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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§294 中3学習のありかた VOL.1<改定>
<理科と社会について>
 中3学習のありかた、学習の進め方とその目安、入試対策いおける問題集の
利用のしかた、などについて述べてみたいと思います。このVOL.1では、理科
と社会についてです。

 理科と社会ですが、二度は学習したいものです。最後の勉強、入試過去問に
あたるまでに。

 一度目は、1,2年の学習した内容、全体の3分の2の学力に相当するものを夏
休み終わりまでに完了する。基礎の総ざらいです。忘れているものは頭に叩き
込む。とにかく暗記です。5科目のなかで特に理科に多いけれど、理解したこ
とそのものを忘れてしまっている。その理解のやり直しと暗記である。

 二度目は、秋、2学期中にする。同じ問題集を繰り返ししてもいいし、別形
式の問題集でやってもいい。しかし、やはり同じものをするのが基本かと。学
習内容は1,2年の分野とプラス中3で勉強した内容になりますが、一度目をし
っかりやっていれば、二度目はもっと楽に、しかもスピーディに時間もあまり
かけることなくできるものです。

 この時期、テストがそれこそごろごろあるはずです。いちいちそれに合わせ
て、いままでの総復習ができるはずはないのです。たとえ1,2週間かけて必死
にやったとしても、おそらく大抵の生徒は、上っ面を撫でるだけの知識にとど
まったり、コツコツ時間をかけた暗記ができていないので、実力テストあるい
は塾の模試でもそうそういい点数がとれるわけではない。しかし、よくいます
。熱心に勉強したのに、この前よりちっとも点数が上がらなかったとか、前よ
り対策に時間をかけてやったのに点数が逆に下がってしまったとか・・・。

 この理由の大きなものは、すでに書いています。土台となる一度目の勉強が
できていないんですね。表にみえる勉強の姿や言葉から、とかくご父母の方は
判断しがちですが、実力をつける勉強とは、もっと地道なもの、時間も長くか
かるもので、また通常目には見えない部分にこそ、その実力の所在が隠れてい
るからです。

 そしてもうひとつの間違い、あるいは勘違い。

 中3ともなるとかなりの割合で塾に通って勉強しているかと推います。しかし、
勉強をしたという意識の持ちようで、どうもおかしいところがあるのです。こ
れはふだんの学習についてもいえることなのですが、そこはこれまで何度も指
摘していますのでここでは省くとして、このような秋の実力テスト対策の勉強
になって、1,2年の復習を塾でするとしたら(別に夏期講習の段階でもいいで
すが)、範囲が2年以上の厖大なものであり、そんな短い授業でわかった、わ
かった、忘れていたところもわかったと、それですましている意識と感覚では
まったくアカンでしょう。

 なぜなら、ふつうの授業でわかったことが、たとえば3,4個であるとするな
ら、総復習では10倍どころではない5,60個もじつは表に裏にと存在するだろ
うと思いますよ。それをもう一度自分で、自らの頭で確認、学習しなしかつ暗
記する作業が絶対に要るではありませんか。

 根本的に物量が違うのです。そのことが不可解なことに、どうもわかってい
ないようにみえます。こういう生徒がいまは多すぎます。よって、肝心な部分
の勉強をしない。自分の頭で確認、学習しなおす作業、とキレイな表現で書き
ましたが、実際こんな上品なものではなく、抜けている部分はすべて、頭に叩
き込む作業、暗記しまくる行為でしょう。

(ただし、こう書きながら言うのも変なのですが、本来はもうすこしきちんと、
学ぶときに深く理解も暗記もして、さらに教科書的な知識を超えたところで幅
広く、いろいろ雑学しつつ学んでいれば、こういう勉強はほとんど不必要なこ
とです。またそうあるのが理想です。しかし、生徒の理解と暗記の実力の、と
んでもない姿を目の前にすると、学習への指摘・論理は、もうこれ必然的に変
わらざるを得ません。)

 土台になる一度目の復習がなく、秋本番になっての学習のしかたがこのよう
な不徹底な形では、なんとも情けないかぎりではありませんか。

 その結果は一般に、どうでしょうか? この時期の理科と社会の実力テスト
の平均点は、ほとんど50点もなく、下手すりゃ40点を切ることも稀ではありま
せんね。ヒドイの一語です。昔からよく、暗記科目は後半から追い上げて勉強
すれば間に合うよ、というのを聞きますが、一部はほんとうにしても大部分は
間違いでしょう。これは、土台になる学力がすでにじゅうぶんある生徒と、記
憶力に相当自信のある生徒にのみ当て嵌まる事実です。この力があるかないか
は、自分で判断してみてください。

 一度目は基礎の総ざらい、1,2年の学習した内容である全体の3分の2の学力
を充実させること。二度目は、一度目の抜けた部分を補強しつつ残りの3分の1
の学力を強化していくこと。これで受験対策への下準備ができたということで
す。

