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 中学生の学習のしかた by Toppo
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§632暗記している年代はいくつあるのか?<記憶とは・・・>

 1マイルとは何キロなんでしょう? 実はわたし、最近はっきり覚えました。1マイルは1.609344キロメートルです。

 イザベラ・バードってイギリスの女史旅行家が書いた「日本紀行」という本がありますね。彼女が日本に訪れたのは、明治11年のことですから西南戦争が勃発した翌年のことです。まだ日本も政情が不安定また開花期そのもの、一方では多分に江戸の空気が全国に色濃く残っていた時代ですね。

 18歳の青年日本男子をひとり通訳にしながらも、横浜から奥州そして北海道まで女の身一つで旅をしたのですから、まっこと大した人物であります。その本を以前書店で見かけて買うかどうかだいぶ逡巡したのですが、しかし結局買わず仕舞いで、つと2,3日前、ネットにその旅行の断片を紹介したページに出遭いました。(ちなみにこれを書いている当日、本屋に寄ることができて探しました。が、以前はあれほど平積みで置いてあったのが、まったく見つかりません。店の人に聞いて在庫を検索しても出て来ない。また違うところで捜すと決める。)

 さて、その解説ページでは、次の村まであと8マイルとか、峠まで6マイルとか、しょっちゅうマイル表現が出てくるのです。わたしはキロ表現でなければ距離感が掴めません。平面的に、また空間的にもイメージして、読んだり聞いたりするのが、どうも癖のようです。そしてときには時間軸も入れて、歴史的に掴むというか、イメージするのもけっこう多いように思います。

 たとえば、作曲家・音楽家のバッハは、1685年3月31日に生まれ、1750年に没したそうですが、じゃあ日本ではバッハが生きた当時はどうだったのかとつい考えてしまいます。掴んだイメージは、5代将軍徳川綱吉の元禄時代(1688年〜)から8代将軍吉宗の享保の改革(1716年〜1745年)の頃なんだな、と。

 そんなんで、これがIQ150もある頭なら瞬時に処理できるんでしょうが、あいにくごくごくふつうの頭なんで処理したりイメージしたりするあいだに、聞いておれば話題は先にずっと進んでいるわけで、また読んでいればじっくり停滞するというか次々に進めなく、若いころはこんなではありませんでしたが、年とともにこの癖がひどくなり、いまでは機敏に対応する能力がどうも低いと自覚しております。

 1マイルはおよそ1.6キロと知っていました。それは野球の放送で、ピッチャーの球速がいまのは152キロだったとか、日ハムの大谷投手が165キロ出したとか、そしてアメリカ大リーグのBS放送でいまの球速はなんと100マイルでしたね、とかたびたびマイル表現を耳にしていたからです。

 ところが、なんの拍子か頭のなかは突然、海里(カイリ)と混同する状況になったんですね。船の速度でよく使う、すなわち海上で使う1海里は約1.8キロ(正確に1.852キロメートル)です。いまはもうすっきり整理できて頭に入っていますが、そのネットの説明は音声のもので、しかもフィートやインチやマイルが矢継ぎ早に次々と出てくるからか、あれっ、マイルは1.8キロだったかな?・・・と、頭に点滅マークがつくことになりました。

 覚えていたちいさなちいさな断片に過ぎないひとつの知識が、突然揺れ動き、不確かさのなかに迷ってしまう。こういうときは、どうすればいいか? 調べれば済む話です。そして早速ネットで調べました。1マイルは、1.8キロではなく、およそ1.6キロでした。

 でも、たしかに知っていた知識、ほぼ確実に知っていたと思っていた知識が今回、いとも簡単にぐらついたのです。次にまた何かのきっかけでぐらつかないとは限りません。そこで、およそ1.6キロという覚え方をやめることにしました。その説明ページに載っているより正確な数値、1マイルは1.609344キロというのを覚えることにしました。

 なぜかというと、吾が頭の無様さを呪う気持ちもありましたが、同じ覚え方をすればまた忘れることだってあり得るなと感じたからです。いっそややこしいほうを暗記してしまえ、と。

 このような話は読んでいても大部分の方はちっとも面白くはないかと思いますが、そして勉強とはちっとも関係のことを書いているなと感じられるでしょうが、でもほんのすこしは関連していますので、もうちょっとだけご辛抱してお読みください。

