大学合格体験記を読んでVOL.4 <勉強時間と場所>
できればもう1回続けられればと思っているのですが、今回は体験記の4回目、
勉強する時間と場所について採り上げてみたいと思います。
高校生と中学生では大きく違うではないか、また公立と私立ではまったくそ
の環境もことなるではないか、とお思いの方もかなりいらっしゃるでしょう。
私も同感であります。ですから、参考にできるところはすくない。そのすくな
いなかで、なにか感じてもらえるところがあればさいわいです。
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1.高1の駿台模試。高校生になって初めての大一番でしたが、先ほども言ったよ
うにカナダ留学以降僕は堕落しかけていました。案の定この模試で僕は見たこ
とのないような悲惨な成績をとってしまいます。ここで再び目覚めもう一度イ
チから勉強習慣を作り直して基礎的な内容から復習しようと決意しました。
いまでもあの模試には感謝しています。
次に夏休みの過ごし方です。僕は高1の6月から陸上部に入部しました(中学
時は野球部)が、夏休みはほとんどクラブがありました。猛暑のなか体を動か
しへとへと状態で家に帰ればどうなるかは想像に難くありません。
そこで僕はクラブ終わりに塾の自習室にこもり毎日4時間勉強するよう決め
ました。苦手科目の克服や得意科目を伸ばしたり、非常に充実していました。
そして夏休明けの模試でかなり良い成績がとれ、「俺はやればできるんや」と
思い勉強が楽しくなりました。
その後は高3の5月までクラブと勉強の両立ができ、クラブ引退後計画通り勉
強ができました。よく模試で一喜一憂するなと言われるか思いますが僕はして
もいいと思います。でも一喜一憂するだけではダメで、自分を見つめ直すいい
機会に捉えて次に生かせばいいんです。 <京都大学 工学部>
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模試でヒドイ成績をとってしまう。それもこれまで自分が見たことがない点
数と偏差値――(確かに駿台模試ならそれまで受けた経験がもし無いのなら、
これはあり得ることかと)。
人は失敗から多くを学ぶ。これはよく言われることですが、この生徒はそこ
で、はっきりと目覚めたんですね。自分の失敗の原因を直視した。そして勉強
習慣を作り直すことを決めた。また基礎的な内容から復習しようと決意した。
この生徒のエライのは、決意したことを実践しやり通したことです。人は痛
い目にあっても、時間が経てば大抵のことはふつう忘れてしまう。反省し決意
したことでも、その実践が長続きすることは稀ではないでしょうか。
公立中学生の場合でも、英語と数学、そして理科。この3科目に対する自分
の実力不足に気づいたときには、「基礎的な内容から復習」をすぐに始める、
これがやっぱり肝心ですね。
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2.高1まではテスト前しか勉強していませんでしたが、高2から大学受験を意識
して勉強し始めました。(学校の先生が本格的に勉強しろと言い始める。)
といっても最初から毎日勉強できるわけないので、少しずつ勉強する習慣を身
につけようとしました。僕は朝起きてから学校に行くまでの1時間は暗記、水
泳の練習がない日は19時から22時30分までは勉強するなどした。これぐらいか
らはじめていきました。あと、授業はしっかり聞くようにしていました。授業
を聞くことで定期テスト対策の勉強の時間が減り、英語や数学の自習時間が増
えて、効率が良くなりました。 <京都大学 工学部>
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「朝起きてから学校に行くまでの1時間は暗記」は、中学生にも参考になるの
ではないかな? 30分でもいいし、また暗記ではなく英文の音読もいい。
暗記って作業は別に机に座ってやるものでもなく、いろんな姿勢でできる。
朝の起き立ちはぼんやりしているし集中力もまだ乏しいのがふつう。でもその
意識下で単純なものを暗記しようとすれば、これはくり返しのなかで、つまり
一度目はぼんやりでも二度目になると焦点が合ってくるし、三度目になると集
中力も上がることも知っておきたい。あとはルーティン化できると、その暗記
した内容は実力の強力な支えになることでしょう。
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3.中学生から続けていた自分の勉強スタイルを貫こうと思い、塾には通いませ
んでした。勉強時間は平日で3〜8時間程度、休日に10〜12時間程度勉強時間を
確保していました。夏休みも11時間程度でした。また、クラブ、学校行事で忙
しい時は最低2時間していました。
中学の勉強で意識していたことは、高校で忙しくなることが予想されていた
ので、高校そして受験を見据えた基礎作りを意識していました。これが、高校
時代の勉強に生きたと思います。でも、これはやり過ぎだと思いました。なぜ
なら、受験期は時間が限られているので量で凌駕することが難しく、中学の間
はこの時間をもっと有効な時間に使えると思ったからです。中学から量もこな
すことも大事ですが効率を意識した勉強が大事だと思います。
高校生の時は忙しい期間を除いて平日4〜6時間程度、休日9〜11時間程度勉
強時間を確保していました。でも、高校生は部活や学校行事で忙しいので、思
うように勉強時間を確保できなかったり、疲れて勉強に身が入らないこともあ
ると思います。
よくあったのが「部活に疲れる→勉強せずに寝てしまう→なんで寝てしまっ
