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§215 自分の学力を知る難しさについて VOL.1
<2学期の後半から・・・>
自分の学力を知る難しさについて、今回述べてみます。これは永遠のテーマかも知れません。
これまでにもかなり、この学力に関する見方や指摘、また警告(?)らしきものまで一部盛り込んで発してきましたが、このごろ、それにまつわる問題がホームページ上や身の周りにも増えてきましたので、ここでまた再度、説明してみたいと思います。
厳しい内容になるでしょうが、そして対象とするゾーンを今回は絞って、ある程度上に設定して話しますので、そのつもりでお読みください。
生徒も親もそうなんですが、1年のスパンで把えたとき、学力の不足に気づく、あるいは気づき出すのは、この秋も後半になってからの時期が最も多いのですね。日本では4月から新学年が始まり、1,2,3学期と1年が進むわけですが(2学期制もありますね)、問題はそれぞれ抱えているものの1学期は、新学年ということで目線は先を向いており、新しい意欲もあれば、気分も立て直して勉強を進めているかのようにみえます。
そして夏休み。これは今年も「§197 受験生にとって夏休みの使い方」で述べております。ひと言だけ書きますと、中3生は、夏を制すものが受験を制す、というつまらぬ宣伝文句通り、その結果と実感が残せたかどうか?! 中1生や中2生の場合、自分の計画した目標の半分でも達成できたかどうか? すんでしまえば、さしたる反省もなく当初の思いやその勉強内容も忘れるものだけど、果たして2学期に繋がる確かな手ごたえと実力の向上はあったのだろうか?
2学期は、1学期や3学期に較べ期間が長い。また学習内容も、たとえば数学なんかは計算中心の単元から関数や図形に移るし、英語も文法的にさまざま習うことが1学期に較べはるかに多くなる。社会や理科も内容的にというより、その学習するスピードが速くなるだろう。
ここでワンポイント、注意点を書いておきますと、上記の内容でもお解かりのように、学習する量が増えその中身もやや難しくなるわけですから、それを消化吸収するには1学期と同じ勉強のしかたや時間では足りないことになります。単純な言い方ですが1.3倍とか1.5倍の時間をかけても、決しておかしくないはずです。
ところが、大抵の生徒は、1学期と2学期とかその学習内容に関係なく、また3学期も入れてほぼ1年中、同じ気持ち、同じ学習のしかた、同じ勉強時間でしょう。2学期になると見事に点数が下がるのも、むべなるかなです。1学期と同じレベルを保つなら、それなりの時間の配分と努力、また工夫をしたいものです。
そして3学期。実質2ヶ月ちょっとで、短い。中3生の場合は受験一色ですから、もうこの話題には関係ない。では、中1生と中2生ならどうか? その目線の先はどこを向いているのだろう。これまで習った学習内容の確かな実力を持って先を観ている者はいいが(そのような生徒は数パーセント)、応用力をみない基本の問題だけで構成された定期テストの点数のよさと、教師のともすると表層的な分析能力による甘い評価を、そのまま信頼するだけで安心している生徒や親が不思議なことに意外と多いのであるが、その目線は自分の実力を、正確にはまだ捉えていない。
大部分の生徒は、もう残り少ない単元である目の前の勉強に目をくれるだけで、自分のわからなくなった箇所に戻って勉強をし直すことは殆どなく、わかったつもりでその理解の不足や知識の曖昧さに気づかず新たなことを学習し続けたり、わかっていたことも実は束の間だけでどんどん忘れていくという、その歯どめを掛けない勉強を繰り返しているに過ぎないかに見える。
まあ、1年の大雑把な、生徒の意識の流れでいえば、以上のようになるでしょうか。つまり、一般に、習う過程の半分を過ぎて、または3分の2ぐらい過ぎてようやく、自分の学力の至らなさに気づく生徒があまりにも多い。実はそんな問題点が大きく現れる以前に、小さな問題の芽があきれるほど一杯出ているのであり、観る者が観ればとっくの昔に、上記の周期でいえば4月の初めから、わかっていることであり、その細かな注意と対策に頭を悩まされるのが普通なのであるけれど、それがどうしたものか、現実はその普通をいつも蔑ろにしているかのようだ。<この言及は次回に。>
次に、点数を見るときの判断について少し。
たとえばいままで自分で勉強して、または他の塾に通っていて、英語の定期テストの成績が50点も取れない、46点や43点だった生徒が入塾してきて、文法の基礎どころか単語もあやふやな知識、熟語の意味も知らず、音読やノート直しのやり方、復習のしかたからまああらゆることを教えて、繰り返し注意して、言葉でいうことは2度や3度では到底頭に入らないから、ほんとうに頭と身体に入るまで繰り返し反復して、その結果数ヵ月後に、65点も取れるようになったのなら、大いに褒めますよ! 飾り文句はもちいないで短く、力強い言葉で。
またこうした生徒は、次には75点を目標として取れるかというと、決してそういう甘い読みは成り立つはずはなく、当初のようなひどい点数はもう取らないものの、65点前後で行きつ戻りつ停滞するものです。つまり、まだ自力が足りないわけで、学習上の欠点や文法的な穴もまだまだ空いているのです。それを地道に塞いでゆく、そして基本の力をもっと溜めてから、上昇するのです。
でも、いまは、そして次に書いていこうとすることは、こうした視点に立ってみていない、まったく別角度からみて述べているということを、どうぞご理解いただければと思います。
平均点という尺度があります。また学校などでは定期テストで、70点を超えれば一応合格点だと、先生も生徒もそして親も見做していることが一般的かと思います。
しかしその合格点の中身、正体は、いったいどういうものなんだ?ということを、あまり普段考えていない、実はよく知っていないようにも思えます。定期テストと実力テストの激しい落差に驚かれるご父母の方が後を絶たないわけですが、特に中3にもなると、また中3にならなければわからない、見えてこないことも多々あるにしても、それゆえ今回のテーマ、自分の学力を知る難しさ
があるともいえますが、出来ることならその落差の幅を少なくしたい。
そのあたりの視点について、次回言及していきたいと思っています。VOL.1はここまで。
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