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§436 中1学習の重さの判断と展望new
<5教科の重さを数値化すると>

 今回は主に中1生対象の内容となります。しかし、中2生の場合も参考になる点があるでしょうか。

 あるお母様からのご質問で、「公立トップ高受験に向けた勉強のしかた、及び今後の大まかな進め方、そのなかでとくに注意すべき点があれば?」というのがありまして、この点でアドバイスを書いてみます。

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 質問を受けた生徒の場合、学校の成績は国語は80点台前半ながらも他は90点以上で、
 総合450点台という点数。評価もすべて5をもらっている。また、部活のほうがとても忙しく
 塾はいま通ってはいないが、2年あるいは3年になってまた考えたいとのこと。
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 さて、ここからある程度一般化して書いてみます。

 成績の見方あるいは捉え方については、下記のページですでにかなり詳しく述べています。

・「5科目の成績をみる目について VOL.1<5段階評価の成績表>

・「5科目の成績をみる目について VOL.2<学力の実相を見誤らない>
 

 しかし今回、同じような内容では、これをお読みいただいている方もわたしもおもしろくありませんので、まったく別の切り口と他では100%読んだこともない観点で、5教科の学力の有様と重さを評価、分析してみることにします。

 どういうことかいうと、人は大体、いまとすこし先のことまでならある程度わかってあるいは想像して行動しているものですが(わたしもまったくこの範疇)、その先の結論は知りません。

 ここでいう結論とは、この生徒の場合、現在中1のそれも1学期が過ぎた段階に過ぎないわけで、中3の2学期それも後半、内申もほぼ固まって「ほんとうの実力」もほぼ決まり、それが見えてきた段階、あるいは志望校合格の確率も7,80%出てきた段階、その時点を、ここでは結論とします。

 それがもし俯瞰できて、到達した自分の学力全体の姿をいま計ることができるのであれば、あるいは認識しておくことが可能ならば、どんなにいいことでしょうか。なぜなら、いまの問題点や課題が、そして先の備えへのすべき行動が、より切実に見えてくることでしょうから。

 これは、「公立トップ高受験に向けた勉強のしかた、及び今後の大まかな進め方、そのなかでとくに注意すべき点があれば」という質問に対する、ひとつの大きな回答になるかと考えます。

 2学期制もたくさんあるでしょうがここでは3学期制で考え、中学3年間の各科目の重さを、あえて数値化してみることにしました。ここが特異でユニークなところ。下の(  )のなかの数値をよくみてください。

 重さってなんですか?ということですが、それは学力、知識の総量とでもお考えください。それも、学校で習う知識の総量ではなく、入試で問われる学力の総量を指しています。ここがとても大事なので、できれば何度も押さえ理解しておいてみてください。

 もちろん、これは長年の経験とそこからつかんだわたしなりの知識と確信(?)に基づいているもので、たぶんに感覚的、直感的なものであります。よって、実証的根拠を示せと言われれば困るのですが、しかし8,9割は自信をもっていえると考えています。個々の学力と全体の学力を捉えるひとつの尺度に、そして今後の勉強の進め方になんらかの参考になる点があれば、と考えてます。

 (  )内の数値は、1学期に占めるその科目の重さです。【 】内の数値は、学校の授業レベル、教科書で習う知識ではなく、入試レベルで問われる、つまり応用の重さです。

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<数学>中1-(1)(1)(1),中2-(2)(2)(3),中3-(3)(4)(4)=21  21+【9】=30 

<英語>中1-(1)(2)(2),中2-(2)(2)(2),中3-(3)(3)(3)=20  20+【8】=28

<理科>中1-(2)(2)(2),中2-(2)(2)(2),中3-(2)(2)(2)=18  18+【0】=18

<社会>中1-(2)(2)(2),中2-(2)(2)(2),中3-(2)(2)(2)=18  18+【0】=18

<国語>中1-5, 中2-5, 中3-5=15  15+【15】=30
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 3年間の5教科合計の重さは、30+28+18+18+30=124となりました。

 中1の1学期の5科目合計は、国語を年間で5としているので、ここでは1学期の場合まだ1くらいとしますが、この合計は、たった「7」しかありません。124のなかのたった7です。この7をみて、重さ124の学力を想像しえますか? 

