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§43 実力テストの受け方について NO.1
<数学について>
今回は実力テストの受け方について、少し考察を。
といっても、たいした意見ではないというか、ごく当たり前の誰でも知って
る、なんだだそんなことかということなのですが、逆に、なんだそんなことか
ということを今の中学生の半数以上は知らない、できない、よって教えねばな
らない状況に、どうも奇異なものを感じるのです。そんな日頃目にする生徒の
テストの受け方を観ていて、感じることを述べてみたい。
まずその光景を想いだして歯痒く思うのは、テスト制限時間一杯にかかる余
裕のなさですか。わたしの視るテスト風景は学力テストなので、学校で受ける
定期テストとは当然問題内容、形式が違います。また質も気持ちの面も異なり
ますが、それにしても、もう少しそのやりかたに工夫はないかと思ってしまい
ます。
具体的にどういうことかと言うと、まず数学について。
数学のテストはまさに時間との勝負。40分or50分の制限時間内に、どれだけ
正確に自分の力で解けそうな問題を確実に解くか、がまず第一のポイント、鉄
則です。逆に言えば、自分の力を超えてる問題は解かないこと! これをです
ね、大抵の生徒は定期テストと同じ感覚で解こうとするでしょう。つまり、単
純に全部解こうとする。
定期テストの100点の問題と実力テストの100点の問題は違うじゃないですか。
テスト範囲も内容量も。また実力テストが業者の作成によるものなら更に違う
わけで、基本からやや応用まで含まれて構成してあるんですね。定期テストの
平均点が70点とすると、実力テストの平均点は50点ぐらいがふつうでしょう?
定期テストで出来た問題もそれが1年も前のことなら(実際3ヶ月前でも)、
忘れちゃってわからないことも多々あるのが現実の生徒ですから、これまでや
ったこともない見たこともない応用問題がもし出題されると、できないのは火
を見るより明らかなわけで、100点を目指して全部解こうとすること自体、そ
もそもおかしいのです。そのおかしいことを平気でするのが、また多くの生徒
の姿です。
といっても、その難しい問題の割合はせいぜい20点くらいで、残り80点は習
った箇所の平易で大事な問題が出されてると思って間違いない。生徒に目を転
じると、どういう光景があるかといえば、そのややこしい(?)問題に10分、
20分かけ困った顔して考えている。時間が経ち、解けもせずテスト終了です。
数日後、答案が返って来ました。さて、その結果は?!
「おいおい、54点かよー・・・。他の奴はどうだ?・・・A 君は48点、B 君は
56点、C 君は72点、D 君は88点。平均点が49点だし、難しいからいいや。それ
にしてもD 君は頭がいいからわかるけど、C 君の72点は納得いかないなあ。あ
いつと俺は普段のテストでは似たり寄ったりで、80点くらい。なのに、なんで
こんなに差がつくんだあ??」
と、思ったまま、その感想で終わるなら、次回の実力テストも同じような点
数しか取れないですよ。それから少しは復習したし、応用問題も考えた、です
って? その姿勢はとても大切だと思うけど、テスト範囲は更に広がって、問
題レベルもほんのちょっと上がれば、プラスマイナス取れる点数は同じじゃな
いですか?
それより、前のテストの取れなかった点数の箇所の見直しをしましたか?
100点−54点=46点の自己分析です。誰が一体、あなたの46点の間違い、分
析をしてくれるんですか?! それは生徒自身でしょう! 直ぐに他人と比較
したり、平均点と較べたり、偏差値があればそれを見て一喜一憂するけど、自
分の問題点を見つめ直す、反省改善することのほうが、もっと大切で基本だと
思うけどなあ。そのような当然のことをする生徒が、驚くほど少ないのには参
る。
簡単に言っておくけど、ふだんから応用問題の解く訓練、うんうん唸りなが
ら考える習慣をつけ、思考力を少しでも磨く学習をしておかないと、テストの
その場で応用問題を解くことは95%無理ですよ。以前に、その類題を解いてい
て、それを活用できて初めて解けるわけです。この事実はごく秀才を除いて今
も昔も当たり前。それを実践している生徒は、“やや応用”(ほんとうの応用
はまだ先ですよ、そんなのは実力テストレベルでは出ません)の問題の20点を
解けばよい。
もう一度自分の答案を見直せばわかる。とりあえず解答を書いた基本の80点
のうち、どれだけ正解を出しているのか? 上の100点−54点=46点の自己分
析ですが、単純に考えて、46点−20点(応用)=26点を間違えてるわけでしょ
う?! 自分ではできてるつもりが、実は計算ミスや勘違いやなんでこんなこ
とをしてしまったのかという様々なミスで、大きく点が損なわれてるのです。
やや応用の20点に気を取られ、15分、20分時間を費やし、その結果殆どでき
ず、逆に、一応出来たつもりでいる問題のうち26点もほかしている。
もうおわかりですね、どうすればよいか、を。問題を解くに際し、設問を読
んで頭に血を巡らせ考えて、1分内に解法が浮かばないのなら(粘って粘って
考え込むのはふだんの学習の中に措いてですよ!)、それは潔く捨てること!
