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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
 なぜこの生徒は数学の応用問題ができないのか
 <偏差値50の生徒の場合>

「中でも応用が特に苦手、出題されたものは全滅です。問題いっぱい解いてる
のにいっこうに成績が伸びません。この前の模試を受けたのですが、ほかは偏
差値が60ほどあるのに数学は50ぐらいです。計算などは得意中の得意なん
ですが、応用となるとからきしダメになってしまいます。」

 こういう文面が、ネット上に載っていた。今回、そのほんの一部だけ拝借し
ます。中2生である可能性もありますが、おそらく中3生ではないでしょうか。

 こうした生徒はけっこういるもので、すこし内容を分析してみます。

 数学のなかで応用が苦手。模試では応用問題にはまったく歯が立たず、全滅。
それゆえ、偏差値50。なーるほど・・・。ほかの教科(4つ)は偏差値が60ほ
どあるということですから、5教科の偏差値では60近くになるはずで、そこそ
こ頑張っている感じです。

 弱点は数学。問題いっぱい解いているので、いっこうに成績が伸びない。こ
の悩みと問題点を持った生徒は、すくなからずいるものです。

「いっこうに成績が伸びない」ということは、つかの間の勉強ではなく、かな
り意識して、以前から時間をかけて取り組んできたことと思います。

 といっても、それはいつからか? ふつうに考えれば、この場合、文面から
して、2,3か月前からではなかろうか。つまり、そんなに長い期間、応用問題
にぶつかって勉強してきたわけでは実際ないと推測します。

 この生徒が中3だとして、そしてこうした悩みと質問が出てくるのは、中3の
夏休みが過ぎたころからが目立ちます。<注:これをたまたま保存したのは数
年前のことで、いまでは時期が特定できず。>

 ただ、応用が特に苦手という意識は、中3より前の中2の後半時にはすでに、
ある程度感じだし抱ていたはずだし、ひょっとすれば中1の段階でも模試など
を通じて薄々でもわかっていたかもしれません。つまり、問題は積もり積もっ
て、自分ではどうしようも避けられない段階になって噴き出したのだと思いま
す。

 ご存じのように偏差値とは、模試などの母集団で平均点をとった生徒を50と
して、そのなかでの自分の学力位置を示す数値のことですが、この生徒の数学
の偏差値はまさに50なので、平均点そのものであります。仮にこの模試の平均
点を45点(100点満点)とすると、その45点とって、55点がなんとできなかっ
た勘定になります。偏差値でみることも大事ですが、点数でみることも大事に
してください。うーん、ヒドイ。

 模試のレベルにも拠りますが、ここではふつうによくある模試とすると、で
は、「応用」はどのくらい占めるのか? 配点比率からザクッといって、基礎
と基本が6割、応用が4割といったところでしょうか。しかし、この応用といっ
てもピンからキリまであり、その半分は実際基本レベルのなかの応用というか、
あるいは応用のなかの基礎レベル程度ですね。そして残り半分(全体の2割)
ほどが、解くためのノウハウを持っているかを問う、かなり思考力の要るほん
とうの応用題といっていいかもしれません。(注:この比率はあくまで模試な
どのケースで、入試問題となるとまたすこし違います。)
 
 で、この生徒の書いている内容をもう一度吟味・チェックしますと、「中で
も応用が特に苦手、出題されたものは全滅です」と書いていますが、偏差値と
予想できる点数からみて実は、ふつうにイメージする難度の高い応用ができて
ないだけでなく、勉強を積み努力すれば吸収できる基礎の応用も実はまったく
できていない、身についていないことが判ります。

 そしてさらにいえば、平均点が45点とすると、基礎と基本が6割ほど占める
問題比率に対し、15点ほどがミスかなんだかしりませんがこの部分もとれてい
ない塩梅になります。

 さて、この生徒の本質的な問題点と、とるべき勉強法は何なんでしょうか?
問題点ととるべき方法は、この場合、裏表の関係で、密着していなければなり
ません。離れたところに在るわけでは決してない。ところが、実際の勉強は離
れているんですね。

 おそらく塾にも通っていることでしょう。そして応用も勉強している。これ
が受験勉強だと思って、真面目にやっている。しかし、その姿は、自分の手の
届かない樹の枝にぶら下がっている実を、爪先立って採ろうとしている感じに
似ている。しかし自分の手にとったものは、実際は他人(講師)がその実の枝
を採りやすく下に曲げたことによるものか、あるいは踏み台を置いて手が届く
ようにしたものに過ぎない。自分の手と頭で採ったものではない。これに気づ
いてもいない。もっと目を凝らせば、自分の手でとれる実が、踏ん張って手と
脚を伸ばせば届く実があるはずなのに、そこにはどうしたものか目もくれてい
ない。

 よくいるんですよ、こうした生徒が。そもそも自分の力を知らなすぎる。正
確に把握、認識できていません。具体的に自分のとった成績の分析と反省も満
足にできているとはまったく思われない。これでどうして成績を伸ばせるんで
しょうか!?

「計算などは得意中の得意なんですが、応用となるとからきしダメになってし
まいます。」と書いているように、一応自己分析している部分もあるようにも
感じるかもしれません。が、計算が得意なんていうのは小学生ならまだしも、
中学生にもなってそれも中3の時点でいうのは、ちと幼稚すぎるでしょう。も
ちろん計算力がしっかりしているのは大事なことですが、それは数学全体のな
かでベースに沈み込ませて見えない力にするものであって、得意を主張しても
テストにはもうあまり反映いたしません。(余計なことながら、関数は得意だ
が図形が苦手とか、文章題は得意だが関数が苦手とか、せめてそんな言葉の遣
い方がほしいが・・・。)

 もっと具体的に、自分のとった点数の分析と反省を過去に正しくしていたな
ら、上述したように焦点があった勉強、つまり、自分の数学の学力と離れてい
ない勉強と実力のつけ方ができていたのではないでしょうか? それができて
ないから、「問題いっぱい解いてるのにいっこうに成績が伸びません。」とな
るんですよ。

 模試で平均点45点あたりの生徒が、80点から100点をとるための問題と勉強
は、決してすべきではないし、またできないです。ぼこんとまんなかに学力の
大きな穴が空いているんですから。その前の、前の、自分の学力から離れてな
い、60点をとる勉強とその問題にまず目を向けて、もっととことんしなければ。
それができてからようやく、応用のなかの基礎レベルの問題(偏差値でいうと
ころの65前後)に入ればいい、ということになります。