E-juku1st.Comの中学数・英問題集
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 中学生の学習のしかた by Toppo
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§166 数学を得意としている生徒のために VOL.3<その鍵は2,30>

 数学を得意としている生徒のために、自分のペースで学習を進めて行く際の、課題と注意点、そして大まかなスケジュール、その最終。

 もう1点、応用問題を学ぶ場合の姿勢、その吸収のしかたについて触れておきます。これはちょうど、高校数学を学んで大学入試の受験数学に臨む際の、前段階的試行、乃至その予行演習的な意味合いがありますが。
 
 1.「解法パターンを身につける」→2.「解法の適用方法を身につける」→3.「解法パターンの組み合わせ方が複雑。記憶している解法パターンをどう繋げて採用するか、その訓練をする」

 先に書いておきますが、3番はここではとても説明しきれるものではありません。学力テストに措いて数学の偏差値が最低でも70を軽く超している生徒が対象であり、私立超難関校を目指す生徒、そのなかでも数学が特に秀でている生徒にのみ当て嵌まることですから。

 さて、1番と2番。これをひっくるめて説明しますと、次のような状態になれることが目標です。

「問題をぱっと見ただけで、その具体的問いなんか読まずとも、出題内容のおよその見当がつき、小問の最後までの解法の流れと、またそれによく用いる知識とテクニック、および注意すべきポイントが、瞬時に脳裏に浮かぶこと」

 これを別の言葉で言うと、答え(具体的な数値ではありません)は予め用意されている状態に近いのです。あとは、問題との対応で、その微調整があり、浮かんだ解法の鍵で問題が開かない場合、別の持っている鍵を出してきて開けるのです。大切な鍵です。必要に応じて素早くその鍵を使い分けねばなりません。どんどん戸を叩いても足で蹴飛ばしても開きません。その前でうろうろ歩き回っても、無理やり攀じ登ろうとしてもただ滑るだけで埒はあかない。これは学力テストで、実によく見る光景ですが。

 中学数学ですから、その鍵もそれほど多くはない。せいぜい2,30というところでしょか。それはたとえば、補助線の引き方であったり(この関数には、或いは図形には補助線を引いて考える、と判断する。その場合、平行に引くのか、延長するのか、垂線を下ろすのかなど、具体的に決めてかかることができなけばなりません)、立体図形はその断面図を描いて相似を見つけ、求めていくとか、角の2等分線という条件があるなら辺の比を利用するとか、1番が相似の証明なら、2番は必ずその結果を利用して求めていくとか、特別な公式を用いると素早く解ける問題があるとか、XとYの2つの文字をあえて使い、3平方の定理で方程式を立てて解くとか、等等。

 こんなものは言葉で説明するだけでは、専門家でふふん、あのことかと思わない限り、何を書いているのかさっぱりわからないかと推います。しかし、まさにこの感覚、状態が、生徒の姿であり、詳しく教えて仮に「わかった」後でもなお、まだ実は全然自分のものにはなっていないのです。塾に通っておろうが、特進クラスに入っていようが、また通常のテストで90点以上取っていようが、そんなの関係ありません。公立中学生の95%はこのゾーンに入っています。

 ですからこの後からが、ほんとうの勉強が始まることをよくよく自覚して、行動することが基本中の基本です。こちらは、その鍵がこれだよと提示して見せるだけ。何度も何度も見せますが。でも決して手渡すことはできないのです。鍵は、自分で手に入れなければならない。この姿勢と気持ちをまずしっかり持つこと、そして自ら実践するなかで獲得していくものです。

 その鍵は大きなもから小さなものまでいろいろな形をしていますが、中2の後半から中3の前半にかけてぱらぱら散在しますし、中3の後半にはどさっとあるわけです。

 では、まず1番の「解法パターンを身につけかた」
 
 教科書こそが受験数学の初歩でありますが、またその進度に関係なく、学校での授業を大切にすることは言を俟ちませんが、それだけでは多いに不十分、自分で入試問題への解答の道筋をつけることは到底できません。その応用のしかたを問題集を通じて身につけることが不可欠な条件となります。よって以下の内容は、教科書の基礎レベル、練習問題を指しているわけではないということ、またそれらは学習済みとし、次の段階、入試に出るレベルの問題にあたってのことですから、どうぞお間違いなきよう。条件は「自分」でするとして。

 問題に入って、5分程度解法の糸口を探っても、なんら解答の見通しが立たないのなら、解答と解説にじっくり目を通し理解するということ。そしてもう一度、解き直すことです。まるで歯が立たないということは、その解法のポイントと攻め方がまったく頭にないということで、頭になければ、いくら粘って考えても解ける道理はありません。よく直感というものを言いますが、これは、その材料となる知識が頭のなかにいろいろと存在するから、そしてそれ以上に常に、その関連の事項を考えている習慣と思考の訓練があるから可能なわけで、なーんもないところからそれが働くのではありませんね。

