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§487 ガリバーって、英語では? <なにかお役に立てますでしょうか?>
ガリバー、って言葉は、誰でも知っていますよね。ガリバー旅行記が、頭に
すぐ浮かぶと思うのですが、今回わたしが言うのは、全国どこでも国道で目に
する「ガリバー」って中古車販売会社の、それです。
職業病というのかヘンな習癖というのか、英語由来のカタカナ表記のなかで
よくわかんないものに出遭うと、ついその英語のスペルがどうなっているのか
気になるもんで、しげしげと見てしまいます。そしてまあ、覚えようとしてし
まいます。
ところが、年をとって、頭の記憶する力がどうもにぶく弱くなってきたのか、
それとも、もともとこんな程度だったのかそこはよくわかりませんが、なにか
の拍子で次に同じ状況になると、あれれ?と思うことがちょっと多くなってき
ました。
まさにこのガリバーもそうでした。車に乗って、たまたま信号ストップにな
ると、角にあるその店の大きな看板が目に入ることがあるのですが、ガリバー
店名の横に英語表記のそれが、載っております。
ふん?・・・、と頭が刺激されて、そのスペルを覚えてみるのですが、何週
間か何カ月か経ってそれをまた視ると、あれれ、どうもまだちゃんと覚えてい
ないな、と感じるのです。よって止まっているその数秒以内に、また頭に叩き
込むんです。
しかし、10代の瑞々しい脳細胞ならこんなもの、いともあっさり覚えた(?)
であろうものが、いまはそうはいきません。ひどいものです。勉強は一生する
ものですが、やはり10代に行うそれは、ひと言でいうと、猛烈であるべきでし
ょう。なぜなら、その猛烈な勉強に瑞々しい頭は、じゅうぶん耐えられるよう
に作られていますし、努力と研鑽に比例して、ほとんど裏切られることなく、
よく吸収されるようになっていますから。
しかし、ほんとうに大切なのは、そうやって10代に猛烈に勉強し、吸収しえ
た知識の総量とその多寡ではなく、もちろんこれも大事なのですが、20代以降
の人生や仕事のなかで、たまたまであろうが意識的にであろうが、それをどう
やって生かすか、どうときに工夫して利用するのか、あるいはまだまだ土台に
すぎないそれらの知識のなかでどれを、どう、深く伸ばしてゆくか、なんだと
思います。
そのためには、10代の折に、これはわたしのHP上の「学習のしかた」のなか
の「learnとstudy」という題のもと詳しく述べておりますが、懸命に勉強を積
んでいくなかで、ほんとに大事な「学び方」というものも、同時に学んでいく
必要があるんでしょう。
と、いくぶん真面目なことを書きましたが、月日はぐっと流れ、いまのたよ
んない話の続き。
ところで、といいますか、ガリバーって、英語で書けますでしょうか? よ
ければ下のを見ずに、まず自分で書いてみてください。
ガリバー:( )
正解は、Gulliver です。
英単語のスペルには、簡単なものとややこしいものが、当然ありますね。こ
の単語は、ややこしい部類に入りますが、では相当にややこしいかというと、
そうでもない。まあ、どんな英単語であろうと、いったん覚えてしまうとやや
こしくもなんともないわけだけど、問題は、ややこしい個所をいかに注意し意
識して覚えられるかにかかっています。
こんなことは声を大にしていうことではありません。誰しもわかっている理
でありましょう。しかし、であります。
車に乗って、たまたまその販売店のある交差点の信号につかまって、ちらっ
とこれまたたまたま見る破目になって、そのスペルにはっとし、刮目し、まだ
完璧には覚えていないことに、気づきます。この繰り返しをさすがに4、5回も
やってしまうと、つくづくわが脳ミソの衰えと、記憶力の低下に失望してしま
ったわけであります。
ガリバー、これを英語で書くとどうなるか。その手順は?・・・。わたしの
平凡な解釈を書きますと。
ガリバーは「ガ・リ・バー」と別ける。当たり前かな(しかし、あとで書く
けれど、ここに落とし穴がある・・・。)。
まず、ガリバーの「ガ」。
gaなのか? これは中1生や、英語が苦手な中学生(なかには高校生)なら、