たんだと萎える→良い気分ではなくなる→学校生活に疲れる」といった悪い流
れでした。友達からも「疲れて勉強せずに寝てしまって萎えた〜」というよう
な話はよく聞きます。でも、僕はそんな日があってもいいと思います。疲れた
時は休んでいいんです。疲れて勉強できなくて嫌な気持になるほうが学習にと
ってマイナスです。僕はつかれた日は割り切って早く寝て、起きることが出来
たら朝早く勉強するといったことをしていました。その方が良い睡眠が出来て
心もすっきりします。大事なのは疲れるのは誰にもあることなのでそれと上手
に付き合うためにはどうすればいいかを考えることです。<京都大学 薬学部>
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実はこの生徒の体験記は、微に入り細に入り極めて具体的かつ論理的で、そ
して他の生徒のそれよりずば抜けて長い体験記を書いています。全体では上記
部分抜粋した長さのおよそ14倍にもなります。この生徒の文章を読んで何度瞠
目し感銘したことかわからないほどです。
これをお読みの皆様もほんの短いこの文章に、この生徒の人柄の良さと勉強
に立ち向かう真摯な姿勢をおそらく感じてもらえるかと思います。
わたしの余計な説明と解釈は却って邪魔になるかと感じてますので省かせて
いただきます。うーん、それにしても、すごい生徒が居るものです。
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4.私は日々の勉強の予定を立てることに重きを置いていました。具体的には、
1日に何を何時間勉強するかを一週間分決めたスケジュール表(時間割のよう
なもの)と、2,3カ月単位でどの模試のためにどの問題集を何周するか、など
を書いたスケジュール表の二種類を作っていました。
時間割のように定めることで「今日は何を勉強しようかな?」「今日はやる
気が起きないな」と考える時間をなくすことができ、効率的に自分の苦手分野
や復習を行うことができると考えています。 <東北大学 医学部>
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この生徒の勉強への姿勢、考え方には、一本大きな筋が通っているというか
やはり感心しますね。
日々の勉強の予定を立てるということは、誰しもできているようで実は案外
できていないことが多いのではないでしょうか? それもこの生徒のすばらし
いところは、「1日に何を何時間勉強するかを一週間分決めたスケジュール表」
と、「2,3カ月単位でどの模試のためにどの問題集を何周するか、などを書い
たスケジュール表」の二種類を作っていた、ということです。
わしなんか行き当たりばったりで勉強してきた部類ですが、こういうふうに
二種類のスケジュール表を立てて勉強している生徒がいるんだと、もし高校生
のときに知っていれば結果はもっと違っていただろうな、と歯がゆく感じます。
中学生にはかなり難しい面あるかと思いますが、――時間割のように定める
ことで「今日は何を勉強しようかな?」「今日はやる気が起きないな」と考える
時間をなくすことができる――と、この生徒が指摘している点をほんと自分な
りに考えて、勉強の予定を立てることをうまく採り入れてほしいと思います。
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5.「やることのない時間に高い集中力を保ちながら勉強する」ことが大切です。
やることがない時間とは、たとえば行き帰りのひとりでいるときの通学時間、
クラブが終わり寝るまでの時間、誰かと遊ぶ予定のない休日など、「ひとり」
でいる時間です。家に着いてから寝るまで平日は5〜6時間、考査前は8〜9時間、
考査中は12時間もあります。ご飯や風呂・トイレ、家族との会話や家の手伝い、
LINEやTwitterの確認を除いても、かなりの時間があります。
自分の部屋にいるときに集中して勉強できるような人であればいいのですが、
そういう人はあまり多くないと思います。僕自身自室で勉強することはほとん
どありませんでした。その場合まず挙げられる代替場所は塾の自習室です。た
とえばある大手予備校では平日休日どちらも9時から21〜22時まで自習室が開
放されています。
僕は基本的に塾の自習室で勉強していて、高校生になってからクラブが終わ
った後19〜22時勉強したあと帰るという日が多かったです。高2になると平日
だけでなく休日の時間の使い方が大切になります。高2のうちに休日8時間以上
勉強できる集中力をつけることがのちに大きくつながります。
連続5時間以上の勉強になると高い集中力が保てないので。数時間ごとに他
の自習室へ移動したり、カフェへ移動したり、休憩がてら外を散歩してみたり
するのがいいです。1つの教科をずっとやると飽きるので、集中力が切れたと
思ったら他の教科に変えて、1日に複数教科をやるのもおすすめです。中学生
と高校一年生の間は日々の宿題と考査1週間前からの勉強をして、学年順位さ
え良ければ問題ありません。高2高3は他の合格体験記を参考にしてください。
<筑波大学 医学群>
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この5例目は高校生特有のものであって、現中学生にはあまり参考になると
ころはないかと思います。ふーん、高校生にもなるとこういう勉強のしかた、
集中力の保ち方があるのか・・・、とそんな印象でいいようにも思います。
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