 中1で、1の学力をつけるのに対し、たとえば中3で3の学力をつけるのとでは、中3になると3倍の勉強時間やその努力が要るのかといえば、決してそうではありません。なかにはそのような知識量と内容もありますが、あくまでここでは、たんに重さを表しているだけです。また、中1のたった1の学力を身につけるのに、数学や英語などは実際相当な時間と努力、演習が必要です。それはまるで図体がでかい飛行機が離陸するときにかかるエネルギーと注意力をイメージしてみてください。それと同じです。骨が折れる作業です。

 しかし、3年間全体で瞰れば、入試に必要な学力、数学でいえば30分の1、英語でいえば28分の1にまだすぎないということです。
 
 この指摘には、多くの方がおおいに不満、なにか釈然としない、そして不可解な印象を持たれるかもしれません。が、しかし、「結論」から見た英語と数学の学力の場合、中1の1学期が過ぎた段階では、まだこの程度のもんなんです。

 ですから、中1の1学期に450点であろうとそれ以上もっととれていても、それはそれですばらしいのは言うまでもないのですが、一方で、ゆめゆめ安心めさるるなといいたいわけです。もうすこし信頼できるようになるには、少なくとも2学期が終わってからのことであります。そして学力の見極めは、もっと先にあることを意識しておいたほうがいいかと思います。まして定期テストの点数、及び内申点だけでは実力の正体は決して測れないことも認識しておくことでしょうか。

 ではここから、各科目について。

 勉強のしかたや進め方の具体的方策やアドバイスは、いままでにすくなくとも100以上書いています。ですから、今回はそこに触れるつもりはまったくありません。あくまで俯瞰的に学力を捉える目を、ときには持ってもらえるように、そしてその目でいまの勉強とこれから先にあるだろう問題点と課題を見い出し、考える、その材料になれば、と思っているにすぎません。

 まずは数学。

<数学>中1-(1)(1)(2),中2-(2)(2)(3),中3-(3)(3)(4)=21  21+【9】=30

 【 】の印については上で説明しました。【9】は、いわゆる入試レベルの応用ですね。30のなかの9の割合ですから、いかに大きな比重を占めるかがお判りいただけるかと思います。一部関数を含みますが、大半は平面及び空間図形の応用問題、それを解く学力です。

 ふつうに中3まで勉強して行けば、まずこの力は育たないといいいますか、身につけることはできません。できません、と断言口調はいけませんが、非常にむつかしいでしょう。入試対策の勉強で、ある程度は埋めていくことができますが、それは結果、ある程度までにしかすぎないのが、多くの生徒の現実です。

 この「ふつう」の勉強で、偏差値66(ネット上の数値)くらいまでの公立高なら合格するかもしれませんが、70をすこし超えた公立トップ高の場合は相当に難しいといわねばなりません。やはり、【9】の応用をしっかりすべてこなす勉強が、どうしても欠かせません。

 それをどうするか? 難関の私立中高一貫校の場合は、中2の2学期の終わりには中3数学の課程はすべて完了する授業スピードなわけで、それと張りあえなんてことは言う気はまったくありませんが、ふだんの学校の勉強はあきらかにあまりにもゆるいスピードだということだけは知っておくべきでしょう。上で書いた1年、2年、3年の学習内容の重さをしっかり見てもらえば、どういう学習のしかたと進め方が望まれるかは、自ずとわかってくるかと思います。図形力を鍛えるあらゆる勉強を、中1から始めることをお勧めします。

