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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§331 高校受験における数学勉強法 VOL.2
<伸びしろについて>

 高校受験における数学勉強法の第2回目。今回は、入試対策に入っての「伸びしろ(□−△)」について。

 ○+□=入試点という単純な図式では入試の点数はまず計れないということ、○+□−△(or○+(□−△))=入試点と捉えていたほうが、最終段階での生徒の数学の力(能力)をより正しく判断ができる、と最後に書きました。(○は、2年半での持てる能力。□は、入試対策をしてのアップ力。△は、目減りです。)

 2年半で獲得してきた数学の持てる能力○を、70点から75点と仮定して(65点ではありません)話を進めます。

 あと25点から30点。そのすべての知識と解法を吸収し、そして本番の入試で発揮しえたら、理屈上では100点になる。しかし、個人的な経験では、こんな生徒に過去一度も出遭ったことはないし、90点以上もあまり記憶にはない。公立トップ校に進学した生徒の大半は、80点から85点あたりである。VOL.1でシミュレーションしたように、もちろん過去問対策をしたときには80点台後半や90点を超える点数をそこそこ出せるようになっていても、数学だけは、結果はこうなる。もうちょっとだけ、あと3、4点だけ、5点だけ欲しいなあ、あると力どおりの結果が残せたのになあ、といつもすこし悔やみたくもなりますが、でも、これが入試の数学(△のひとつ)なんだろうなあ、と思っております。

 でもこれを、反対側からみればどうなるか? 70点から75点の能力を、80点から85点あたりに引き上がっており、まさにこの10点が、入試対策に入っての「伸びしろ(□−△)」を示しているわけで、合否に激しく関わっていることを認識していてほしいと思います。

 さて、あと25点から30点の内容ですが、そのほとんどは入試レベルの応用問題ということになります。そのすべてが難しいわけではなく、よく読んだり考えれば平易な問題もあり、またよく考えてもなかなか解法の道筋が浮かばない問題もあります。こうした勉強をどうすべきなのか、どうあるべきなのかが、入試対策の作業のなかで求められているのでしょう。

 自分の都道府県の過去問を解くことは、そのひとつですね。
 あるホームページに、次のような過去問への勉強法が載っていた(もうどこのHPのものかわからなくなっています。一部無断転載、お許しください)

A.「過去問そのままの出題は、普通考えられない。その設問を裏表上下左右縦
横斜め、あらゆる方向に変えても解答できるためには、本質的な理解が伴わな
い限り無理である。しかし、その一問を、裏表上下左右縦横斜めから検討して
いれば、恐らく10倍以上の効果が得られる!
 何回模試を受けても点が伸びない学生は、この作業をやっていないことが多
い。逆に、点がすぐに伸びる学生は、これを十二分に行っているのである。こ
のためには、たぶんその一問のために、場合によっては数十分かかるのではな
いか!?」

 おそらく文面からして、大学受験に向けての高校生への助言だと推いますが、高校受験でも本質は同じです。わたしのHP上でもすでに、この内容と同じような指摘は繰り返し書いています。でもこちらのほうが、表現がより鋭利ですね。

 よく目にするのに「過去問は少なくとも最低3回は解くこと!」といったアドバイスがあります。それは入試問題のおよそ7割前後を占める基本問題には有効といえるかもしれないが、残り3割の思考力を要する応用問題には通じない。通じなくしているのは生徒自身であるけれど、そもそもこんな軽佻浮薄なアドバイスをする輩は信用ならん。

 たった1回でも上記の学習法をできる生徒は、それ以上同じ問題をやる必要はない。反対に、最低3回やっても上記の学習法をできない生徒は、応用のなかの中・高度なレベルは吸収し得ないし、ほとんど進歩はないのが実情である。なのに、「そうですね。何度も何度も解くことが大切ですね」と、一見正解にみえるものの、実は応用問題への本質的な勉強を掴み損なっている公立トップ校受験生の言葉なんかを読むと、あれれ、わかっているのかな?とか、それはすこしポイントがずれているだろう、とかいいたくなります。
 
 また、こういうのもあります。(内容はそのままではなく、修正して。)

B.「高校受験までの数学の勉強法は、問題をひたすら解くことです。高校受験
に出る数学の問題は、難関私立中学入試とは異なり、ほとんどが基礎的な問題
です。よって、問題集や教科書の例題にある問題を解いて行くだけで、十分高
校受験対策にはなります。」

 こうした入試数学の問題の誤った捉え方とアドバイスは、ネット上に非常に多く見受けます。実際に自分で過去問を1年度分、制限時間をもとに解いてみれば、このようなデタラメなことは決していえないはずなのですが、よほど頭がいいのか現実に生徒を教えたことがないのか、そのどちらかでしょう。また百歩譲ってこの主張を認めるならば、この勉強法は、3、40点しか取れない生徒を、平均点あたりまでなんとか上げるのに有効な方法かと思います。

