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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§229 問題集を選択するその発想 VOL.1
<算数の図形教室<A>の場合>

「参考までにお伺いしたいのですが、先生の”小学生のための図形問題「算数の図形教室<A>」”はやはり、6年生あたりから始めるのが適当でしょうか? 下に新小4の娘がおり、現在○会の通信講座を受講中ですが、問題数が少なく、すぐに終わってしまうので、他に併用する適当な教材をあれこれ思案いたしております。
 図形の基礎問題なども含まれるようでしたら、少しずつチャレンジさせてみたいとも考えておりますが、難しすぎてかえって算数嫌いになられてもこまるので、先生のご意見をうかがわせていただければ幸いです。」

 これは或るお母様からの便りの一部内容ですが、ご了承のもとに載せさせていただくことにしました。中学生になる上のお子様がE-juku1st.Comの問題集をご利用いただいており、その関連でのご質問です。

 このようなご質問を時折いただくことがあります。ご注文の検討なのでこちらとしてもとても有難いのですが、その都度、「残念ながらまだ早いです、6年生になってからのご使用が向いております」という意味のご返答をさせていただくことになるのですが、これに類する一般の問題集選択の折の悩みや思案を抱かれている方は非常に多いかと存じますので、小学時の問題集の選び方について、というより、問題集を選択するその発想そのものへの問題提起を少し、わたしなりの助言を交えて書いていきます。

 ところで以前にも書いておりますが、わたしのスタンスは、じゅうぶん知悉していないものは書かない、頭でわかっているだけの、それゆえ往々にしてキレイごと、美辞にしか過ぎない意見や助言を述べることは、どうも意に染まずまた億劫であり、書く気がしない、というのがあります。その代わり、読者の方にとってときに耳が痛いこと、不愉快に感じてしまうこと(そのようなつもりはつゆもないのですが、誤解されてしまうとそれまでです)も半面、有用であると判断したものなら厳しく書いてきましたが、あくまでそれは、意識的に中学生に限定した専門領域のことで、そこから外れた小学生のことや小学校の内容については、必要であり言及せざるを得ない話題の場合を除いては、基本的にできるだけ踏み込まないようにしています。というか、あまりたいしたものは持っていない、と考えています。

 その中身の大雑把な芯なるものは、「よく学び、よく遊べ」の精神と自主性の尊重かもしれません。それはしかし茫洋としたもので、中学みたいに細部まで考えるところや拘りが多々あるものではありません。父母から素朴に教えられたことをわたしも子に教え伝えた個人的なものに過ぎず、むかしの謂いまわしになりますが、「読み書きそろばんがしっかりできること」、これが小学校
での、わたしのシンプルな命題です。その確かな基盤、饒かな土台を築くことです。

 いま話題になり人気の高い本や時流に乗った書籍類には、臍曲がりのため一顧だにしないのですが、長年読み親しんできて大いにファンである藤原正彦氏だけはさすがに別である。その最近の著書『国家の品格』(新潮社)を読まれた方は多いかと思いますが、ほぼ同時に発売されている『国語とは祖国』(新潮文庫)も、とってもいいかと思います。

 そのなかで、藤原氏一流の言い回しですが、次の文がありますね。
「小学校における教科間の重要度は、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下なのである。中学高校と、国語の重要性は無論低下する。」

 氏は小学校での国語時間数の飛躍的増大を図ることが急務であると、その論拠を明晰にしてあますことなく訴え、量的にも質的にもその根本的な改善を図ることが喫緊の課題であると、そして国家の根幹はひたすら国語教育いかんにかかっていると熱く述べておられます。

 わたしもまったく同意見なのですが(いや、較べること自体おこがましいのですが)、このことに言及するとあと2,3回は続けて書いていかねばならないので、ここで今回のテーマに戻ります。

 問題集を選択するその発想そのものへの問題提起と助言でした。

 問題集には、大きく2つありますね。日々の学習で基本の知識を固め、より理解を深めるワークタイプの問題集と、習った範囲の知識を土台にして応用力を育成、練磨するタイプの問題集、と。わたしの「算数の図形教室<A>」は明らかに後者に入ります。

 ホームページ載せている説明の一部を引きます。
「学校の指導内容は関係なし。これだけは小学校で学んでおきたい、また図形のあらゆる観方の土台とその解法の技術をできるだけ身につけておきたいというものを、独自の視点で選び、高校入試へ結びつく確かな図形力を目指して編集構成した。<後略>」

 小学5年と6年で学んだ算数の知識を最低の土台にして、つまり現行の小学課程の内容などはカスカスもいいところで、計算や文章題にしてもまた大切な図形にしても教科書の内容がわかればいいんだというレベルは相当にまずく幻想もいいところで、かつての認識に囚われていればとんでもない結果になるということを知っておくべきだろうし、少なくとも1980年代以前の日本の小学校レベルに戻った内容を土台にすべきだと考えていますが、その上にオンするものとして、この「算数の図形教室<A>」があるのです。

 中学受験を経験した生徒がすべてもっているわけではないが、その高い算数の総合力に勝らないまでもなんとか伍して張り合える図形力を磨くために作ったもので、少なくとも6年生以上でないと学習できないことがお解かりいただけるかと思います。また同時に、すべきときにこれらの問題を学習していない生徒が、中学生になり数学を勉強して、特に図形になるといかにその能力がないか、視る目と感性が育っていないかは、これまで20数年つぶさに観てきましたし、しばしば述べてきたとおりです。

 私事ながら、娘と息子にこの図形を教えたのは小学6年になってからです。正確にいうと、「これ、ぼちぼちやっておいたほうがいいなあ」といって、問題プリントを渡し、1週間に1度くらいその進捗具合をみただけです。塾には行っていませんし、職業柄わたしは家でもまた教えることは億劫でしたので、難しくてわからないところだけをほんの少し、付き合ったに過ぎません。

 いまのように本格的な作りではなく解答の図も解説も粗いものでしたが、でき得る限り本人任せにしました。こうして書くと、なにやら素直で出来もよさそうに見えますがたまたまのことで、興味もあり、やるタイミングもよかったのだと思っています。

 絵の説明がうまく入った百人一首の本を買ってきて、娘の机の上にそっと置いて知らぬ顔で窺っていると、興味がないのかチラチラとみると以後そのままであったし、それを今度は息子のほうに回すとこれまた失敗。うん?これいいねと、中学生用ではなく実は高校生向けの漢字の読み書きの問題集を買って、これしたら、と勧めてはみたのですが、どうも難しいらしく(当たり前だ)、
気乗り薄く、すぐやめちゃいました。こちらの深謀遠慮(?)の目論みやあほな思いつきは、なかなか通じなかったですね。

 さて、今回のご質問は前者の、日々の学習で基本の知識を固め、より理解を深めるワークタイプの問題集に属する、と解釈したほうがいいかと思いますが、その場合、そうですか、ではこういう問題集はどうですかといった同じ流れに乗った発想や考え方は、わたしにはあまりないのです。それはどういうことか、次回に書いていきます。