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§19社会について思うこと VOL.3 new
<「歴史」は歴史年表でしょう!!>
中2で習う社会「歴史」(直列の場合)について書きます。
初めに、一番言いたいこと。それは「歴史は、年代を暗記すること!」です。
ぜひお勧めしたい。
現在の中学ではあまりこのような指導をしていないように思われます。また
入試に向けた問題集で、歴史の勉強のしかたのアドバイスを見ていますと、細
かいことに捉われず歴史の流れを掴むこと、その出来事の背景などをしっかり
理解すればいい、などと書いてあったりします。
わたしからすれば、これら中学の指導(or無指導)やアドバイスは、生徒の
歴史に対する知識の実態をとんと知らない、なんてピントのずれた不毛な見識
なんだろう、と呆れるほかありません。
勉強を進める上に於いて、「生徒の暗記力」というやっかいな問題がありま
す。これは既に数学でも、英語でも述べてきたことですが、社会の歴史につい
てもはるかそれ以上に、問われるべき課題です。一部の生徒(私の経験則では、
わずか3%〜5%ぐらい)を除いて、大半の生徒が、この「暗記力」なるものを
じゅうぶん身につけていないなあと、あるいは暗記のしかたとその訓練を満足
にこれまでやってきていないなあと、実感することが度々あるわけです。
このことをもう少し具体的にいえば、次にような現象です。たとえば、1学
期の中間テストで古代から四大文明、日本の縄文時代からまあ飛鳥時代まで習
ったとします。
A君は93点とりました。いい成績ですね。B君は75点、C君は68点とったとし
ましょうか。次の期末テスト、奈良時代から鎌倉時代までのテスト範囲としま
す。A君は89点、B君は72点、C君は63点でした。
夏休みが終わり2学期期、その中間テスト。室町時代から世界の動き、歴史
も入り江戸前期までテスト範囲としましょう。
A君91点、B君79点、C君72点。次、期末テスト。江戸後期からヨーロッパ産
業革命、日本の明治維新まで。A君は88点、B君は75点、C君は63点。
3学期に入り、学年末テスト。日清・日露戦争から第二次世界大戦までがテ
スト範囲。A君は92点、B君は78、C君は71点でした。
さて、中3になりました。実力テストがあり、今回は中1の地理はなしで、わ
かりやすいようにあえて範囲は歴史だけとします。さあ、どういう結果になる
でしょうか? もちろんテストの内容は平均的で、習ったなかのやや専門的な、
詳しく掘り下げた問題は省き、基本的知識ばかりの出題構成とします。
平均点48点だった、としましょう。
もしここでA君が80点以上とるなら、実力はまずまずあるかなといえます。
しかし72点しかとれないとすれば、どういうことがいえるのか? たまたま悪
かっただけ? いえいえ、これが本人の正しい実力なんです。忘れてしまった
んですね、基本的な知識すら。つまり、暗記力がいい、とはとても言い難いで
す。ところで、B君とC君は? 56点と45点ぐらいではなかろうか、と推定され
ます。
この点数のどこが悪いの、また覚えればいいじゃないの、と気楽にとらえる
のもひとつの考えではあります。しかしそれ以上に、さらに忘れている率が高
い「地理」がありますよ、中3では「公民」もまた勉強しますね。残念ながら、
このへんが生徒の社会における学力の実情ではないでしょうか。
この現象を生徒の次元で分析すれば、上で書きましたように、まず暗記のし
かたそのものに大きな原因があると思います。
即ち、「経糸(たて糸)」しか通していないんですね。経糸しかない布なん
て想像できませんが、あえてたての糸しかない面をちょっと頭に描いてみてく
ださい。横からすこし圧力を加えると簡単にぐらつくでしょう。その状態なん
です。では、ぐらつかないようにどうすればよいか?――「よこ糸」を通せば
いい。経糸とよこ糸ががっちり絡めば、そうぐらつくことはなくなるでしょう。
一度学習して覚えた知識が時間が経ってもそうそうぐらつかないことが、実力
の正体そのものではありませんか? ならば、この「よこ糸」とは何か?!
わたしが知るものとしては、ふたつあります。ひとつは「歴史年表」で、も
う一つは「歴史雑学」です。どうすれば「歴史」について“強く”なるのか?!
それには、この「よこ糸」を自分で紡いでもらいたい。その紡ぎ方を体得すれ
ば、先の話になるけれど高校に入って日本史、世界史を学ぶ際、大きく役に立
つことを知るでしょう。
歴史年表をたえず横に置いて見る。あるいは、勉強机の近く目に触れるとこ
ろに貼る。でも、それは教科書の裏にあってつねには見づらい、なんて声も聞
こえてきそうですね。それなら、それを剥がせばいいだけでしょう。
習った範囲までの重要年代を暗記するのです!! もちろん、基本的な出来
事とあわせて覚えること。これは進むにつれ、即ち1学期、2学期、3学期とだ
んだん覚えていく量が増えることを意味する。定期テストの範囲だけ、それも
範囲の2,3か月のあいだ覚えているような甘い勉強ではいけない。それは、
「たて糸」そのものでしょう。「よこ糸」を通すこと! 前半に比べ後半の歴
史になると、暗記すべき年代も俄然増えていきます。しかし、何事も訓練して
いるとコツを覚えるもので、そう厭わしく感じることもなくなるものです。
ここで少し、テストを出してみます。<A>と<B>と<C>の三つを用意し
ました。よければやってみてください。
<A>は歴史をまだ習う前の中2生に。<B>はすでに終えた中3生に。<C>は
Bが物足りないな感じる中3生に。
<A>〜小学6年生レベル
(問い)次の年代から、日本の歴史で思い出すことは?
