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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§416 文理学科の数学の問題を解いてみて思うこと VOL.2
<これまでの壁をぶち破ったひとつの画期的・改革的なテスト>

 前回の続きです。文理科の数学の学力試験(120点満点)について。
 解説部分は省き、出題内容と点数をもう一度書いてみます。

<問1>小問{計52点}
(1)計算(中2レベル){5点}★
(2)平方根の計算(式の値を求めよ)(中3レベル){5点}★
(3)確率(中2レベル){5点}★☆
(4)図形の計量(回転体の体積を求める){5点}★★
(5)1.1次関数と整数問題の融合問題{5点}★★
   2.1の発展{7点}★★★
(6)1.2次関数での証明{12点}★★★
   2.値を求めよ{8点}★★
<問2>図形<平面>問題{計33点}
(1)図形(円の証明)〜(合同){12点}★★
(2)1.図形の応用{12点}★★
   2.図形の応用{9点}★★★
<問3>図形<立体>問題{計35点}
(1)1.図形の基礎{6点}★
   2.図形の応用{12点}★★
   3.図形の応用{8点}★★★☆
(2)図形の応用{9点}★★★☆
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★   :教科書や授業など中学で習った基本が身についていれば、まずでき
     る問題です。(16点)
★☆  :たった1問しか印がついていませんが、基本レベルの問題です。し
     かし正答率の面で、あまりよくないだろうということで1.5のレベ
     ルにしました。(5点)
★★  :入試の応用レベルです。いわゆる入試対策の勉強を行って、しっか
     りできるようになっておきたいレベルの問題です。偏差値でいえば
     60から65くらいの間に属する問題といえるでしょうか。(54点)
★★★ :数学の真の応用力と思考力が問われる、文理科受験生にとっては勝
     負となる問題です。ここで差が、確実に出るように作られている。 
     偏差値でいえば、68から70くらい。(28点)
★★★☆:★★★の問題とそれほど差はないが、微妙に違うともいえる。超難
     関私立の問題に較べればそこは公立入試の問題、まったく歯が立た
     ないような問題の作り方ではなく、とっかりや攻略の糸口は探れる
     ように作ってあるけれど、その力をつけておくには相当な演習と準
     備が要るだろう。(17点)
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 これをみてすぐ気づかれると思うのですが、大問3題の構成のうち、2問がなんと図形問題で占めています。実は<問1>の(4)も完璧な図形問題であり、また点数でみれば120点満点中73点、およそ6割が図形で占めているのです。ちなみに大阪府の一般入試でも数学は、4問構成で2問が図形問題で、図形力がとてもとても重要なのですが、文理学科の入試数学はさらにその比重が高いわけです。

 特色の多い私立入試でもこのような例はあまりなく、公立入試としてはまさに異例の構成バランスと出題のされ方といえるでしょう。公立高校の入試は「そもそも」平たくいえば、中学の教科書や授業で広く一般的に学習してきた知識がどれだけ身についているか、その学力の定着具合をみるためのものとすれば、数学の問題も中1から中3までの全範囲から、万遍なくとはいかずともできるだけ広く多くの単元から出題され、その力をみることが求められているといっていいでしょうか。

 しかし、この「そもそも」という感覚と理解のしかたは、全生徒を対象とした、また中学サイドに立った捉え方であって、高校側の物のみかたや判断のしかた、あるいは大学進学へ向けた取り組みなどまったく違う価値判断と土俵があるわけで、より確かで高い数学力を選別するならばこうした文理学科の数学の問題バランスは、きわめて蓋然性のある出題のされ方だと、わたしはみております。

 カタイ話になりますが中学校学習指導要領の数学では、全体の目標として、次にように掲げています。

「数量,図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習得し,事象を数理的に考察する能力を高めるとともに,数学的活動の楽しさ,数学的な見方や考え方のよさを知り,それらを進んで活用する態度を育てる。」

 後半部分はまあ理想としてわかったとして、前半部分を抜粋、つなぎ直すと、「数量,図形などに関する事象を数理的に考察する能力を高める」と解釈され、文理科数学の問題では<問1>が数量、<問2>と<問3>が図形となり、「そもそも」の平板的な視座ではない、考察する能力がほんとうにどこまで高いのかをよくみる、その意味で合理性をじゅうぶん持ったテスト構成でなかろうかと、そしてこれまでの壁をぶち破ったひとつの画期的・改革的なテストでもあると、大いに評価したい。

 さて、こうした客観的(?)な分析と評価に対し、この文理学科数学の問題を解いた直後の主観的な感想といいますか、ちょっと印象を書きますと。

(こりぁー、学校で習うような基礎だけではなんの役にも立たんなあ。中1から中3年まで延々と学んできた知識、基本の学力だけでは、20点(120点満点中)も獲れんぞ・・・。)
 と、いうものであります。

