacher ?
5.Does your aunt an English teacher ?
6.Your aunt is an English teacher ?
7.Do you aunt English teacher ?
(7のバリエーションはさまざま)
上と同じなので反復は避けます。まず一つ申し上げれば、5の間違いです。習う順番はBe動詞のあと一般動詞が普通ですが、5のミスは新しく習った一般動詞の文法に頭が強く支配されて、前に習ってそのときは出来ていたものがどこかに見事に吹っ飛んでしまっている。文そのものが読めていない! そして整理、区別が、自分の頭の中でしっかり出来ていないんですね。つまり、「ある程度の国語力」が弱い!
もう一つ、4のミスを直そうとしますね。先に断っておきますが、生徒に主語の人称を掴ませる為に、国語の文法と英語の文法を少し別けています。ましてや、高校英語の文法も敢えて別けています。なぜなら、出来るだけ明快に、単純に、判断させる為です。ですから、厳密な文法と捉えないで下さい。間違った生徒に問います。
「日本文の主語はどれか?」(私)−「あなたの」(生徒)「違うだろ」(私)−「おばさんは」(生徒)「・・・」(私)−「先生」(生徒)「違うだろ、何度も言ったように、〜は、が、も、のついてる言葉が主語でしょ」−「あなたのおばさんは」(生徒) やっと、主語にたどり着く。信じられない場合は
「ですか」を主語という生徒もいる。こんな主語や述語の区別なんか、小学校の国語の基本中の基本でしょう?! 私の経験で言えば、公立中学の中1生徒の半数近くが分かっていないような気がするなあ。
「では、その人称は?」(私)−「3人称単数」(生徒) ここで3人称と答えられればまだましである。もし分からなければ、さらに細かく説明、それでも分からなければ更に階段を下りて底辺まで行かねばならないこともある。
「じゃあ、Be動詞は何?」(私)−「is」(生徒)「では正しく、言い直せ」、という進行になる。
つまり、中1の英語で(中には中2、3で)、国語の基本を説明しなければ授業が進まない、生徒が理解できない、という現象が頻繁に発生するわけです。その内容は上でも触れたように、主語と述語、名詞、動詞、形容詞の判断と区別といった、小学校で誰でも知っておかねばならい易しい基本です。残念ながら現在の公立中学に進学している生徒の約70%ぐらいの生徒は、上で述べた「ある程度の国語力」が身についていない!と思います。
ですから、この間違い、ミスをする、分からない、忘れる、の根っこの部分に目を向けて改善、努力をしていくことが、問題解決の近道であり、大切かと思います。
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