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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§300 社会の地理問題について一考察
<たった1問から学べること>

 社会の地理問題について、ある公立の最近の過去問のなかより実際に採りあげ、いったい何が知識として必要なのか、また勉強していく上で何が大事になってくるのか、そのあたりを考察してみたいと思います。

 はじめに問題から。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(問)下記の資料は、a〜e県の県庁所在地の人口、第一次産業人口の割合、
 耕地面積を示している。a県にあてはまるものを、資料のあ〜おの中より一
 つ選び、その記号を書きなさい。
 <筆者注。地図がある。灰色に塗られているa〜e県は、a県:秋田県 b県:宮城県 
  c県:新潟  県 d県:福岡県 e県:佐賀県、と判断できる。>

 <資料>
  県庁所在地の人口(万人) 第一次産業人口の割合(%) 耕地面積(千ha)
あ    103                 5.5               138
い     21                 10.9                56
う    140                 4.2                90
え     33                 9.8               152
お     79                 6.8               177
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 この問題の解き方を、まず説明してみる。
 a県の「秋田県」は、「あ」〜「お」の中のどれに該当するかが問題、と。

 まず人口をみて、「あ」と「う」は100万を超えている。これは結構大きい都市であることがわかる。県庁所在地で100万を超えているのは「政令指定都市」に間違いなく、捜すと宮城県の仙台市、福岡県の福岡市のいずれかが「あ」と「う」にあてはまることがわかり、このふたつは消去される。(ただしこの説明には間違いがある。あえてそのままに。あとで詳しく解説する。)

 よって、残り「い」「え」「お」の三つのなかで「秋田県」はどれかを考えればよいことになる。県庁所在地の人口でなお考えれば、秋田市、新潟市、佐賀市で、21万、33万、79万、そのなかの一番大きい79万都市はどこか? 

 それは、秋田市と佐賀市をイメージすれば、新潟市であることが妥当であろうと判断できる。そのことを完全に断定できるのは、177と「耕地面積(千ha)」が一番大きいことだ。新潟県は米の生産量、年度によって違うだろうが北海道と並んで日本1位(or2位)だものなあ。耕地とは大きく田と畑のふたつがあって、米の水田だけを単純にイメージするのは危険だけど、まあここではそれほど狂わないだろう。

 よって「お」が新潟県であり、「い」と「え」が残る。秋田県か佐賀県のいずれかあてはまる。人口の21万と33万では、わからない。第一次産業人口の割合、10.9%と9.8%でも、どちらも他に較べてかなり高い割合だけれども、判断はしにくい。うーん、耕地面積で較べるよりしかたがない。56と152だ。佐賀県は米の産地か? 佐賀はみかんの生産量は結構多いが、田畑が多いか? そういうイメージも知識もないのである。

 で152の、この資料では耕地面積で2位を占める「え」が秋田県である、と判断できることになる。秋田県は山形県、新潟県と並んで日本海側の水田単作地帯の代表、米の生産量も多いものなあ、当然耕地面積は大きいと、「え」が秋田県であることは間違いないと、結論づけることができる。答えは、「え」。

 こういう問題は、説明したとおりにみんなが同じ手順で答を導き出すとは限らない。あくまで正解に辿りつくための模範的解答(?)にすぎない。わたしが個人で正解に至るなら、問題を読み、パパッと資料を分析、答が出るのに30秒もあればじゅうぶんだ。こんなにだらだらと、まわりくどい考えはしないし、より素早く判断できるほかの知識で処理もする。でも、大筋ではこういう段取りになるだろう。

 地理をすでに学習した生徒は、正解がでるかどうかやってみることをお勧めする。制限時間は1分とする。

 できればその解く姿を観察したい。制限時間1分を超えてもまだあれこれ考えて迷っているなら、それは慎重に考えているのではなく、解くための知識を持ち合わせていないかまたは非常に乏しいのである。反対に、問題読んでささっと答える生徒も、資料をほんとうに分析できているかどうかは疑わしいし、持てる知識・情報がじゅうぶんにあるとも言い難い。適度なのがいいのである。その時間が1分ほどであると考える。

