中学生の学習のしかた by Toppo | ||||||||||||
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§242 中2の英語について <問題11問で力をみる> 中2生は、もっとしっかりと勉強しておくべきだね、というのが、わたしのストレートな想いですね。簡単にいえば、こうなる。では何を、もっとしっかり勉強しておかねばならないのか、これではさっぱりわからないわけだけど、とにかく足りないのだ。そのほんとうに身につけている知識も実力。 足りないことが自らわかっていて勉強しているのならまだいいのだけど、それが何であるか、またどう足りないかを事細かに述べても、これは縁木求魚に似て、要は訥言敏行、つまり口先だけの言葉より実践が大事、ということで、5科目それぞれ言いたいことは一杯あるのだけど、ただしそれを書くだけの気力はまったくないので、英語だけに限定して具体的に提起してみる。 下に、問題11問を用意した。これは「トッポ先生の入試英語攻略・STUDY問題集」の中2編のなかより、適当に抜粋し構成した問題である。その範囲は、過去形と過去進行形の文法のみに限定、つまり、中2の1学期の履修範囲に留めてある。 目の前に具体的な結果が出て、それと比較して、わたしのコメントと評価などを照らし合わせて読み進めていくほうがより実感できるかと思いますので、現在中2生ならまずは参考まで、印刷してやってみることをお勧めします。 ―――――――――――――――――― <問い>次の各問いに答えよ。 <制限時間:12分> 次の1,2,3は、英文を< >内の指示に従って書き換えよ。 1.My father read a newspaper after breakfast. <否定文に> →________________________________ 2.All of them swam in the pool. <過去進行形に> →________________________________ 3.Junko made some cakes for her family. <疑問文に> →________________________________ 次の4,5は、疑問文に対し、< >内の指示通り答えなさい。 4.How did your sister go to the museum ? <電車で行きました> ____________________ 5.Who helped you with your homework ? <わたしの兄です> ____________________ 6.次の英文の( )内より適する語を○囲み、〔 〕に和訳せよ。 The old man (told・talked・spoke) me about his village. 〔 〕 7.次の日本文にあうよう、( )に適語を入れなさい。 彼女は今朝、8時のバスに間に合いませんでした。 She ( )( )( )( ) the eight o'clock bus this morning. 8.次の2文がほぼ同じ意味になるよう、( )に適語を入れなさい。 Bill was a member of the soccer club in his school days. =Bill ( )( ) the soccer club in his school days. 9.日本文に合うよう( )内の語を並べ替えて、英文を完成せよ。 ホワイトさんはどんな日本の食べ物が好きですか。 (Mr./Japanese/does/like/what/White/food/?) ________________________________ 10.次の英文を和訳せよ。 I visited your country, Ameria, during the summer vacation. My dream came true at last. 〔 〕 11.次の日本文を英作せよ。 彼らは昨日、何時に東京駅を出発しましたか。 __________________________________ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【解答】 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 次の1,2,3は、英文を< >内の指示に従って書き換えよ。 1.My father read a newspaper after breakfast. <否定文に> →My father didn't read a newspaper after breakfast. 2.All of them swam in the pool. <過去進行形に> →All of them were swimming in the pool. 3.Junko made some cakes for her family. <疑問文に> →Did Junko make any cakes for her family ? 次の4,5は、疑問文に対し、< >内の指示通り答えなさい。 4.How did your sister go to the museum ? <電車で行きました> She went there by train. 5.Who helped you with your homework ? <わたしの兄です> My brother did. 6.