 それは、こうした「数値の覚え方」についてです。中学生が勉強していくなかで、この数値に関する記憶が出てくるでしょう。その際に、「およそで覚えればいいもの」、「正確に覚えていくほうがいいもの」のふたつがあります。

 言いたきことは、自分のなかに在る知らず知らずのあいだにできた常識の一部を、ときに疑えということです。ふつう、約とかおよそで表された数値のほうが覚えやすいものです。覚えなくてはならないことを、覚えやすくして確実に覚えることが、勉強の常道です。しかし、覚えやすいのと確実に覚えることとは、必ずしも一致していません。

 覚えやすいなと思っていることが、ときに混乱したり、あるいはすっぽり忘れ抜けてしまうケースが起こる。覚えにくいなと感じているもののほうが、無論割合からいって圧倒的にすくないにしても、ときに確実に覚えられることがある。と、指摘しておきたいわけです。

 数値の記憶でいえば、中学生の勉強の範囲で考えてすぐ浮かぶものに、歴史の年代がありますね。まあ大部分の生徒は、この4桁の数字を無味乾燥なものと感じたり、覚えにくいなという感覚を潜在的に抱いていて、そして実際にもほとんど覚えていないでしょう。

 暗記している年代は、せいぜい5,6個から10個ぐらいではないでしょうか? もしそうなら、入試に必要な知識としてまったく役に立たない、と断言しておきます。わたしの入試用社会の問題集では、中学レベルで暗記しておく年代は73個ほどあり、それを1枚のプリントにまとめてあります。これくらい覚えていないと、入試の歴史問題には正確には対応できない。公立入試の年代に関わる問題(だけでなく、もっと幅広くなのですが)なら、すばやく確実に正解が出せるだろう。2,30個覚えているだけではダメ、50個でもまだ不完全、ダメなのです。点数を確実にとるためには、覚えるべき年代をすべて(わたしの基準でいえば、70個以上は)、確実に覚えておく勉強をしておきなさい、とアドバイスしておきます。

 たとえば、下の問題。(よければやってみてください。制限時間:1分)
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 ヨーロッパでは18世紀後半、フランス革命が起こりました。そのころ、日本の社会状況はどうでしたか。最も近いものを下のアからエのなかより、記号で選びなさい。  [  ]

ア-享保の改革 イ-大塩平八郎の乱 ウ-寛政の改革 エ-異国船打払令が出される
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 簡単な解説をします。

 実ははじめ、イを天明の大ききん、としたのですが、それではウの寛政の改革とあまりにも年代が近くむつかしくなるので、ふつうのレベルに下げました。

 さて、フランス革命は1789年に起こりました。アの享保の改革は1716年から45年、イの大塩平八郎の乱は1837年、ウの寛政の改革は1787年、エの異国船打払令は1825年です。よって答えは、ウです。

 数値の覚え方についてこの場合は年代になりますが、「およそで覚えればいいもの」、「正確に覚えていくほうがいいもの」のふたつがあります、と上で書きましたが、〜頃とかまた江戸中期などおよそで覚えていれば、この種の問題にはまったく対応できないわけです。ですから正確に覚えていくことが大事なのです。

 別に社会の入試なんて平均点あるいは60点くらい取れればいいやと思っている生徒はこの限りではありませんが、少なくとも80点後半あるいは90点以上確実にとりたいと思っている生徒は、70個ほどの年代は完全暗記しておきたいものです。

 年代がもし5桁ならとんでもない暗記の世界になりますが、たかだか3桁か4桁なのです。それも数百なら大変ですが、70個ほどなのです。覚えて済む勉強は、勉強のなかでやさしい部類に属します。そうもし感じるなら、どんどん暗記してみてください。

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 <以下、余談>
 地球の赤道1周約4万キロ(社会の地理分野を勉強したなら、覚えていて当然の知識です)。丸いから経線ぐるっと1周も約4万キロ。よって、北極から赤道まで約1万キロ。これを90度で割れば、緯度1度あたりの距離は約111キロ。これを60分で割れば、緯度1分あたりの距離は約1.8キロ(より正確には、1.852・・・キロ)になります。これが1海里です。地球の中心における緯度1分の距離に相当する地表面上の距離です。