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§185 雑学の重要性についてVOL.1
<イスラム教シーア派>
興味のない方にはまったく迷惑千万、のっけから読む気がしなくなるでしょうが、まあ、少し我慢していただくとして。アメリカ大リーグの球団名とホームシティをつらつら思いつくまま挙げてみると、以下。
セントルイス・カージナルス、ニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツ、シカゴ・カブス、シカゴ・ホワイトソックス、ボストン・レッドソックス、シアトル・マリナーズ、モントリオール・エクスポズ、シンシナティ・レッズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ロサンゼルス・ドジャーズ、タンパベイ・デビルレイズ、ミルウォーキー・ブリュアーズ、サンディエゴ・パドレス、ボルティモア・オリオールズ、デトロイト・タイガース
、ミネソタ・ツインズ、ピッツバーグ・パイレーツ、クリーブランド・インディアンズ、アトランタ・ブレーブス
・・・。
出てきた名前、計20チーム。大リーグは30チームあるのだけど、我ながら少々自己満足。案外、覚えているものだ。ただし、頭のなかから無理やり搾りだした結果で、すらすら出て来たのは15チームくらいだったが。
都市名(一部州名)とチーム名でワンセット。これが理屈もなく、ただいい。いまになるとどこで覚えたのか、限定されない。スポーツ新聞やテレビの大リーグニュース、また雑誌などから、知らず知らずの間に重なり、反復されて頭に刷り込まれたのだと思う。
これでも昔、熱狂的な野球ファンだった。兵庫県の西宮市に住んでいたものだから、地元の甲子園子供の会(?)なるものに入っていて、ところがわたしは巨人ファンなものだから、外野席には無料で入れることをいいことにして、阪神の外野を守る選手に野次と罵声を飛ばしては、喧しく騒いでいたものでした。土日には暗くなるまで白球を追いかけ、といえば格好いいが、まあ、とに
かく専用のユニフォームを作ってもらったりなんかして、ただしキャッチャーミットなんかは買う金もなく、普通のグラブに綿を詰め込んでその代用としたものですが(しかし、案の定といいますか、ピッチャーからの玉はぽろぽろ落として・・・)、勉強のことなんてそっちのけ、ましてや私立受験なんててんで頭にはなく、さして上手くも才能もないのだけど、小学5年、6年のころは野球に半分心奪われていた。
それが最近、いや、だいぶ前から徐々に、余熱はまだ多少あるものの日本のプロ野球には興味は萎えて、松井秀喜のニューヨーク・ヤンキースやイチローのシアトル・マリナーズに、そして日本代表のサッカーに、興味と興奮は移ってきた。これも至極当然の成り行きか、熱狂の渦には入りきれないが、遠くで静かに応援している群衆の一人。
さて、そんな背景はあるものの、この雑学的知識を活かすのはどうすればいいか。そんなアホな思いつきはこの年ではしないし、する気にもなれない。ただただ浮遊する中途半端な知識の断片でいい。
しかし、これにいま、もう少し情熱があるのならば、そして恐らく99%役に立たないであろう知識欲求に気まぐれに応えるならば、序でに残りの10チームの名を覚えようとするだろう。そしてまた、アメリカの地図を描き、50州に別け、都市の位置とチーム名を書き、その地理的位置を確認する。どうせならそのままではもったいないので、州都も書き、その他重要都市も適当に書いていくことだろう。頭のなかでどうもその位置がもやっとして、定かにイメージできないのが、セントルイス、シンシナティ、クリーブランドの3つであるが。
中学レベルの地理で、アメリカの都市の位置を知っておかねばならないのは、ニューヨーク(国連本部など)、ワシントン(首都)、デトロイト(自動車)、ピッツバーグ(製鉄業)、サンフランシスコ(近くのシリコンバレーなどIC産業)、ロサンゼルス(航空業、石油)など。あとはやや知識を広げた応用として、シカゴ(食品加工業)、モントリオールやトロント(この2つはカナダに在るが。木材、他)ぐらいか、と。
何のことはない、殆ど上で覚え都市と合致しているのだ。アメリカ大リーグの球団名とホームシティを、まっさらな状態で一からすべて暗記してみろとなれば、それはかなりしんどいことである。義務ともなれば、さらに苦痛も感じる。仮に無理を重ねて覚えられたとしても、時間が経てば模糊として、3分の1も憶えていないことは容易に察せられる。それがしかし、残り10個ならどうだろう?!
