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§40 塾の選び方についてVOL.1
<その塾に行って効果があるかどうか?!>
塾を選ぶという視点の前に、塾に行くべきか行かないでもよいか、という問題がありますね。
私立中学入試の場合、現在は小学校で教えてる内容と中学入試のテストレベルは大きく乖離してるのであり、個人で受験勉強をするのは至難の技、専門の塾に行ってそれ相当の猛特訓しなければ、合格は覚束ないのは周知の事実です。
また同様に、超難関私立高校(偏差値70前後)の場合も、中学の学習内容の応用レベルと高校の学習内容のベーシックな部分は出題されるわけで、かなり優秀な生徒でも、個人で勉強するだけではとても対応しきれない。よってここで論じる前に、そのような生徒は既に特殊な専門化された塾に通ってるのが現実の姿だと思います。
しかし、わたしの対象としてるのは公立中学に通ってる生徒であり、その学習であり、高校受験であります。その高校受験も主眼は公立高校であり、平均的なランクの公立高校からその地区のトップ高校までを、絶えず念頭に置いてこれまで書いてきましたし、今回も同様です。
その視点で言いますと、塾を経営しながら言うのもなんですが、塾に行くべきか行かないでもよいかという命題に、本音で答えるならば、わたしの肚のなかは次のようになります。
「そんなもの、行かないでもよいに決まってるじゃないか! 勉強なんか、自分でするものだろう。学校の授業をしっかり聞いて、先生の言った大切なことはこころに留めて、家に帰ったら復習をして、習ったことを自分の頭で考える。それだけでいい! 高校にもなると、予習をしないと授業そのものがわかんないから、復習に加えて予習も必要になる」
これがわたしの答えです。わたしは頭が自分でもいいとは思っていなかったから、復習をしないと、完全に習ったことを整理して覚えられなかったけど本当にかしこい生徒は学校の授業だけに集中してその場だけで覚えたものです。そんな生徒は涼しい顔して、テストなんぞで100点or98点なんか取っていたけど、自分の頭を覗くに、とてもわたしには真似ができるわけもなく、自分流の勉強をしました。
今ではこのような考え、姿勢は、あまり通用しなくなりましたが、昭和二十年代生まれのわたしとしては、それが当時では普通の感覚でした。塾なんかに行くのは、また家庭教師について勉強するのは、受験を控えた極々一部の優秀な生徒か、頭のまわりがもうひとつよくないお坊ちゃんかお嬢さんで、両極端でした。
まあそんなことはどうでもいいことですが、昭和四十年代から五十年代にかけて塾に通う生徒が増え出したわけで、今では都道府県と学年によって違うものの、小学生では三分の一以上が中学生では半数以上が、また中3では七割以上が通塾している状況ですね。時代は変わりました。
されど、「勉強の基本」は昔も今も変わっていません。勉学の基本がしっかり身についてる生徒は、学校だけの勉強で十分じゃないかな。但し、井の中の蛙になる危険性もあるので、自分の実力を常によく把握しておくべきで(定期テストだけでは絶対にわかりません)、時折、外部の公開実力テストとか、模擬テストなんかで診断することが大切かな。そして、いい問題集を使うこと。
基本と実力を磨ける問題集ね。(ごめんなさい、ここで少し宣伝を。下記URL
で、時間があればご参照を。
http://www.e-juku1st.com/indexcontents1.htm.htm
次に、塾に行くべきだ、として、「塾の選び方について」考えてみたいと思います。
これは、塾に通う動機も事情もさまざま、その生徒の学力レベルもさまざまであり、大まかに括ることが難しい。また、本、雑誌、ネット上で散見される「塾選びのポイント」なんて、その実、読んで見れば、一方的で且つ表面的な内容、概括的なことしか書いていず、何の役にも参考にもならないのも困るし、まあしかし悩んでいてもしかたがないので、わたしなりの意見というか、感想というものを、全体を蔽うことはできないので、ある部分的な断片にメスを入れて述べてみたい。
