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理科について思うこと<理・社の力が入試を決める?!>
理科について書くことにします。といっても、理科については専門的な知識
も、生徒を教えた経験もほぼないに等しい(過去に1年だけあり)ので、皆様
に役立つ情報をあまりお伝えできないのではないかと、危惧しながら書き進め
ることになりそうです。
では、あまり知りもしない、専門でもない科目について、なぜ書くんだと言
えば、結果だけはよく知っている、ということにあります。そして、その結果、
即ち一般の生徒の理科の実力に、暗澹たる憂憤を感じるからです。何かがおか
しい、変だと思います。できることなら、中3になって自分の理科の実力がこ
んな筈じゃなかったと思わないですむように、前もってこれを読まれる方がそ
の実態、問題点を知っていれば、すこしはその対処もあろうかなとの一存から
です。
中学では数・英・国・理・社の5教科が主要科目になるのは、みなさま重々
ご存知のことです。では、何がいったいややこしい、勉強しづらい科目なので
しょうか? 10人中9人以上がまず、数・英の2教科を挙げるのではない
でしょうか。
そして意識のなかに、大切な科目として、小学校では算・国に現在英語が加
わって、中学では数・英に比重を置き、理・社は後回しにするか軽く考えてい
るのが、一般的傾向ですね。実際、数・英の2教科にはどの生徒も時間をかな
り割き、それ相当の演習や気持ちを込めて勉強しています。
それでも数・英に関して、あまりできない生徒はいるし、勉強のしかたがほ
んとうにはわかっていな生徒もいます。習ったことをすぐ忘れるものだから、
定期テストでは80点や90点台をとって、本人ばかりでなくご父母の方も一応
安心してるものの、実力テストでは基本のミスを続発させ、あるいはさっぱり
忘れてしまって、点数をガクンと下げてしまう生徒は、予想以上に多い。
あるいは、数・英は頑張ってることもあって成績はまずまずで定期テストも
実力テストも結構いいが、しかし、理科、社会の成績になると、急に目が当て
られない生徒も少なくありません。
例えば、定期テストと実力テストを比較して。
定期テスト:数85,英88,国76,理72,社81 <合計点402点>
実力テスト:数70,英73,国72,理40,社56 <合計点311点>
学力(実力)テストはアラクいって、ふだんの定期テストより各科目20点
ぐらい平均点が下がるのは当たり前ですが、そのなかでも特に理科と社会は、
基本の問題構成であっても、50点を下回るのが一般的でしょう。数学もその
出題レベルを上げればすぐに50点を切ってしまいます。さて、上記の例では
なんといっても「理科」と「社会」に注目してください。
今回は理科に焦点を当てているので、社会については省きますが(社会につ
いて思うこと、で既述)、理科の平均点は45点前後、えてして数学の点数以
下になることもよくあります。この生徒の場合も、通常のテストから30点以
上ダウンですね。数・英の力に較べ、社会はまだ少しましながら、理科はまっ
たく力がありません。このことに真剣に気づくのは、ふつう中3になってから
なんですね。
ではその弱い科目を1年あるんだから、一生懸命頑張って勉強すればいいじ
ゃないか、と考えるのは、本人もご父母の方も自然な発想です。でもですね、
最初に結果を知ってると書きましたが、事はそう簡単じゃないのです(ちろん
その気持ち、意気込みは大切ですが)。
数学と英語はその後の努力で、復習で80点を超えることができるかもしれ
ません。しかし、理科については、50点(平均45点のテストして)を超え
ることさえかなりしんどいと言えるでしょう。少々の勉強では成績は上がりま
せん。なぜ、そう言えるのか? それは、20年あまり生徒の理科の状況と結
果をよくみてきたからです。
相当に優れた理科の指導者ならわかりませんが、一般に理科の実力を上げる
ことは、中3になってからではかなりキビしい。その原因の大半は生徒自身に
あるのではないですか? 何故ならそれほど今まで勉強してこなかったからで
す。本当に理科が好きな生徒(クラスで何人いるのだろうか、理科が好きだと