 もちろん文理学科志望(平均倍率約3倍)の生徒ですから学校の通常のテストや実力テストではそこそこいい成績(たとえば90点以上)をとっているものと想われますし、また塾なども行っていろいろと応用レベルの問題やその対策も受け、個々の教科の学力は別にしても全体的な評価としては偏差値もかなり高いものを持っているでしょうから、上述の20点というのはあくまで平均的な生徒の数学の力から視た場合の想定で、もっと上の点数がとれるのは当然です。

 しかし、それではどれほどとれるのか、これは前回のメルマガで述べてありますがもう一度部分的に記しますと、「★と★★の合計は、75点。★★★は28点。★★★☆は17点。(計120点満点)」となり、「8割の線なら、96点となります。★と★★と★★★まですべて正解なら103点。つまり、★と★★のレベルの問題は確実にとれることと、★★★のレベルの問題3題のうち2次関数の証明はできて、あとの2問のうちどちら1問ができていれば、ほぼいいことになります。そして8割の96点ではなく現実的にはもうすこしゆるめた90点以上(でも)あたりが、どうやら最低条件になるかと判断しております。」ということになるのですが、さてその実情はどうでしょうか? ネット上ですこし拾ってみました。

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1.数学はもともと苦手ですのでおそらく半分あればいい方かなという感じ。
2.私は文系人間なので余計にできませんでした。高く見積もっても60前後。
3.数学はボロボロ。大問3は全部×でした。(おそらく60点から70点のあいだか)
4.最初の計算でミスの連発。(約分ミスを思い出したときは涙目だったと思う)
 自分を『落ちたな』と思わせた最大の要因。ただ、記述式は簡単だった気が
 する。60点ぐらい。泣きたい。
5.数学 87点前後 (内申163.5点)
6.数学68点(内申160.5点)
7.僕の友人は5人みんな90点以上。なかには110点以上の者もいる。
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 基本の学力だけでは20点もとれんぞと書きましたが、そこは文理科学科志望の生徒、最低でも60点以上(ただし120点満点)はとれていますが8割の96点以上、それを現実的にゆるめた線の90点以上とれているのは、7番の生徒の記述のみです。★(基本)と★★(応用)の合計で75点あるわけですが、5の生徒をのぞき、そこにさえ到達しえていない生徒が、7人中5人もいるのはちょっと驚きです。

 もちろんこれでもって、数学における受験生全体の成績の姿を表しているとは考えていませんが、それにしてもできていません。5や6の生徒の内申点は、もう考えられるべき最高の評価、ほとんど理想にちかい最高点をもらっています。大阪府の内申は10段階の相対評価で、内申点の満点は165点ですから、160.5点や163.5点がどれほど高いかがお判りになるでしょうし、そして学校での成績順位も学年でも1,2番であることが容易に想像されるでしょう。

 逆に7番の生徒は、憶測をまじえることになりますが友達5人というのは、書きぶりからおそらく進学塾内の、それもトップクラスに在籍しかつそのなかでもさらに上位層に属する生徒たちのグループかなと想像していますが、必ずしも学校の成績とは比例しておらず、1,2番でない可能性もかなりあるんではないかなと判断しています。

 つまり、合格するには、他の2科目(英・国)の成績も当然大きく影響しますが、そこでの学力差は極端には大きくは出ず、この数学の試験の成績如何にそれがかかっているかなと考えています。内申:学力検査=3:7の比率ですから、どんでん返しのケースも従来よりずっと多く出てくるでしょう。完全な形ではありませんが、実力本位のテストとはこういうものです。

 こうなると、相手が従来の考え方や判断のしかたをとりやめて、ワンステージ上げたテスト改革を行ったのですから、こちらもそれに合わせた考え方、意識改革、そして数学に対するもう一歩踏み込んだ質の高い受験対策の勉強が求められるでしょう。

 もちろん公立高校の入試制度は都道府県により異なっています。数学のテスト内容も形式も、さらにその難易度の構成もまちまちですから、上で書いたことが一般にすべて当て嵌まるものではありません。ですが、都立高の独自問題をはじめ、今回からの大阪府の文理学科の問題、その他の府県も入試制度の改革によって、従来の公立トップ高のレベルよりさらに一段高い学科を設けた公立トップ高の独自問題など、英・国もそうですがとくに数学の問題難化は著しいところがありますね。

 よって、個別的・部分的問題ではないということで、ご参考までもうすこし論を続けたいと思います。この続きは、次回のVOL.3で。