中学生の学習のしかた by Toppo | ||||||||||||
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§61理科について思うこと<理・社の力が入試を決める?!> 今回初めて理科について書くことにします。といっても、理科については専門的な知識も、生徒を教えた経験もほぼないに等しい(過去に1年だけあり)ので、皆様に役立つ情報をあまりお伝えできないのではないかと、危惧しながら書き進めることになりそうです。 では、あまり知りもしない、専門でもない科目について、なぜ書くんだと言えば、結果だけはよく知っている、ということにあります。そして、その結果、即ち一般の生徒の理科の実力に、暗澹たる憂憤を感じるからです。何かがおかしい、変だと思います。できることなら、中3になって自分の理科の実力がこんな筈じゃなかったと思わないですむように、前もってこれを読まれる方がその実態、問題点を知っていれば、すこしはその対処もあろうかなとの一存からです。 小学校で算・国・理・社の4教科があって、中学では数・英・国・理・社の5教科が主要科目になるのは、みなさま重々ご存知のことです。では、何がいったいややこしい、勉強しづらい科目なのでしょうか? 10人中9人以上がまず、数・英の2教科を挙げるのではないでしょうか。 そして意識のなかに、大切な科目として、小学校では算・国に、中学では数・英に比重を置き、理・社は後回しにするか軽く考えているのが、一般的傾向ですね。実際、数・英の2教科にはどの生徒も時間をかなり割き、それ相当の演習や気持ちを込めて勉強しています。 それでもあまりできない生徒はいるし、勉強のしかたがほんとうにはわかっていな生徒もいます。習ったことをすぐ忘れるものだから、定期テストでは80点や90点台をとって、本人ばかりでなくご父母の方も一応安心してるものの、実力テストでは基本のミスを続発させ、あるいはさっぱり忘れてしまって、点数をガクンと下げてしまう生徒は、予想以上に多い。 あるいは、数・英は頑張ってることもあって成績はまずまずで定期テストも実力テストも結構いいが、しかし、理科、社会の成績になると、急に目が当てられない生徒も少なくない。 例えば、定期テストと実力テストを比較して。 定期テスト:数85,英88,国76,理72,社81 <合計点402点> 実力テスト:数70,英73,国72,理40,社56 <合計点311点> 学力(実力)テストはあらくいって、ふだんの定期テストより各科目20点ぐらい、平均点が下がるのは当たり前ですが、そのなかでも特に理科と社会は、基本の問題構成であっても、50点を下回るのが一般的でしょう。数学もその出題レベルを上げればすぐに50点を切ってしまいますが、上記の例ではなんといっても「理科」と「社会」に、注目してください。 今回は理科に焦点を当てているので、社会については省きますが(社会について思うこと、で既述)、理科の平均点は45点前後、えてして数学以下というのがよくあります。この生徒の場合も、通常のテストから30点以上ダウンですね。数・英の力に較べ、社会はまだ少しましも、理科はまったく力がありません。このことに気づくのは、大体中3になってからなんですね。 ではその弱い科目を1年あるんだから、一生懸命頑張って勉強すればいいじゃないか、と考えるのは、本人もご父母の方も自然な発想です。でもですね、最初に結果を知ってると書きましたが、事はそう簡単じゃないのです(ちろんその気持ち、意気込みは大切ですが)。 数学と英語はその後の努力、復習で80点を超えることができるかもしれません。しかし、理科については、50点(平均45点のテストして)を超えることさえかなりしんどいと言えるでしょう。少々の勉強では成績は上がりません。なぜ、そう言えるのか? それは、20年あまり生徒の理科の状況と結果をよくみてきたからです。 相当に優れた理科の指導者ならわかりませんが、一般に理科の実力を上げることは、中3になってからではかなり厳しい。