よくありえる発想というか思考回路だと思いますが、これは、あり得ないので
す。
ガーなら、garとなること(たとえばgarden)がありますが、gaのつづりは、
まずガとは読まない。発音記号を用いればもっと明快に説明でき、また読まれ
る方にとって、理解もしやすいかなと思うのですが、ここでは残念ながらそれ
ができません(表記のしようがない)。
gaは、ギャかゲイと読むのが、基本です。たとえば、gather(ギャザー:集
める)、gang(ギャング:一味、暴力団)game(ゲイム:試合)、gate(ゲイ
ト:門)などのように。<ただし、他もそうだですが、例外はほんと一部にし
てもあるかもしれないので、そこらへんはご容赦を。>
では、ガは、どう英語表記するのでしょうか?! その英語のつづりの基本
は意外に思うかもしれませんが、guであろう。たとえば、gun(ガン:銃)。
しかし、この適応ルールは、その単語も多くありませんし、そもそもガと発音
する英単語は非常に少ないように思います。(間違っていれば、どうかご指摘
ください。)
よって、わたしの場合でいえば、つまり頭の構造(?)からいえば、ここで
の間違いはありません。ただし、中学生や英語が苦手な高校生の場合、相当に
問題というか、ミスが出てきます。
問題は、次です。ガリバーの「リ」。
リは、r(アール)なのかl(エル)なのか、発音ではもちろん違いますが、
カタカナの文字表記からでは、どちらであるかさっぱり判断し得ません。
たとえば、river(リバー;川)、rich(リッチ:金持ちの)。しかしriは、
リだけではなく、rice(ライス:米)、ride(ライド:乗る)のようにライと
も読みます。
ri同様に、liの場合。listen(リスン:聴く)、limit(リミット:制限)。
もちろんこれは、like(ライク:〜が好きだ)、line(ライン:線)のように
ライとも発音します。
では、リに相当する英語のスペルは、riかliのどちらかかというと、そうで
はありません。たとえば、brilliant(ブリリアント:鮮明な、すばらしい。
ただし音節では、bril・liant)のように、lliがあります。Gulliverのリは、
このlliと同じです。
そして三つめの、ガリバーの「バー」。
これもご存知のように、スペルとしては、ber, bar, ver などが浮かぶわけ
ですが、正確に覚えねばミスが起こりますし、記憶の曖昧さも生じます。この
単語例はたくさんありますが、しかし、もう省きます。
と、説明してきましたが、このわたしの説明には大きな盲点というか、致命
的な過誤があるんですね。
それは、「音節」です。Gulliverの単語は、英語の辞書を引くと、Gul・li・ver
と載っています。「・」は音を区切る場所を示しています。上で例を引いた
brilliantも音節では、bril・liantです。つまり、リがlliという説明と解釈
が、根本的に間違っているのです。
いや、しかし、これではわかりづらいですね。だって、英語を習うとき、日
本語の音節と英語の音節が本質的にまったく違うことを、中・高の学校や塾の
先生やその他もろもろの英語を教える人たち、また参考書や問題集などで教わ
ってきましたか、ということです。わたしもまったく教わっていません。
とあるネット上の説明では、日本語の音はほとんど一音が一拍に対し、英語
のそれは、二、三音が一拍で発音される事が多いとのこと。ここに音節のさま
ざまなルールがあり、そして英語の発音に対する日本人の悩みがあるわけです
が、その詳しい説明は興味のある方には追及してもらうとして、ともかくカタ
カナ式の発音とその表記には、それをもし書こうとするときには、とんだ陥穽
があちこちにあるってことを知っていたいものだと思うのです。
それとは別に、もっとシンプルな印象として、やっぱり英単語ってやつは、
何度も書いて覚えねば、なんとも正確には記憶に残りませんね、ということを
個人的にあらためて感じた次第でもあります。
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