§19 社会について思うこと VOL.4
<公民勉強だけじゃないないよね!>
今回は中3社会の勉強のしかたと流れについて書きます。
わたしが指導する中3社会は塾で既に、もう受験勉強をやっています。中1の「地理」からですが、わたしが作ったプリントで世界地理の復習です。その後日本地理をして、一応終わるのは7月の上旬です。次に「歴史」を直ぐに始め、夏休み一杯をかけ、9月の中旬には完了します。2学期に全て、中3の「公民」を済ませ、大体12月から総復習をし、入試問題集等で1月、2月に実践演習を行います。
以上が年間の大まかなスケジュールですが、公民の定期テスト対策とかどうするんだと言えば、テスト2週間前にこの大きな年間スケジュールを中断し、テストに備えるようにしています。週1回の勉強で、中学の3年間の学習をし、且つ受験対策もするわけですから、それはそれは大変な作業です。
中3はとてもしんどい学年です。中1、2年のようにその学年の勉強だけしていればいいんじゃないわけですから。変な言い方ですが、過去を引きずらなければならない。で、その過去ですが、社会の第一回(VOL.1)で述べていますが、中1、2の地理・歴史の実力があればいいんですが、見事にない!引きずるものがとても軽いのが、90%以上の生徒の現実です。軽いということは、学んで覚えてきたものをどこかに置き忘れたか、捨ててきたんですね。
どれぐらい捨ててきたかを言いますと、平均の生徒で基礎の(応用じゃありません、やや込み入った詳しい知識では全然ありません)70%です。30%ぐらいしか頭に残っていない。注意しておきたいのですが、これは何も実力テストで30点しか取れない、ということを意味してるのではなく、テストでは問題説明やヒント、また記号問題などがあり、実際取る点数は50点ぐらいかも知れません。わたしが取り上げてるのは、あくまで<中身の実力>です。
えっ、逆じゃないの? 基礎的なことの30%も忘れるなんて、それじゃあ習った全体でいえばもっひどいじゃないの――という声が聞こえてきそうですが、それが普通の感覚ではないでしょうか。現実はもっとひどいということです。少し細部に入ったやや知識力が問われる問題は別にして、せめて基礎ぐらいは完全に覚えておくように!とするのに、半年近くかかるのです。
生徒の基礎実力30%(よく出来る生徒でも、即ち定期テストで90点前後取ってていた生徒でもわたしが診断するとせいぜい60%ぐらい)で、一体どうして基礎学力だけでも100%近くもっていくことが出来るでしょうか?!
それは「わたしが作り上げたプリント」と「一冊の問題集」で行うのですが、それは一言でいうと問答無用の徹底した暗記です。漠然と一から闇雲に覚えていくのではとても間に合いませんし、表面的な暗記にとどまり、それはまた時間とともに直ぐ忘れていきます。うんざりすることにわたしは生徒の暗記力の実態を知悉しています。
それゆえ、まずわたしが作成した地理・歴史のプリント(ノウハウが一杯入ってますが)で、骨組み(幹と枝)を作り上げます。実はあとからです。そして骨組みの確認、演習は問題集でします。これはきれいに書いてますがその内容、中身たるや、叱咤叱咤の連続、生徒はいや人間はわたしも含み、すぐ低きに流れますから、初めの意気込みからだれてくるものです。それに注意しながら、こつこつ全力投入で毎回暗記して、テストを行います。週一の授業として、6ヶ月要するわけですから、24回ぐらいの緊張を維持しなければならない。
その結果、秋頃になると、平均的な力の生徒でも偏差値的には60を越すぐらいにはなります。成績のいい生徒は70、それでも忠告どおり真面目にしない生徒は56ぐらいですか。塾平均の社会の偏差値は63前後には毎年なっています。
しかしこれは何も塾の自慢をしてるわけではなく、こうやっていくと成績が上がるということを言いたいのです。これで終わりではなく、やっと基礎の土台を完成したに過ぎません。そのあと、土台で一部また崩れた(忘れた)所を補修しながら、実をつけていく作業に取り掛かるわけです。
その実をつける作業の一つに、新学力観の表現力というものがありますね。
「これこれを50字以内で説明しなさい」とか「〜についてあなたが思うこと、感じることを簡潔に書きなさい」という問題です。実に厄介なことです。何故なら今の生徒は本を読まず、ゆとり教育に反比例するが如く、国語の力が低下しており、読解力は言うに及ばず、表現力が貧困であるからです。
まあこれは差し置いて、以上のような経過で中1、中2の地理・歴史を勉強し且つ中3の公民も学習するわけですから、これを読んでいただいた父兄の方、生徒は、秋から暗記科目(?)の社会に手をつけていけばいい、とは努々考えないでしょう。それでは基礎実力ですら間に合いませんよね。
今回は具体的な勉強方法は述べませんでしたが(VOL.2と3で述べました)、その代わり全体の学習のしかた、スケジュールについて触れました。もし感じるところあれば、発奮して早速着手してください。そして継続してください。
やる内容は骨組みです。教科書で言えば太字、問題集、参考書でいえばポイントのまとめの部分です。それだけでも完全に覚えこみ、基礎学力だけは十分身に付けるよう学習を進めることです。
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