その原因の大半は生徒自身にあるのではないですか? 何故ならそれほど今まで勉強してこなかったからです。本当に理科が好きな生徒(クラスで何人いるのだろうか、理科が好きだと言う生徒は)は別にして、私の知るかぎり、その基礎は既に小学校時代からいい加減なものだし、また多くを知らない。それは中学になっても変わらないのです。 1年、2年の時の、理科に費やした勉強量はどれくらいあるのだろうか? 多くの生徒はテスト前に少しして、継続的な勉強も体系的な勉強もましてや自分から進んで予習もしたことがない筈だ。済めば終わり。比較的成績のいい生徒でもこの状況と大差はない事が多い。つまり、理科に対する日常的な根本的な努力も、反復繰り返しの復習もない勉学姿勢で、実力テストができる筈がないではありませんか。 40点に吃驚するほうがおかしい。普段の定期テストが70点やそこらではまずこの点くらいになります。普段が40〜50点なら、実力は20点台です。下のほうはわかったから、上の方は?に対し、これは一言では難しいのです。つまり、本当に理解し完璧にわかった、そして暗記力もある生徒の90点と、まあそこそこはわかったし、即席だけど定期テストに対する勉強もしっかりした、ただそのぶん忘れやすい生徒の90点とは、実力に対して相当の開きが出てくるのですね。 まあ一つのイメージでいいますが、前者は実力テスト(1,2年の基礎すべて)で80何点取れば、かなりしっかりした理科の勉強と時間を積んだんではないでしょうか。それに対し、後者の場合は、定期テストでもその範囲は比較的暗記すればよい「生物」もあれば、単に暗記だけでは通じない「電流」なんかの単元もあり、もしややこしい物理や化学で点を下げてるなら、実力テストでは60点以下でしょうね。 なにやらさめた言いまわしになりましたが、これが公立中学生大半の「理科」に対しての現実で、その分析です。 これを逆に観れば、理科がしっかりできる生徒は他の教科もできているといって、まず間違いない。英・数が出来て理・社が頼りない生徒は結構いますが、反対に理・社が出来て英・数が今一つできない生徒は、経験上記憶にない。 公立入試は5教科なのですから、たとえ数・英・国の3教科が出来ても、理・社が弱いと、なかなか希望する高校にいけないのではないですか。また、上のランクになればなるほど、入試点数に差が出てくるのは数・英・国の教科ではなく(それはみんな、出来る!)、理・社であるということ。理科、社会のどちらかでも極度に点が低いと、合格は覚束ない。このことを十分、認識しておいて欲しいと思います。 そればかりか、私立のハイレベル高校の理科と社会の入試問題を見れば、そして実際にすればわかりますが、その問題レベルと質の高さ、制限時間内に解く問題量の多さには舌を巻く筈です。この詳細はまたどこかで書くと思いますので、ここでは省きます。が、ひとつ知っていてほしいのは、私立中学では理科と社会もかなり広く深く勉強してるということ、また生徒もそれに対応してかなりの時間と努力を、数・英ばかりでなく理科と社会にも割いて猛勉強している、ということです。 その視点から眺めますと、基礎的な集まりで構成されてる理科の実力テストで80点かそこらを取ったとしても、偏差値65を超えた私立高校の理科の入試問題では、せいぜい50点前後しか取れないのも事実でして(それを対策して65点以上に上げていくのが入試勉強)、くどいようですが、もし仮に数・英・国などの科目が得意でそれらの高校に受ける実力があったしても、理科、社会が学校の実力テストで50点〜60点ぐらいとすれば、一体どういうことになるか、おわかりですね。 今回は点数のことばかり申し上げて、また批判的な厳しい分析ばかりで、何ら問題解決の示唆も具体的な勉強のしかたも述べてません。それは明らかに私が理科の専門家ではない証拠で、ただどうしても問題提起というか、意識の向上を訴えたかったからにすぎません。 以上の内容をどう感じるか、どうしなければならないか、またどう行動に結びつけるかは、皆様のご判断に委ねたいと思います。 |