B(続).「しかし、問題をただ解くだけでは駄目です。解こうと試みて、解け
なかった場合の対処法が重要です。解く方法が何通りかある問題も少なくはな
いですが、解き方がマニュアル化されているのですから、解けなかった場合は
すぐに答えを見て構いません。考えるのは時間の無駄とまでは言いませんが、
それほど実にはなりません。数学は思考能力が問われる分野と思われがちです
が、少なくとも高校受験の範囲の数学に関しては、物を言うのは記憶力です。
例題を解き、自分がどの問題を間違えたのか、その問題の正解はどうなのかを、
逐一ノートに記しましょう。<略>」

 問題集や教科書の“例題にある問題”を解いて行く段階で、こういう指摘なのですから、程度が高くないなと思いますが、そうでなく高校受験に出る数学の応用問題だとするなら、「考えるのは時間の無駄とまでは言いませんが、それほど実にはなりません」と「少なくとも高校受験の範囲の数学に関しては、物を言うのは記憶力です」の主張は、ある程度そうだと同感するところはありますが、どうも大事なポイントの部分の捉え方は間違っているように思っています。

 一般に、数学の勉強法には、「暗記型」と「理解型」があります。中学の数学はご承知にように、高校の数学に較べてそれほど定理や公式が複雑にかつ難しくあるわけではなく、またそれらの理解もさほど苦しんだり時間をかけたりするものはありません。ということは、基本的な学習内容では「暗記型」とか「理解型」とかに別けるのは大袈裟であり、基本的な学習内容を融合した形とそれらの知識を活用しての、いわゆる受験問題のなかの応用問題に入って、この「暗記型」と「理解型」の勉強が始まるといえるでしょう。

「暗記型」とは、解けなかったら解答の解法を暗記し、そのパターンを覚えればよい学習法で、上のB(続)はこれに属する。「理解型」とは、問題の意味と解法の意味を本質的なところまでじっくり考え込み、理解する学習法で、はじめに書いたAがこれに相当する。

 ただ現実に生徒がこれを実践する場合、どちらにも問題があります。「暗記型」では、考えることを怠って、問題を読んでわからなければすぐに解答をみて、なーるほどそうかと理解して、その解法を覚えるというやり方を行っていると、次にまったく同じ問題ならできても考えることを怠っていますから、類題になると、同様の解法で処理できるのにそのことに気づかないといった、つまり応用が利かない学力になってしまうことがじゅうぶん起こりえます。
そのような生徒は多いものです。

 一方、問題の意味と解法の意味を本質的なところまでじっくり考え込み、理解する「理解型」の学習法は、公立トップ校を目指している生徒でも完全にはなかなかできない学習法で、そのことは、最初に書きましたようにあと25点から30点上げる入試対策勉強を積んだのに、結果そのなかの10点ぐらいしかアップしていないという、「伸びしろ(□−△)」によく顕れているかと思います。つまり、△の目減り分に、「理解型」のまだ学習の浅さが出ているのです。

「あと25点から30点上げる入試対策勉強を積んだのに」についても、それは果たしてほんとうにやれたのかは別であり、塾で教えてもらうにしても自分でするにしても、これで完璧にまた納得するまでやり終えた、吸収しきれたということは現実、なかなかないでしょう。ですから、□の「入試対策をしてのアップ力」というのは、あと25点から30点を指しているのではなく、それは生徒によってまちまちで、ある生徒は10点しか、ある生徒は15点しか、そしてある生徒は20点しか、獲得できていないということを表しています。

 そしてそこに、実際の本番では△の「目減り分」が加わるわけですから、あらためてもう一度触れますが、「まさにこの10点が、入試対策に入っての「伸びしろ(□−△)」を示しているわけで、合否に激しく関わっていることを認識していてほしい」と、書いた意味がお解かり願えるかと思います。

 よって、□の部分をいかにもっと高めるかと△の部分をいかにもっと小さくするかが、入試対策期間のもっとも重要な課題であります。□と△は表裏一体というか密接に結びつているので、おわかりのように、□の部分の学習が浅いと△の部分はとうぜん大きくなり、反対に□の部分の学習が深いと△の部分はそれだけ減るのですから、そういう勉強をぜひこころがけてもらいたいと思うのです。いや、この表現はなまぬるいですね。たんにこころがけるだけでは10点のアップも望めないので、以下その勉強のより具体的な進め方について書いゆきます。

 と、ここまで。次のVOL.3で説明します。


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「生徒の実力は、残念ながらつねに目減りしているものです。65点ぐらいに落
ちた能力を、再び75点ぐらい取れる能力に引き上げておく勉強が必要です。そ
のための問題集が、以下です。」
・中2生:「中2数学の実力をつける問題集」
 URL:http://www.e-juku1st.com/referencebooks/mathjituryoku1.htm
・中3生:「中3数学実力テスト対策問題集」
 URL:http://www.e-juku1st.com/referencebooks/mathjituryoku3.htm
・中1生:「算数の図形教室問題集<B>」【中学生用】
 URL :http://www.e-juku1st.com/referencebooks/sansuu1.htm
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