 ところで、正答率はどんなものだろうか?―― 
 4人に1人くらいかもしれない。これは5択問題である。確率上、当てずっぽうに答えても、20%は正解が出ることになる。ほんとうに地理の力があり、正しく分析・推測して正答が出せる生徒は5%ぐらいではないだろうか。つまり20人に1人の割合の生徒が、この種の問題にまともに対応できる学力が身についている程度であろう。見かけと実際とは、かなり違う。まぐれでできること問題外。できうる限り、実際にできる力をどうか目指してほしい。そのための考える材料として今回、書いている。

 さて、この問題を解くために、いったい何が知識として必要なのか、常識として持っておかなければならないのか、いったん地理を学習した以上覚えこんでおかなければならないのか? それを基礎知識と応用知識に別けて、以下述べてみる。

 まずは基礎知識から。
1.それは地図をみて、全国都道府県の位置がわかり県名がいえること。次に、その県庁所在地 の市名がほぼいえること。

 こんなのは小学時に完全に暗記しておくことが普通なのであるが、その普通がいまはどうも通じない。そもそも小学生のときに、学校で強制的に教えられないでしょうし、自由意志でも暗記していないでしょう。なら遅まきながら中学でやればいいと思うんだけど、それも現実はどうなんだろうか? 生徒の結果でみれば、目が点になるけれど。

 地図をみて、秋田県、宮城県、新潟県、福岡県、佐賀県が判断できなければ、資料そのものがなんの意味もなくなるってこと、たぶんにありえるでしょう。さらに宮城県の県庁所在地が仙台市というのもわかっていなければ、「説明」の意味も掴めないことになる。

2.「第一次産業」「耕地面積(千ha)」、また「説明」でも使用している「政令指定都市」など基本的  用語の意味をしっかり理解していること。

 ここも実は怖いね。第一次産業って何?と問わないでほしいね。耕地面積の単位ha(ヘクタール)も、1辺が100メートルの正方形(1万平方メートル)の大きさというのも小学生の知識だけど、わかってない中学生は半数以上いるだろう。

 ということで、社会の基礎知識なんてものは上記のほかにもいろいろあるけれど、こうした資料を読み取って判断する問題の場合には絶対に欠かせないだけに、それがまだ不十分な生徒は、くれぐれも早く勉強して覚えておくようにと指摘しておきたい。


 次に応用知識。まったく、基礎知識の指摘なんて、おもしろくはないものである。なんでかなというと、それは凹んだマイナスの箇所を埋める作業に関するものであり、まだ勝負にならないからである。勝負は、プラスをいくつ持っているかによって決まる。多ければ多いほど正しくスピーディに、正解にたどり着く。

 応用知識と書けばすこしレベルが高いイメージがあるが、そうではなく、単にもうすこし深く、広く、物事を知り暗記できているかにすぎない。この段階こそが、本来の中学社会のレベル、勉強して追求しておくべき内容だと思うのだが。

1.都市の人口。100万を超えている都市は大都市である。県全体で考えても100万に満たない県はいくらでもあるくらいだ。ただし、いくらでもではいけない。あいまいな知識は役に立たないから。よくテストにも問われるのが、日本で一番人口の少ない県、鳥取県で約60万人。あと島根県(約75万人)、徳島県と高知県がほぼ同数(約80万人)、福井県と山梨県も数値は忘れたが90万人以下である。計6県もある。

 もし上の県庁所在地の人口が資料に載っていれば、いくら人口がそこに集中していてもせいぜい3分の1以下(?)であり、およその数値は想像できるのである。(最大人口自治体が県庁所在地になっていないところもあるくらい。)

 この人口100万を超える大都市は「政令指定都市」であるが、北は北海道から南は九州までその都市をイメージすると、いったいどこが思い浮かぶであろうか。まず常識的(?)には、札幌、仙台、横浜、名古屋、大阪、京都、神戸、広島、福岡ぐらいの各市がさらっと出てきそうだ(とする)。あと取りこぼしているのが、さいたま、川崎、千葉、北九州の4市かな?(正確には千葉市はまだ100万人には届いていない) そしてさらに実はあと4市、人口は70万から80万すこしだけど将来的なことも考えて政令指定都市になったのが、静岡、浜松、堺、新潟の各市がある。計17都市。