いう生徒は)は別にして、私の知るかぎり、その基礎は既に小学校時代からい
い加減なものだし、またその身についている知識も多くはない。それは中学に
なってもほとんど変わらないのです。
1年、2年の時の、理科に費やした勉強量は、いったいどれくらいあるのだ
ろうか? 多くの生徒はテスト前に少しやっただけ、継続的な勉強も体系的な
勉強もましてや自分から進んで予習もしたことがないはずです。済めば終わり。
比較的成績のいい生徒でもこの状況と大差はない事が多い。つまり、理科に対
する日常的な根本的な努力も、反復繰り返しの復習もない勉学姿勢で実力テス
トができる筈がないではありませんか。
40点に吃驚するほうがおかしい。ふだんの定期テストが70点やそこらで
はまずこの点くらいになります。ふだんが40〜50点なら、実力は20点台
です。では、下のほうはわかったから、上の方は?に対しですが、これは一言
では難しいのです。
つまり、本当に理解し完璧にわかった、そして暗記力もある生徒の90点と、
まあそこそこはわかったし、即席だけど定期テストに対する勉強もしっかりや
った、ただ即席な勉強のぶん忘れやすい生徒の90点とは、実力に対して相当
の開きが出てくるのですね。
まあひとつのイメージでいいますが、前者は実力テスト(1,2年の基礎す
べて)で80何点とれば、かなりしっかりした理科の勉強と時間を積んだんで
はないでしょうか。それに対し、後者の場合は、定期テストでもその範囲は比
較的暗記すればよい「生物」もあれば、単に暗記だけでは通じない「電流」な
んかの単元もあり、もしややこしい物理や化学で点を下げてるなら、実力テス
トでは60点以下でしょうね。
なにやらさめた言いまわしになりましたが、これが公立中学生大半の「理科」
に対しての現実で、その分析です。
これを逆に観れば、理科がしっかりできる生徒は他の教科もできているとい
ってまず間違いない。英・数ができて理・社が頼りない生徒は結構いますが、
反対に理・社ができて英・数が今ひとつできない生徒は、経験上記憶にない。
公立入試は5教科なのですから、たとえ数・英・国の3教科ができても、理
・社が弱いと、なかなか志望する高校にいけないのではないですか。また、上
のランクになればなるほど、入試点数に差が出てくるのは数・英・国の教科で
はなく(それはみんな、できる!)、理・社であるということ。理科、社会の
どちらかでも極度に点が低いと、合格は覚束ない。このことをじゅうぶん認識
しておいてほしいと思います。
そればかりか、私立のハイレベル高校の理科と社会の入試問題を見れば、そ
して実際に解けばわかりますが、その問題レベルと質の高さ、制限時間内に解
く問題量の多さには舌を巻く筈です。この詳細はまたどこかで書くと思います
ので、ここでは省きます。が、ひとつ知っていてほしいのは、私立中学では理
科と社会もかなり広く深く勉強してるということ、また生徒もそれに対応して
かなりの時間と努力を、数・英ばかりでなく理科と社会にも割いて猛勉強して
いる、ということです。
その視点から眺めますと、基礎的な集まりで構成されてる理科の実力テスト
で80点かそこらをとったとしても、偏差値65を超えた私立高校の理科の入
試問題では、せいぜい50点前後しかとれないのも事実でして(それを対策し
て65点以上に上げていくのが入試勉強)、くどいようですが、もし仮に数・
英・国などの科目が得意でそれらの高校に受ける実力があったしても、理科、
社会が学校の実力テストで50点〜60点ぐらいとすれば、いったどういうこ
とになるか、おわかりですね。
今回は点数のことばかり申し上げて、また批判的な厳しい分析ばかりで、な
んら問題解決の示唆も具体的な勉強のしかたも述べてません。それは明らかに
私が理科の専門家ではない証拠で、ただどうしても問題提起というか、意識の
向上を訴えたかったからにすぎません。
以上の内容をどう感じるか、どうしなければならないか、またどう行動に結
びつけるかは、皆様のご判断にお任せしたいと思います。
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