自分の力を知り、できる問題を確実に解くことに専念すべし!です。
難しい問題以外ひと通り解けば、ややこしい問題に目を向けず、習った基本
の力を問われてる80点に戻り、残されてる時間を意義あるものにするため、も
う一度計算問題からやり直すことでしょう。必ず間違ってますから! 基本的
な問題でも100%正解を得ることはかなり難しいわけですが、見直すことによ
って、或いは初めから慎重にややこしい設問を避けて通ることによって、80%
の正解を得ることはじゅうぶん可能ですね。80点×0.8=64点は最低すくなく
ともとれるわけしょう。90%の正答率があれば、72点じゃあないですか。
自分の54点と「C 君の72点は納得いかないなあ」とを見比べて下さい。確か
にこれはひとつの論理であり、現実はそんなに上手くゆくものではないという
か、生徒の実力は不可思議なものがあるのですが、それでも64点はすくなくと
もとれる、と思いますよ。実力テストになると数学が80点以下の生徒は、以上
の内容を参考にしてください。
ここで、辛い評価も書いておきます。D 君は88点、についてです。とっても
いい点をとってます。90点前後をとる生徒は100点から間違いを引き算をする
わけで、恐らく本人もテストで間違った箇所を正確にわかっています(これが
大事ですね)。やや応用についてはできたかしれませんが、基本の部分でミス
をした可能性が高いかな。または、基本問題はパーフェクトなのに応用部分で
解法を忘れたか活用できなかったかでしょう。
しかしもし、それで気をよくし満足してるだけなら、高校入試の数学では高
得点は望めないでしょうね。質が違います。このことに関しては別の機会に詳
しく述べます。決して油断しないでください。公立中学の実力テストの問題レ
ベルは、それがたとえ応用問題だとしても型に嵌った定番の応用問題とその類
題であり、ほんとうに思考力を試す独創的な問題の出題はまずあり得ません。
即ち、型に嵌った定番の応用問題には対応する力があったとしても、自分の
力で切り拓かねばならない応用問題、つまり、習った応用への知識、ノウハウ
を活用することを前提にして、思考力を試す独創的な問題、に対応する力が備
わってるとは限らないからです。そして往往にしてその能力がない生徒がいま
すから、注意が要ります。そこには見えない間隙があり、それを埋める努力と
思考が日常的に必要になってくるのです。
(ちょっと抽象的になりすぎ、わかりづらいとは思いますが、具体例を指し示
せないのが残念です。わかる人はわかってください)
話を元に戻して、数学の実力テストの受け方について述べてきたわけですが、
上で申し上げたことは、入試本番の数学のテストでは更に徹底しなければなら
ないのです。即ち、自分にとって出来る問題を確実に取るということ。そして、
自分の力を超えた問題は捨てるということです。当然それには、順番通り解い
ていくのではなく、できる問題から、手の内に入れている問題から進めていく
のは当たり前です。その取捨を見極める能力も日頃の実力テスト、模擬テスト
なんかで養っておくべきですね。
誤解してもらっては困るのですが、これはテスト当日の本番でのテクニック
であり、安易に捨てろ、といってるのではありません。平生はむしろ逆で、粘
り強く考え、拘り、問題を追及すべきです(けれど、この姿勢のある生徒はほ
んとに少ないですよ)。そこにこそ、応用の実力の源があるのですから。
次回は、英語について、その受け方と問題点を考えてみたいと思います。
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