次の英文の( )内より適する語を○囲み、〔 〕に和訳せよ。 The old man ((told)・talked・spoke) me about his village. 〔その老人はわたしに彼(or自分)の村について話した。〕 7.次の日本文にあうよう、( )に適語を入れなさい。 彼女は今朝、8時のバスに間に合いませんでした。 She (wasn't)(in)(tome)(for) the eight o'clock bus this morning. 8.次の2文がほぼ同じ意味になるよう、( )に適語を入れなさい。 Bill was a member of the soccer club in his school days. =Bill (belonged)(to) the soccer club in his school days. 9.日本文に合うよう( )内の語を並べ替えて、英文を完成せよ。 ホワイトさんはどんな日本の食べ物が好きですか。 (Mr./Japanese/does/like/what/White/food/?) What Japanese food does Mr. White like ? 10.次の英文を和訳せよ。 I visited your country, Ameria, during the summer vacation. My dream came true at last. 〔わたしは夏休み(の間)にあなたの国、アメリカを訪問した。わたしの夢は ついに実現した。〕 11.次の日本文を英作せよ。 彼らは昨日、何時に東京駅を出発しましたか。 What time did they leave Tokyo Station yesterday ? ――――――――――――――――――――――――――――――――――― さて、どうだったでしょうか? こんな単語や熟語はまだ習っていないよ、などの不平をいう声が聞こえてきそうですが、あえてすべて注釈などは入れないでおきました。その理由はあとで書きます。 解説をしていきます。 まず、わかりきったことを書きます。テストというものは、出題するほうは生徒の力を診るために一面的にではなくあらゆる角度から問題を作ります。現に問題数は少ないですが、また下で詳しく説明しますが、そのように配慮して作ってあります。受けるほうの生徒は、問題を見て一から考えるのではなくて、自分のなかに取り入れた知識、それも確実に身につけた知識と力をもってそれらの問題を処理すればいいに過ぎません。応用ではなく基本レベルというものは、そういうものでしょう。 ただし、その基本レベルという基準が、生徒の感覚と出題するほうの感覚とが必ずしも一致しているわけではありません。またいまの公立中学で教えている英語の質量やレベルと、高校入試で必要とされる英語力とが、たとえ中2段階の英語であろうと喧伝されている割にはどうも合致していないといいますか、ギャップと乖離が実際にはかなりあるようにも思っています。 ではこれを中3で補い埋めていくことができるかとなると、そういう虫のいい話はここではしないことにします。まずはいまの自分の足元をしっかり見よ、です。もう一度書きますが、上記の11問はわたしの視点では決して応用ではありません。きわめて基本の問題であり、英語の学習をすべきときにすべき内容を押さえてやっているか、またやってきたか、その力を視る、ちょっと確認するだけの問題です。それは、中2の1学期が過ぎる段階ではもはや十分に理解し、覚え、確実にできるようになっておかねばならない英語の学力のひとつの姿です。 さて問題別に、具体的にみていきます。ここから直截にかつ辛辣に書いていくことになりますが、字義とおり受け取るか、ひとつの糧として捉えるか、それはお読みの方のご判断に任せます。今の時代、大方の生徒が、ときに親も、その実力に対して、ぬるま湯に浸かった観かたと判断をどうもする傾向にあるなあと感じることが多いもので、多少はその覚醒の意味も込めて。 ・1番から3番までの問題。あまりにも基本の、通俗的、古典的問題パターンです。問題をチラッと見るだけで「あっ」と思い、スラスラと間違いなく解いてもらいたい問題です。 1番は、主語がMy fatherで3人称単数、readにsがない。つまり過去形のread(レッド)という判断。よって、過去形の否定文を書くことになる。doesn't readではなく、didn't read。(別に短縮形でなくてもいいけれど) 2番。主語はAll(みんな)。主部はAll of them。でも、この主語と主部の区別、また意味がわかっていない生徒は4分の3以上でしょう。中3でもまだわかっていない生徒はかなりいるのが現実。Allは人の場合は複数、物の場合は単数扱いが基本。よってこの場合、wereになる。swimの現在分詞形のスペルswimmingのスペルミスはさすがにあまりないだろうが。 3番。madeって何の過去形だ?という生徒、またDid Junko madeとする生徒、もっともっと基本からやり直すべし。さてこの問題は、someが疑問文になるからanyに転換がポイント。これをミスする生徒、あとでしまったと思う生徒、それはもう「ケアレスミス」という言葉で片付ける問題ではなくて、もてる力の正体そのものです。疑問文でsomeを使う表現、肯定文でもanyを用いる文法 なんて、こんな基本でミスをする生徒は、理解も吸収もし得ないでしょう。 1番から3番までの問題はすべて絶対に出来なければならないレベルであり、中学英語の基本中の基本です。