まず最初にいえることは、これから行く場合も既に行ってる場合も、「その塾に行って、効果があるかどうか?!」でしょう。
効果とは何か? 成績が上がることですね。例えば、中2生で英語が苦手でテストの点が48点しかない。2ヶ月通って次のテストでは63点になった。これは効果があったと、一応判断していいのではないですか。
されどもし、他の教科が70点や80点取れてるから、本人もお母さんも例えば英語も80点近くを望んでるとしたら、それは大きな間違いで、そんなに早く成績がぐんと向上するはずがない。何故なら、もう既に英語を1年あまりも勉強して基礎が済んでるのに、本人の中には新しく学んだものはある程度入ったとしても、基礎がぼこぼこ抜けてるものだから、テストではその穴やミスが噴出しているのです。これを埋めていくのに、生徒のレベルと意欲にもよりますが、上の例では普通半年以上はかかるものだからです。
そして半年が経ったとします。もしその生徒が定期テストで英語の点が80点を超えるようであれば、そこまでゆかずとも75点ぐらいは取れるようになっていれば、かなりの効果があった、と言えるでしょうね。その生徒の努力もさることながら、塾の英語の先生の力量もたいしたものだと思います。
しかし、相変わらず63点前後をうろうろしてるならば、効果という面でどうでしょうか? 判断しづらいところですね。塾に行かないよりもまし、といった程度で、生徒も塾の先生も一応やるべきことはやってるという、感じかな。でもですね実は、この状況が大半のケースではないでしょうか。
また少し家庭教師についても触れておきますが、塾で30点(上のケースでは48点が78点ですね)も上がらないのならば、よくテレビのコマーシャルでやってる某大手家庭教師ならどうか?という考えもあるかと思います。しかしこれは、その子の性格もありましょうし、家庭教師の力量も大いに関係することで、なんとも判断しかねます。頭がいい人が即教えるのも上手いとは決し
て言えないわけで、相性もあるでしょうし、当たり外れは塾以上にあるのではないですか?
そしてもう一つ注意すべきことは、30点上がるのも夢じゃないで、まあ現実にはそのようなことは10人に1人くらいだと類推しますが、仮にそうなったとしても、それは1教科の話だということです。塾のように3教科或いは5教科を教えきる家庭教師はそういるものではないし、また実際に勉強する科目も限られるのではないでしょうか。その辺の考慮もいるかと思います。
効果という面で、更に突っ込んで話をしますと、上で述べたことは成績が上がることで説明しましたが、つまり学校の定期テストでの点数を挙げて書きましたが、もっと大切なことは、「実力」が上がるか?!、なんですね。
敢えて乱暴な言い方をすれば、教えることは簡単、成績を上げることも簡単(ちょっと難しいが、時間があれば)、しかし、実力を上げることはとても難しい。実力とは簡単に言えば、習った範囲全てのことでしょう。中1生なら中1の既得学習と小学校で習った全範囲(まあ、5.6年ですが)。中2生なら中1の全範囲と中2の既得学習。中3生なら中1・2の全範囲と中3の既得学習になるわけで、その力を指します。
このように、「成績を上げること」の学習範囲が、その成績が定期テストを指すのなら、たかだか2ヶ月の期間のことでこれを面と仮定すれば、「実力を上げること」の学習範囲は、上記でわかるようにまさに面の集合の空間になるわけです。よって、成績がいいことが必ずしも実力があるとは単純に言えないことが、これでお解りいただけたでしょうか。実力を上げることはそう簡単に
はいかないということ。逆に言えば、本人の力なりに、実力を上げてくれる塾こそが、本当にいい塾と言えるのではないでしょうか。
塾を選ぶに際し、また既に通っていて今の塾がいいのかどうかを判断するに際し、「その塾に行って<効果>があるかどうか?!」という観点で述べてきましたが、問題提起のような形でまだ結論的なことや、では実際どうすればよいのか、どう判断すればいいのかという、具体的なことを書いていませんね。
次回VOL.2で、その辺をもう少し拡げて書いていきます。
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