 こうした知識を覚えていると、上の問題の資料をみると、県庁所在地の人口(万人)で、「お」が新潟市であることもすぐわかってしまう。

 また消去した「あ」と「う」だが、どちらが宮城県の仙台市で、福岡県の福岡市なのか、問題の答えとは関係なく、知識の確認、追求をしておくのも勉強であろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 県庁所在地の人口(万人) 第一次産業人口の割合(%) 耕地面積(千ha)
あ   103                5.5               138
う    140                4.2                90
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 どちらもその地方の政治・経済の中心都市。第一次産業人口の割合ではわかりづらい。耕地面積でみると、「あ」のほうが1,5倍大きい。東北の米、仙台平野の米ということで、「あ」の103万人が宮城県の仙台市であろうと判断できる。もうひとつの考え方は、福岡県の人口はおよそ500万人ということ。そして宮城県の人口は知らないが、いくら多くても300万に満たないであろう(調べると約234万人であったが)ということ。上述の「いくら人口がそこに集中していてもせいぜい3分の1以下(?)」で計算すれば、「あ」が仙台市、「う」が福岡市と判断できる。ただし、正確な234万人を3で割ると80万人にも足りないわけで103万の数値とは矛盾する。県というより東北地方の中心地として人口が余計に集中しているのだなあ、とあらためて感じる。まあ公式(?)の信頼性には乏しいところはあるけれど、あくまで目安として利用すれば、と。

 福岡県の人口はおよそ500万人と書いたが、これも実は記憶である。人口の少ない県はすでに書いたとおり、反対に多い都道府県は、1.東京都(1200万人) 2と3.大阪府&神奈川県(880万人) 4と5.埼玉県&愛知県(700万人) 6.千葉県(600万人) 7と8.兵庫県&北海道(560万人)
9.福岡県(500万人)、てな順番になる。人口のことだからおよその数でありまた増減はあるものの、こういうものを暗記しておれば、入試ではけっこう役に立つことが多いものである。

2.米の生産量の多い県は、新潟県、北海道、秋田県、福島県、山形県の順である。

 これなんかも応用知識としては、覚えておくべきもののひとつであろう。順番はさておき、米どころの新潟(新潟平野or越後平野)、北海道(石狩平野&上川盆地)、秋田(秋田平野)はもちろん、山形の庄内平野(昔はほんとによくテストに出ましたね)なんかも覚えていて当然でしょう。

 日本のお米はほんとにおいしいけれど、たとえばその品種でいえば、新潟県のコシヒカリ、秋田県の あきたこまち、北海道のきらら397、宮城県のひとめぼれなんかはその代表。実際はもっと他府県のまたがって広く栽培されているが、こんな雑知識もできればほしいところ。

3.この資料で出てきた「耕地面積(千ha)」について、ちょっと知識を広げておく。

 耕地の種類は大きくふたつで、田と畑。耕地面積の半分強が田で、残りの畑は、普通畑と牧草地と樹園地からなっている。

 ネット検索で、次にような資料があった。そのまま拝借。
「日本の耕地面積と完全自給するために必要な耕地面積はどれくらいか。日本の耕地面積は約500万haあります。完全自給するための耕地面積については、現在日本が輸入している農産物を生産するためにどれくらいの農地が必要か考えれば、小麦で約240万ha、大豆で約200万ha、トウモロコシで約220万ha、畜産物で約250万ha、その他作物で約290万haと全体で約1,200万haが必要とされ、完全自給するための耕地面積は約1,700万ha必要となります。」と。

 うーん、暗澹たる数字。日本の食料自給率はいまや40%弱。上記の穀物自給率に限っては30%を切っている(耕地面積の数値からでも計算はできる)。このわが国が抱えている深刻な問題に触れていくとますます長くなるので、ここでは省くとして、知識としては、小麦、大豆、トウモロコシの主要輸入相手国くらいはまずしっかり覚えておきたい。

・小麦―アメリカ、カナダ、オーストラリア
・大豆―アメリカ(70%あまり)、ブラジル(20%)、他カナダ、中国
・トウモロコシ―ほとんどアメリカ(90%あまり)、ほかブラジル、中国

 アメリカではトウモロコシのバイオエタノールへの転用でトウモロコシ価格が急騰、トウモロコシの栽培面積が増えて大豆の栽培面積が減少、それによる大豆価格の上昇。小麦価格の上昇もよくご存知のとおり。こんな動きも新聞、テレビなどで情報として仕入れておきたいね。

 たった問題1問でこんなに知識と情報が拡がってしまったが、「地理」でいったい何が知識として必要なのか、また勉強していく上で何が大事になってくるのか、そのあたりを考えてもらう材料に、今回のメルマガの内容がなればさいわいです。