はて、すいすいできたかどうか?! ・4番と5番の問題。英問英答問題。入試長文では必ず出るパターンであり、またこの2つはその代表例といえるものである。答え方のルールがきちんと身についているかどうか。 4番。ほんと平凡で、どこも難しいことはない。 主語の代名詞転換。your sister→Sheで受ける。過去形だから、go→went。to the museum→there。場所はthere。これがわかっていない生徒は、いや、できる生徒は少数であろう。thereは副詞であり、たとえばgo to thereになるのはおかしいことがわからない生徒、また何度も同じ間違いをする生徒はほんとに多い。そもそも副詞そのものがわかっていないのだが。電車で→by train 5番。この質問文は、疑問詞そのものが主語になっている疑問文。代名詞で受けることはできない。ズバッと答える。しかし、このルールがまたまたわかってない生徒は、少なくとも半数以上。ほか間違いの多い代表例は、My brother is.ですね。日本語に釣られる。 この4番と5番も必ず身につけておくべき文法の基本。できて当たり前なのだが、現実はどうもこの当たり前がお寒い限りだ。 6番。tell+人+about〜:「人に〜について言う(話す)」 入試長文でもよく出てくる表現。また普段の教科書をしっかり読んでいれば必ず見かけるものだが、その注意力があるどうかを見ている問題。talk with(to)人とか、speak to人などはあるが(これはもうわかっていなければならない)、talk(speak)人、なんて語法・表現はないよ。デタラメもいいところだ。 ・7番と8番。熟語力を観ているんだけど、とにかく暗記していなければできない問題。では、習ってないから当然できなくてもしようがないといえるかというと、それはどうだろうか?! 学校の授業から離れて少し市販の問題集をやったり、また塾に通っていればその問題集では出くわすレベルの問題である。勉強の輪を少し拡げれば知っていて当然のレベルである。つまり、この2つができなければ、文頭に書いた「とにかく足りないのだ」に当て嵌まるいまの力といえよう。 7番。間に合う、はcatchも使うが、( )の数からしてこの場合は不適。be in time for〜を使う。 8番。「〜に所属している」は、belong to〜とbe a member of〜、さらにbe in〜もこの時期には知っておきたい実力である。 ・9番。これは見かけによらず、結構深刻な問題である。つまり何を考えているか、英語をどのように理解しているか、はたまたデタラメな和訳、ごまかした考え方をしているか、などを視ることができるから。願わくばみたくないのだが、その間違い例は。 What does Mr. White like Japanese food ? なら、この文を訳してみろというと、「ホワイトさんはどんな日本の食べ物が好きですか。」と、当然のような顔して訳す。離れた単語を平気でくっつけて訳すのだ。では、直訳してみろというと、それが最初はもごもごしてなかなかできない。いいから「素直に直訳」してみろ、と言って初めて、その日本語が意味不明、デタラメであることに気づき、間違いを知ることになる。 これができていない生徒は、学校でそのデタラメな訳を直されていない。塾に通っていても同様だ。英文に直せばその意味が通じるか、もう一度訳して確認するという基本が身についていない。「素朴な直訳」ができずに雰囲気でデタラメな意訳をしている生徒は、内部にごまかしや帳尻合わせをする癖を持っているので、それを棄てない限りはいくら勉強をしても成績が上がることはま ずない。また入試長文を正しく読み、その文意を掴むことなど到底不可能である。 ・10番と11番。和訳と英作力の問題。昔は英作は不得意でも和訳ならまだなんとかできていたものだが、最近の生徒は和訳ですらその力はあやしくなってきている。国語の力は大丈夫か?! 10番。まだ素直な英文である。ただし、単語や熟語に<注>として説明がないので、知らなければ当然できない。 during<前置詞>〜の間に come true:実現する at last:とうとう、つ いに 語彙力があるか、学校の勉強だけに囚われずもう少し肉付けした勉強ができているか、それを観るために出題した。和訳力を観るためには長文でなくても中文程度は要るし、あるいは適切な問題はもっとさまざまにあるのだけど、それらは中2後半にあるのでここでは意図とおりではないことを付記しておきます。 11番。ほんとレールの上を走る英作問題である。まだ英作は難しいレベルはこの段階では要らないですね。その代わり確実に、やさしい問題は完全にできたい。 疑問詞のある過去形の疑問文。気をつける箇所は2つ、かな。leave Tokyo Stationのleave。〜を出発する、はleave〜。〜へ出発する、はleave for〜かstart for〜。この区別。よってstart Tokyo Stationはダメ。startを使う場合は、start from Tokyo StationならOKですね。もう1点は、見てのとおり東京駅は大文字表記。 以上です。 このテストによるわたしの評価となると堅苦ししくなるので感想に留めますが、10問以上できれば、力はあるなあと思います。7,8問程度なら、学校のテストでは90点前後は取れているかも知れませんが、はっきり言ってその勉強は井の中の蛙状態、「足りない」と思います。5問以下、いまならまだ時間はあります、基本をほんとうに勉強してください。 |