 その後入試過去問で、まだもうすこし得なければならない知識、解答表現で
身につけるテクニック、グラフや資料を正確、適切に読みとる訓練などがある
のです。なかには、一、二度目に戻って、一部弱い部分の補強もまだ出てくる
かもしれません。そうやって、入試に臨むのが正道でしょう。

 では、中3課程の理科と社会の学習の進め方はどうすればいいのか? これは
基本的に、先行した勉強は特に要りませんね。ふつうに学校の進度にそって、
きっちりていねいにやっていけばいい。もちろん余裕があればするに越したこ
とはありませんが。

 さてあと一つ、考えておきたい点を指摘しておきます。それは、「計画」
についてです。

 中3での理科と社会の学習のありかた、学習の進め方とその目安について大
まかに述べてきたわけですが、では、それをどうやって実行していくのか、そ
の計画が大切です。と、書くのがふつうなんでしょうが、じゃあ、計画通りや
るのかな、という疑問と、その計画はどうやって決めたんだ、という不安が頭
に過ります。そこで、付け足しておきます。

 たとえば、ここにやり遂げるのに50時間かかる問題集があるとします。生徒
の使い方によっては30時間にもなり70時間にもなるわけですが、こちらの思
惑では最低でも50時間はかかるものとします。30時間で済ませた生徒は、雑に
やった生徒か、あるいはその問題集の内容の7,80%以上はすでに知識として所
有している生徒の、どちらかでしょう。70時間かかった生徒は、その学力いか
んに関わらず、ていねいにやったということです。勉強は決して雑にやるもの
ではない、ということだけ書いておきます。

 上記の「一度目」のスケジュールで考えてみます。

 1,2年の学習した内容(全体の3分の2の学力)を、夏休み終わりまでに完了
する。基礎の総ざらいです。忘れているものは頭に叩き込み、理解が吹っ飛ん
でいるものは理解のやり直し、そして暗記です。

 1日1時間勉強するとすると、50時間÷1時間=50日。2ヶ月弱でできるのか、
と計算する生徒はあまりいないと思うけれど、うーん、これではマズイでしょ
う。毎日毎日、さらに毎日毎日・・・、つまり月曜日から日曜日まで、その繰
り返しができるのでしょうか? 中3の日々の勉強があります。塾に通ってい
ればその時間、あるいはその日はできないかも。自学自習をやっている生徒で
も、週に3,4日が限度かなと思います。それで計算すれば、3ヶ月以上かかる
ことになるのです。精一杯(?)の期間要ることがわかります。

 これはしかし1教科の計算で、復習すべきなのは理科と社会の2教科です。よ
って頭のなかは?・・・、となるはずです。その倍の計算はしてもらうとして、
これでもまだ正しく期間を捉えていませんね。いまは2学期制を採る学校も多
くなってきていますが、まあここでは便宜的に3学期制として、1学期には中間、
期末テストがあります。その前の各最低1週間はできません。ということで、
さらに問題集を仕上げるまで日にちが、計算よりずれることになります。まだ
他にもありそうですね。部活の予定のことや学校の行事などで、日にちが思う
ようにとれないこともあるでしょう。そうすると、・・・。

 しかし、「計画」の完遂を目指す上でほんとうにコワい(?)のは、という
かよくよく用心しなければならないのは、こういった外的要因以上に自分の内
なる要因でしょう。つまり、この間の、問題集への打ち込む気持の維持とコン
トロールがなによりも大事になってくるでのではありませんか? 定期テスト
対策で短期集中してやればこなせる勉強とは、質も量も違います。1週間やそ
こら気持を張り詰めて取り組めばなんとかすんで終わる勉強とは、まったく異
質な勉強です。いわばマラソンみたいなもので、息の長い勉強を初めによく自
覚しておいて取りかかりたいわけです。

 こうして文章に書くと、なにかと難しそうでまたややこしく感じてしまいま
すが、実際はそれほどでもないはずなんです。案ずるより生むが易し、かな。
ただ前以って、問題点や注意点を頭に入れておいたほうが失敗は少ない、その
ために指摘しているにすぎません。こういう勉強は昔ならふつうにやっていた
ことですし、いまもできる生徒はふつうにできるんです。そして高校になれば
さらに求められるわけですから、いまのあいだに訓練をしておきたいものです。

 まあしかし、計画はあくまで計画で、それを尊重しつつも縛られるべきでは
ありません。机上の計算というものは、それが現実に深く裏打ちされていない
限りそぐわないことも出てくるわけですから、修正しつつ実行に移すべきでし
ょう。ただ修正するのが、自分の都合よい現実に合わせるだけなら問題外です
ね。

 無理な計画はしていけませんが、自分でしっかり考えた上でいったん決めた
なら、その完成期日に向けて何がなんでもやり遂げる、その執念でもって臨ん
でほしいと思います。修正する点は、ふだんの学習時間の増減、土・日へのシ
フト、夏休みへの学習時間のシフト(しかしこれは、ふだんにどれだけ真剣に
取り組んだか、やれるだけのことはやったか、その結果の上に成り立つ)、ほ
かいろいろまだあるでしょう。


 では次回、中3学習のありかた VOL.2<数学と英語について>