1.1600年 2.710年 3.794年 4.1192年 5.1853年
<B>〜中2の基礎事項
(問い)次の年代から、日本の歴史(日)、世界の歴史(世)で思い出すこと
は?
1.1492年(世) 2.894年(日) 3.1858年(日) 4.1894年(日)
5.1929年(世)
<C>〜中2の歴史知識は本物?
(問い)次の年代から、日本の歴史(日)、世界の歴史(世)で思い出すこと
は?
1.1517年(世) 2.1221年(日) 3.743年(日) 4.1936年(日)
5.1789年(世)
【解答】
<A>1.1600年(関が原の戦い) 2.710年(平城京) 3.794年(平安京)
4.1192年(鎌倉幕府) 5.1853年(ペリー浦賀来航)
<B>1.1492年(世)(コロンブス、西インド諸島到達) 2.894年(日)(遣
唐使の廃止) 3.1858年(日)(日米修好通商条約) 4.1894年(日)(日
清戦争) 5.1929年(世)(世界恐慌)
<C>1.1517年(世)(ルターの宗教改革) 2.1221年(日)(承久の乱)
3.743年(日)(墾田永年私財法) 4.1936年(日)(2・26事件)
5.1789年(世)(フランス革命)
さあ、どうでしょうか(もし、テストをした場合)?
説明はないし、文章もないし、こんなのわからん、という声が聞こえてきそ
うです。しかし、ちょっと考えてみてください。説明文やヒントになる言葉が
あれば全てできるんですか?と。わたしがここで重点を置いて言及してるのは、
52点の成績ではなく、すくなくとも80点以上とる実力に関してです。(ほんと
は基礎的事項の問題なら、95点前後はとってほしいものですが・・・。)
歴史年表を絶えず見て覚え、更に重要年代を暗記する、つまり「よこ糸」を
しっかり通して記憶を強固にすること! これが歴史に強くなる学習法です。
更に一歩進めたやり方は、「自分で歴史年表を作ること」です。(わたしなど
は中学の折、実際作りました。それで、かなり記憶が強固になったものです。)
「よこ糸」のふたつ目、雑学について触れておきます。歴史の教科書以外に、
自分で「断片的」でいいので、「あっ、これは知ってるよ!」という知識や記
憶が、学校の授業で習う前にもっと欲しい。ところが現実は、小学校ですでに
大まかな歴史について習ってるはずなんですが、実際簡単なことを聞いてもき
れいさっぱり抜けてる生徒の、なんと多いことか・・・。
中学の歴史は、譬えれば、荒い網目の中にやや細かい網目を織り込んでいく
ようなものですから(高校では更に細かい網目になる)、最低荒い網目は知っ
ていなくてはなりません。しかし、それがあまり無いのが、驚くことに大半の
生徒の実情でしょう。
というと、どうなるかすこし極端にいうと、30%の知識(小学)に残り70%
(中学)を吸収するのではなくて、ほぼ0%に近い状態で、あらたに100%学ぼ
うとする形といえますから、知識の定着と溜まりようは、見かけと違い、低く
のなるはしかたがないところなのでしょう。
まあそれはさて置き、「雑学的知識」で提案できるのは、漫画とテレビでし
ょうか。本当はもっといろいろなところにあるわけですが、生徒が実行しやす
く、かつ現実的な方法としては、このふたつかもしれません。
歴史マンガがありますよね。二十何巻かありますが、その中で気に入った本
から読んでいけば。中身はけっこう教科書以上に詳しいですね。たとえば、
「源頼朝」を主人公に扱ったマンガなら、鎌倉時代の武士とそれを取り巻く社
会が実によく描かれていますね。御家人や封建制度がわかり、その前の平清盛
との関係が知ることができ、北条政子の承久の乱(よくテスト、入試問題で出
ますね)での檄を飛ばす状況、甥の北条泰時が執権政治を確立したこと、御成
敗式目についても知り得ます。
歴史全体を見渡せばそれはほんの一部分ですが、記憶のなかに鎌倉がはっき
りイメージでき、ひとつの歴史的実のよりどころとなる。これは本当に大事で
すよ! また、同じように「聖徳太子」がわかれば飛鳥時代のイメージができ、
「織田信長」を知れば安土桃山時代が彷彿しえる。彼が行った貿易が、まさか
テストで、勘合貿易とか朱印船貿易とか答えるはずがないと思いますよ。イエ
ズス会のフランシスコ・ザビエルの宣教師と関連したスペイン、ポルトガルの
南蛮人、つまり南蛮貿易になるはずですね。
このように、記憶のよりどころが断片的にではあるにしても、もしイメージ
できたとすれば、これは上で述べたように、たしかな「よこ糸」なのです。こ
れはNHKの大河ドラマなどテレビも同様ですね。学校の教科書や授業だけでなく、
「歴史」を学ぶ機会はいろんなところにあります。歴史に関する知識の記憶を
確実にするために、一番近いところにある「歴史年表」の活用と併せ、自分に
できることを考えてみてはどうか、と思っている次第です。
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