楽勝だ、とは思わない。自然に覚えられるわけでもない。たとえ少しでも完璧に頭に仕舞い込むには、やはりそれなりの時間がかかる。そしてそれでも恐らく、2,3個はどうしても頭に浮かぶことはないだろう。つまり、完璧は無理で、さらにしつこく反復して追いかけねばならないことが想像される。でも、全体で観れば、27,8個には到達できる。
しかしそれは、大人のいまだからそんなに覚えてもいて、軽くいえるのでしょう?と、なかに考える方がおられるかも知れない。たまたま大リーグの話しでこのように書いたのだけど、純粋な地理だけの知識なら、むしろ中学生のときのほうが、いまより数段多く頭に詰まっていたように思う。それゆえ、誤解なきよう。
つまり、何を云わんとしているのか――。
もうお解かりの方もおられるでしょうが、雑学的知識が前以ってあるとないとでは、実際の勉強に臨んだ際、あらゆる意味で大きな差が出てくるということ、また実力への強力なバックアップに相当な差が生じる、ということですね。
これは当たり前のことを書いているに過ぎませんが、いまの生徒は恐ろしくこの雑学なる知識を所有していない(ごく一部の生徒を除いて)。これだけ情報が発達し、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、そしてインターネットと、あるゆるメディアから洪水のように情報がもたらされているというのに、その受け取っている知識というものは、いたって少ないのは一体どうしたことだろう?
北朝鮮の位置を知らない高校生は20%強、これほど毎日テレビから流されていたイラク戦争と、その後の絶え間ないテロ発生の悲惨なニュースの連続に、そのイラクの国の位置を地図上で指せない大学生・高校生が43%前後にも上るとか。高校で世界地理を履修しない生徒が増えてきているといった、そういう受験背景の問題以前の常識であろう、と思うが。
そのお隣のイスラム教シーア派の国イランとなると、さらに知らないのだろうなと思う。イスラエル・パレスチナ、そしてヨルダンの国ならさらに減って、また最近ニュースになっているレバノンとシリアになると、10%どころか恐らく3%未満(?)なんだろう。
ついでに脱線してシーア派とスンニ派。世界の人口63億人に占めるイスラム教徒は、およそ14億〜16億人、そのなかでもシーア派の割合は10%から多くて20%ぐらいらしい。イラクは今度、スンニ派からシーア派の政権に移行した。イスラム教については高校で習った知識しか殆ど知らないが、正統な指導者は誰であるかをめぐる意見の対立から、主流であるスンニ派からシーア派は分離した。つまりシーア派は、イスラムの指導者カリフは預言者マホメットの子孫であることを主張し、義理の息子(?)のアリーの流れを汲むものである。
一方スンニ派は、サウジアラビアやエジプトを初め8〜9割のイスラム諸国を占めるが、話しを中学レベルに戻すと、高校受験でも必要な知識、東南アジアのインドネシア、マレーシアはイスラム教を信仰している国だ(主流として)。そのインドネシアのスマトラ島沖を震源地とする今回の大地震と津波では、行方不明者の方もいれ約30万人の人命が喪われる結果になったのはご承知の通り。
アチェ州(今回の津波で初めて知ったが)の被害はとりわけ大きいが、新聞やまたテレビのニュースからもたらされるその映像の数々に、こころ痛み、同情とお悔やみの感情を禁じ得ないが、そしてこのようなところに雑学なんて知識云々を持ち出すことは不謹慎なわけだけど、ほんの少しだけ関連付けて言わせてもらうならば、インドネシアの人々の姿と彼らの土地、生活、建物の背景から、いまの中学生は何を読み取っているのだろうか?と思う。
中東とは違って、東南アジアのイスラム教信仰の国々の人々は、戒律が緩い(?)というかアジア的なわけだけど、よって普段の服装においてスカーフやターバンの着用はあまり目には触れないが、それでもニュースなどから学校やモスク、避難生活を余儀なくされている人々の中に、イスラムを信じる姿と雰囲気は自然と伝わってきている。
たまたま社会に関する知識となりましたが、お子様に確認してみてください。
「東南アジアでイスラム教を主に信仰している国はどこか?」と。
正答率は20%以下。答えはインドネシア、マレーシアどちらでもOK。知らない、わからない、そんなの学校で習っていない、では、社会の学力はおかしい。それ以上に、情報としての雑学習得のアンテナもまったく張れていないのでは、たとえ定期テストで90点前後取れていたとしても、その力は短期間しか持たない極めて表面的な学習の有り様で、脆弱に過ぎるだろうね。
途中ですが、この続きは次回に。
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