 次に、英語。

<英語>中1-(1)(2)(2),中2-(2)(2)(2),中3-(3)(3)(3)=20  20+【8】=28

 英語の出来不出来は、ひとえに2学期の(2)にかかっています。1学期の(1)は、たとえできていても信用ならん、というのがわたしの見解です。1学期の(1)と2学期の(2)の合計(3)で、英語の出来不出来は決まる。だから、学校のちんたらした授業内容とそのスピードに浸ってのんびりするのではなく、緊張感をもって早く2学期の(2)を勉強していくことです。 

 ただし、これは、ある程度の確かな国語力がある生徒、まったく同じケアレスミスは基本的に3回以上はしない(べつに5回でもかまわないけれど、それ以上はちょっとダメです。)、そして理屈抜きの暗記ができ、知識の整理整頓がつねに勉強の作業のなかでできる生徒が、条件といいたい。

 英語の【8】は入試長文に対する読解と英作力などになりますが、それまでに文法力と語彙などの力を中心とするたしかな英語力が身についていれば、豊富でていねいな長文対策の勉強のなかで、じゅうぶんこの力を習得していくことは可能でしょう。

 理科と社会について。

<理科&社会>中1-(2)(2)(2),中2-(2)(2)(2),中3-(2)(2)(2)=18 18+【0】=18

 理科と社会をいっしょに見るのはすこし違うと思ってますが、まあ細かい点は省くとして、生徒の共通するところをみると、定期テストでいい点数がとれているのに実力テストとなると、ガクーンと点数が下がってしまうのが、この理科と社会の2科目です。

 なぜか? これは詳しくHP上の理科と社会についてで説明しています。要するに、分野別、単元別に並列に並んでいるので一度学習すればそれで終わり、個々の知識の集合体の学力が張り子のトラといえば言い過ぎながら、時間経過による忘却の穴があちこちに空いていて、きっちりした知識の定着と暗記ができていないことに拠る。

 一部例外があるにしても理科と社会は、小学校で習った知識を膨らませあるいは深めたものが中学の内容であるとすれば、各(2)の半分の(1)はすでに学習した結果、身について覚えていなければならない。それをリセットして、真っ白の(0)から(2)を学ぶ捉え方自体、そもそもおかしいのである。

 この辺に、実力テストとなるとガクンと点数が下がってしまう要因、そしてまた中学でも忘れてしまうという勉強の問題点がありそうです。

 (1)から(2)を学ぶ生の場合は、学習を1年生、2年生と進めていってもそこそこ実力もつくかと想われますが、(0)から(2)を勉強していく生徒の場合(ほんとに多い)は、定期テストでいい点数をとればいいと考えているだけでは、またおなじ結果が待ち構えていると指摘したい。それゆえ、この中学では、相当に努力と時間をかけて勉強していくことが望まれるのではないですか? 

 最後に国語。

<国語>中1-5, 中2-5, 中3-5=15  15+【15】=30

 国語という教科は、そもそも数値化すること自体おかしく無理があるかと思います。が、こうして並べてみると、他の4教科と本質的にもはっきり違うことがわかりますね。

 1学期ごとに、(1)とか(3)とか学力が目に見える形で増えていくことはふつうあり得ないので、1年間のトータルで表してみました。そして、読書ほか本人の持てる力を【15】としました。学校の授業や教科書以外で身につける力が、実は半分ほど占めているように思うからです。

 すでに小学校の間に【15】までとはいかずともそれに近いものを、あるいはそれを形成する基礎の核となるものを身につけている生徒もいるものです。しかし、逆に、そうではない生徒はいま、愕くほどいっぱいいます。

 はじめに例示した生徒の場合も、他の科目が90点以上にたいし国語が80点台前半というのは、少なからず危惧する材料ですし、【15】の力がいまひとつひ弱いと判断します。

 公立トップ高をねらう生徒の場合、最終、英・数・国はできて当たり前なんですから---ただし数学は要注意---、国語の偏差値が低いと話になりません。中3になって作為的に伸ばそうとしても、そうは問屋がおろしませんから、まだ国語力に不安がある生徒は、中1と中2のあいだにできるかぎり【15】の力を身につけていく努力と時間が望まれますし、高めていく勉強を心がけ、実践していってもらいたいと考えてます。