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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§330 高校受験における数学勉強法 VOL.1 
<75点ぐらい取れる能力を2年半のなかで>

「中学で学習する数学の内容をすべてやり終えました。学校の授業レベルの基本内容はすべて習得しました。また3年ぶんの復習もし、漏れている知識は補い、3年の実力テストでも数学は、ふつう95点前後、問題がちょっと難しすぎたりミスをしたりの原因で85点を取ってしまったことはあります」 と、いう公立トップ校を目指している生徒を想定して、その抱えている問題点や注意すべき勉強の進め方などについて、今回書いていきます。

 かなり限定した対象となりますが、このメルマガをお読みいただいている方には、公立進学校及び公立トップ校を目指されている生徒をお持ちの人がけっこう多くおられ、またそうではないにしてもいろんな意味で参考になる点はあろうかと思うからです。

 ただ限定したとしても、実際塾に通っている生徒もいれば、自分で○会とか○○ゼミなどを利用して勉強している生徒もいれば、また一部わたしの問題集で勉強を進めている生徒もいれば、それ以外もっと別の理由や目的で勉強されている方もいらっしゃいます。その勉強の背景や、これまでどこまで突っ込んで勉強してきたか(つまり応用レベルの問題に対して)もさまざまであり、焦点をただ一点に合わすことは不可能です。それでもある一定の事実というか法則というか傾向があるもので、そのあたりの絶対多数に焦点を中てて述べてゆきたいと思います。

 さて、上記の生徒が受験レベルの問題に全面的にぶつかると、どうなるのか? これも都道府県の数学の出題構成やその難易度、さらに自校作成問題を課す高校によってその判断は違ってきますが、平均よりやや上のものとして仮定するに、その力はまず、65点ぐらいになるのではありませんか? 

「いくさは二手三手を読まねばならない。それがたとえ無駄になったとしても、後悔せぬよう打てる手はすべて打つ。その後はもうなるようにしかならない。開き直って、臨機応変に対処していく。それは謙信の教えだった」

 これは唐突ながらいま、たまたま読んでいる「上杉謙信・景勝・直江兼続」に関する小説のなかの一節ですが、受験もいくさに喩えることはよくありますね。65点とはいくさにぶつかる前の、まだその準備すらできていない状況で、もしその力で臨めば、いともあっさり負けてしまう。せめて最低85点くらいまで取れる数学の力を身につけて受験に臨みたいのだが、まずその前に、もうちょっと考え、押さえておきたいことがあります。

 こんな中3の例が、あるところに載っていた。時期は、中3の2学期後半。(内容の筋は変えず、表現その他は変更して。)

「来年入試の中3です。塾には行っておらず、○○ゼミをやっていてその問題
集と旺文社正答率50%以下の問題集をやり終えました。そして2,3日前、過去
問を解いてみました。しかし、数学60点台前半で非常に厳しいものでした。
学区トップの公立高校を志望しているのですが、総合425点以上を超える点数
がないと安心とは言えません。
 先月までは模試でもS判定が出ていたのですが、今月はA判定に下がり、全体
の順位も二桁から三桁に下がってしまいました。さらには学校のライバルにも
抜かされました。
 私の県では数学が難しいということで、気合をいれて「○○数学問題精講」
も買ってやってみましたが難しく、さらに訳のわからない定理ばかり書かれて
いて頭が混乱しています。
 A判定と言えど、過去問で360点しか取れないので焦ってきます。何をすれば
いいのかもわかりません。これからどのような勉強をしていけばよいでしょう
か?」

 真剣に勉強と自分によく向き合ってる姿が、髣髴とされる質問です。点数からいって、数学だけが問題なのではなく、他の4教科のこれまでの勉強のしかた及び知識のつけ方にも大いに問題になるところがありそうですが、そして模試のいい評価と入試過去問の点数とのギャップが開きすぎで、そこがこれではどうもよく掴みづらい点もありますが、この生徒の学力分析をするのが目的ではありませんので、数学だけに絞って捉えてみます。