「解法パターン」の習得のための問題は10分が目途、長くても15分でこれを、解答を見ずに問題だけ見て解けるようにならねばなりません。なぜなら、入試での持ち時間は、大問1問あたり、10分から15分費やすのがいいところで、のんびり30分も与えてくれるテストなどありはしませんから。常日頃からそのような処理能力を磨く訓練、集中力をもって臨む訓練をしておくことです。

 さて、では応用問題を解くに必要な「解法パターン」を20や30、身につけたとします。これで入試に臨んで、事はうまく成就するでしょうか? まあ、ここまでくれば大したもので、また現実、一般の生徒に話を戻せば、そのたった1つを身につけさすのに、かなりのエネルギーと根気、うんざりさせられるほどのポイントの反復をいわねば頭に入らないのですが、それは一般に、力はあるのに試合では負ける、自分の思うようには結果が出せない、というものに似ていますね。

 つまりまだ、それだけでは足りない、ということですね。「解法の適用方法を身につける訓練」をさらにしなければならないのです。別に難しいことではありません。全体の拡げたなかで、何が出るかわからない、何を使うのがわからない状態での訓練、といえばいいでしょうか。
 
「解法パターン」を習得するということは、初めから焦点は適っているのです。その考える対象と使う知識、そこに新たに足すテクニックなどは、そのとき頭が集中している課題、問題範囲に限定されているのが普通ですね。つまり、それは、同じ問題乃至類題に対する狭い領域での力の習得で、その集合の30の力がほんとうに活きる、また応用される力に、すぐに結びついているわけではないということです。

 これを結びつける作業が、解法の適用方法を身につける訓練といえます。まあ、それほどたくさんの問題集が要るというわけではなく、解法パターン習得のための問題集と、別角度から作られた問題集の2冊があれば十分。あとは公立過去問、志望校別の問題集などに取り組み、その特徴などを掴んでいくことです。

 因みに、E-juku1st.Com の問題集は、中3の「通年用数学問題集」は基本的なワーク演習的部分と入試応用問題の解法パターン習得にあたる問題部分を同時に学習できるように初めから組んであります。そして解法の適用方法を身につける問題集として、「入試図形問題の攻略」があり、それよりもう少し基礎的な部分の補強の意味で、この度作成した「中学数学/ミスと弱点を減らす問題集」があります。「中2及び中3の数学実力テスト対策」はもちろん実力をつけるためのものですが、同時に途中における基本的学力の自己チェックの機能もあります。<少し、宣伝になりました>

 中学数学を2年間で終えるスケジュールはこうでした。1年の内容は、4月から9月の6ヶ月間、2年の内容は、10月から5月までの8ヶ月間、中3の内容は、6月から翌3月までの10ヶ月間。これで丸2年です。再度中3の進行予定をみますと、多項式(6月)、平方根(7月)、2次方程式(8月半分)、2次関数(8月後半と9月)、相似な図形(10月・11月・12月)、三平方の定理(1月・2月・3月)。基本的には週2日、一回に2時間の学習時間。もちろんこなせない場合もなかにはあるでしょうが、その場合はさらに時間をかけることです。しかし、そのようなことをここで書いても仕様がない。あとは精神論になりますから。

 物事はいつも順調に行くものではありませんね。いや、順調に行くほうがむしろ偶然的要素に包まれているというか不自然なのであり、それを苦心して順調に何とか持っていくのが、また出来うる限り近づけていくのが、計画というものでしょう。

 ここまで3回に亘り、数学を得意としている生徒のために、自分のペースで学習を進めて行く際の、課題と注意点、そして大まかなスケジュールに述べてきました。途中から始めるとしてその場合はどうするのかは、上記の学習スケジュールを参考にして、ご自分で決めてください。計画なんて人から与えられて強制されるのではなく、自らの意思と責任で決めて実行するのが理想ですから。

 3年目の学習はどうするのか?についてもまだ触れてはおりませんし、事細かな学習上の問題点、また足を引っ張る後ろ向きな要因もさまざま出てくるでしょうが、すべては本人の前に進む推進力が、目標を定めた堅い意志と実行力が伴えば、成し遂げられるでしょうし、決して簡単とはいいませんが、それほど大袈裟に考える必要もないかとも思います。

 また一般に、95%以上の現実(即ち、100人中95人以上の生徒)を直視した場合でも、数学の勉強を進める上において、何らかの暗示をしているつもりなので、ご参考になる点があればうれしい限りです。