 厳しく書かざるを得ません。直截にいえば、平凡な学習をして来たのでしょう。もちろん本人はそうじゃない。しかし、傍からみれば、というか結果からみれば、そうなる。まだほんとうの結果はこれからだけど、これまで2年半の結果は出ている。つまりその間、「二手三手先を読んだ」勉強をして来なかったのだ。また「たとえ無駄になったとしても、後悔せぬよう打てる手はすべて打つ」勉強をして来なかったといえるのではないか。

 これは何を言ってるか、その詳しい説明は、HP上の「数学について思うこと」の記述40(http://www.e-juku1st.com/gakusyunosikata.htm)のなかの約半分で述べていますので省きますが、要するに、いまの勉強をしつつ常に過去の復習もする、そしていまの勉強をしつつ常に入試レベルの問題もする、こうした重層的な勉強ができていなかった、ということです。

 この生徒は、通信教育の教材を利用して自宅で勉強してきたわけですが、それなら、塾に通っていろいろとノウハウや専門的な指導を受けていたならもっと違う結果が出たかといえば、そりゃあわからない。出たかもしれないし、出ないことだってじゅうぶんあり得る。こんな仮定の話をしても意味は無い。

 問題は、いかなる条件のもとであっても、すくなくとも公立トップ校を狙うんなら、入試過去問に入って最初に、65点ではなく、せめて75点ぐらい取れる力を、ここではもう能力という言葉を使いたいですが、75点ぐらい取れる能力を2年半のなかで培って身につけておくのが当然だろう、それがなぜできていなかったのか、まずその原因を自分で考えておけよ、そしてその学習の悪い部分に気づいて深く反省し、できるだけ改めておけよ、それができているのかな?といいたいわけです。「これからどのような勉強をしていけばよいでしょうか?」という質問をする前にね。

 なぜこういうことを書くかというと、入試レベルの数学問題に入っての、その生徒の能力の伸びしろを考えるからです。ふつうは受験対策を1ヶ月から数ヶ月やれば、入試傾向を掴み問題の解き方にも慣れ、要領もわかって点数は徐々に上がっていくもので、このことは数学も同様です。

 しかし、長年の生徒指導の経験とその分析からすれば、他の4教科と違って数学は、その点数のアップをそのまま信じられないというか、まともに受け取れない面があるのです。つまり、持てる「能力」+伸びしろ、の眼で点数アップの中身を見抜いて(?)いないと、成績の判断に狂いが生じるのです。

 上記の生徒で、具体的数値でシミュレーションしてみましょうか。(せめて最低85点くらいまで取れる数学の力(←正確には「能力」です!)を身につけて受験に臨みたい、がわたしの助言でした。)

 数学60点台前半ということで、63点としておきます。1回目ですね。過去5ヵ年分をやりました。どういう年度の順番で解いたかは構わない、とにかく5回分解きました。またそれと平行して、入試レベルの数学問題を本人なりに演習したとします。

63点(1回目)→76点(2回目)→70点(3回目)→85点(4回目)→80点(5回目)
 
 3回目は下がってしまったけれど、4回目にはようやく85点をとり、5回目も80点ならまあいいんじゃないかと、そして全体には、本人もよくがんばり受験対策の成果も表れ、まずまずの結果が出て、ある程度自信も持てたといったところでしょうか。この受け取り方は、生徒もご父母の方も当然でして、もし学校の先生や塾の先生が見てもほぼ大半が同様に感じるところでしょう。

 さて、本番の数学の入試結果です。「71点」でした・・・。
 ほかの科目がどうだったのか、内申がどうだったのか、そして合格云々はどうだっのかは、わかりません。問題は、数学がこれではいけないということでです。ここではいろんな弁明の言葉がありますが、それらは一切排除します。

 ただただ、このようになってはいけないということで書いています。もちろんこういう結果にならない場合もあります。が、なってしまうケースのほうが実は数学に関しては多いということで書いていますので、お間違えなきよう。

 過去問の点数の推移を、すこし分析しておきます。
「3回目は下がってしまったけれど、4回目にはようやく85点をとり、・・・」
 つまり、受験対策をした結果、その伸びしろを、4回目の最高点85点を割り引いて5回目の80点として、1回目の63点から5回目の80点、つまり17点前後伸びたと、ふつう考えるわけですが、果たしてそうなのか?

 わたしはむしろ、この生徒の伸びしろは入試点の71点から初めの63点を引いた8点が妥当だと考えています。実は3回目に70点をとっています。入試点とほぼ同じです。この年度はほかの年度に較べて問題がより難しかったと推測されますが、実際の本番の緊張した入試状況のなかでは、受験した年度の難易度云々に関係なく、この対策期間の難しかったときの獲得点数が、その生徒の「持てる<能力>+伸びしろ」を、より正確に表しているように思っているのです。

 もちろんこのシミュレーションには矛盾というか疑問点もあります。初めに受けた年度の問題がたまたま例年より難しかったという場合もありましょうし、その逆もあるわけで、また点数の上がり下がりの推移もバラバラでしょうし、生徒によってはもっと小幅な点数の動きをする場合もあるからです。

 このことは頭に入れておいて、「75点ぐらい取れる能力を2年半のなかで培って身につけておくのが当然だろう」と書きましたので、先にもう一例、同条件で、75点を初めに取った生徒のシミュレーションをしてみます。

75点(1回目)→84点(2回目)→82点(3回目)→92点(4回目)→88点(5回目)
<比較の意味で63点の生徒も再度下に書いておきます。入試点は71点。>
63点(1回目)→76点(2回目)→70点(3回目)→85点(4回目)→80点(5回目)

 本番の数学の入試結果は、「83点」だったします。
 どうでしょうか? やはり対策期間のようには実際にはとれないですね。90点前後はとれるようには見えていたけれど、83点。これはこれで課題はあるのですが、それでもまあまあ可もなく不可もなく、数学の一応の結果は残せたのではないでしょうか。 

 この二人の差はどこにあるのでしょうか? それぞれが入試対策の勉強を熱心にして、徐々に点数は上がっています。また一番よかった点数どおりには本番のテストで点数を稼げていません。もう、おわかりですね。入試対策の本格的な勉強に入る前の、2年半のなかで培って身につけてきた能力の差が縮まらずそのまま出ているのでしょう。ふつうに考えればそうなりますし、現実も大体このようなことが多いです。

 ゆえに、受験対策に入って「これからどのような勉強をしていけばよいでしょうか?」という質問をする前に、「いくさは二手三手を読まねばならない。それがたとえ無駄になったとしても、後悔せぬよう打てる手はすべて打つ」といった勉強を、2年半のなかで試行錯誤しつつもできるだけまず努力しておくことが大切だと思います。

 さて最後に、このシミュレーションには上で記しましたように、個々の生徒にそのまま当てはめた場合、整合性の面で疑問点が出てくるかと推います。しかし、おおまかな把握でいいのですが、○+□=入試点という単純な図式では入試の点数はまず計れないということ、○+□−△(or○+(□−△))=入試点と捉えていたほうが、最終段階での生徒の数学の力(能力)をより正しく
判断ができるということ、そうした観点に立って書いていることをご理解ください。(○は、2年半での持てる能力。□は、入試対策をしてのアップ力。△は、目減りです。)

 次回のVOL.2では、入試対策に入っての「伸びしろ(□−△)」について、その注意点などを説明してゆく予定です。


<注> 末筆ながらE-juku1st.Comで上記の勉強に最適な問題集は以下。
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「75点ぐらい取れる能力を2年半のなかで培って身につけておく」問題集
☆各学年「通年用数学問題集」二手三手先を読む、打てる手はすべて打つ!
・中1生:http://www.e-juku1st.com/tyu1eisucontents.htm
・中2生:http://www.e-juku1st.com/tyu2eisucontents.htm
・中3生:http://www.e-juku1st.com/tyu3eisucontents.htm
☆上記と平行して、入試へ向けた図形力の基礎を鍛えておく問題集
・中1生&中2生:「算数の図形教室問題集<B>」【中学生用】
 URL :http://www.e-juku1st.com/referencebooks/sansuu1.htm
・中2生&中3生:「THE 証明」問題集
 URL:http://www.e-juku1st.com/referencebooks/mathjituryoku8indx.htm
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