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§144 公立トップ校を目指すについてVOL.2・改訂
<中3の最初から> 前回のVOL.1では、公立トップ校を目指すにおいて、実力的に3科目は最低
「できる科目」が要ると書きました。そして他の科目もトップ校目指すにお
いては物足りない58や60未満の偏差値ではなく、できるとまではいかなくて
もせめて61や63なら、まあ大丈夫である、と。
では、この実力の段階にいつまでに到達すればいいのか、についてですが、
中3の最初ではありませんね。もちろんそれに越したことはありませんが、こ
れから頑張っていけばいいのです。そして何としても伸ばしてゆくことに気持
ちと努力を傾け続けることです。
中1の実力通りに中3もいけるとはまったくいえないし、中2の実力が中3にも
そのまま推移するとは限りません。外的要因としては、問題の質とレベルが中3
ではがらりと変わるし、またそれに何よりも、当たり前のことなのだけれども、
中2は、中1全体とその時点までの習った範囲であり、中3は、中1と中2の全体
とまたその時点までの習った範囲すべてになるのであり、つまり、内的要因と
して、習って押さえるべき範囲と量が徐々に増えていくわけで、それに見合う
力と実力が、必ずしも生徒本人に正比例して具備していくものだとは、単純に
はいえない面があります。
むしろそういうケース、つまり正比例してないケースが、公立に通っている
中学生のなかでは多々見受けられる。これはむしろ一般的かもしれません。何
度も指摘していますが、一つに、習ったことをいとも簡単に忘れるからであり、
二つに暗記する力とそれを支える学習の深さ、関連する知識の幅とその基盤が
弱いからです。このことはほんとに数知れぬ体験と事例でいままで観てきたわ
けですが、どうぞそのあたり、しっかり注意していてください。
この意味でも、少し余談になりますが、世間には結構先行学習というか、学
年を超えて先々のどんどん勉強を推し進めていく生徒や親御様がいます。能力
があればなんら問題はないかと思います。しかし、どうもあまりよくわかって
いないねと思う事例も経験上をよく見てきました。先のことより、まず足元が
大丈夫か?と、実力の中身をしっかり視ているのか?!と。そのチェックと分
析が、実は非常に甘いのが、またほんとうにはわかっておらず見過ごしている
のが多いように思えます。これは危険なのです。よくありません。
理解して先々へと習い進めることも、ある段階までは、容易です。しかし、
ある段階を過ぎると、そうはいかなくなる。その段階と時期は個々人によって
まちまちでしょうが、それはちょうど、ひょろひょろと伸びる草木に似て、い
やまったく同じで、上にばかり伸びてもしっかり根を張っていないといずれは
倒れるか朽ちる。伸びる時期もあれば、次なる成長を進めるためにも養分と力
をまず蓄えて、横に幅を拡げなければならない時期もあるわけでしょう。
次々と急いて先に目を向けるより、いま目の前にある学習をもう少し自分の
力できっちり掘り下げて完全に身につける、そういう習慣と作業を心がけるこ
とも大切なのではないでしょうか。
立ち止まればその周りにある問題、またその応用問題の肉付けを行うことの
ほうが大事であることもあります。また、振り返って時折、習った基本とその
基礎知識の運用が確実にものになっているかを確認し、自分の力の定着具合を
知るために、そのチェックと反省を行うことが、まず実力を養う基本の道であ
るでしょう。
話しを戻します。
ところで、実力の完成の時期はいつか。その時期の目途をいつにおくのかと
いえば、ずばり中3の2学期、それも11月ぐらいが一応の目途になるのではない
でしょうか。そこまでに、なんとしても5科目の個々の実力とその総合力を穴が
ないよう整えておかねばなりません。あくまでこの基準は、わたしの長年の経
験と観察から導きだした個人的な結論で、このことが絶対に正しいとは限りま
せんが。いろいろなケースがあるわけですから。
しかし、できる生徒もできない生徒も、またほんと普通過ぎる力の生徒も、
その学力の結果と伸長は、この時期になれば、いやというほどわかってしまい
ます。わかりたくないんですが、わかってしまいます。なぜわかりたくないか
といえば、何事も結論がわかってしまえば面白くなくなりますから。これはか
なり誤解を招く表現かと意いますが、忌憚なく書けば、こうなります。
もちろんそれまでに、相当のエネルギーとノウハウをつぎ込み教え込んだ結
果の上のことです。集大成、さらに詳しくいえば、たとえばその生徒が中1か
らの入塾なら2年半あまりの長い歳月を踏んでのほぼ最終的な結論であるわけ
です。決して簡単には申しあげていません。そしてそれ以後、入試までの日々、
とことんあがいて1点でも2点でも点を稼げるように、入試への学力を補強して
いくことに腐心するのは当然です。
しかし、一般的にみても95%以上の力は、この11月頃の時期にはほぼ決まっ
てしまいます。残りの日々、入試までの追い込みの時期は、世間で言われてい
るような、今後努力次第で頑張ればさらに成績が上がるという言い回しは、確
かに必要としても反面キレイごとにすぎず、その実質の力は、最後の磨きをか
けるに過ぎず(とても大事なことですが)、全体の学力の5%にも満たない部
分を指しているのです。
なにか最後の時期(3ヶ月間ぐらいかな)に大きなものがあるように思われ
がちですが、そして受験対策だ、過去問だと、その勉強に心砕いて取り組んで
いるのが常ですが、じっと生徒の力に目を凝らして視れば、その実力の中身の
正体の95%は、この中3の11月頃の時期までに形作られている、と判断してほ
ぼそう間違いはないかと思うのです。
よって、それまでに、どのくらい力をつけるか、またつけられるかが勝負で
あり、このことを念頭にしまって学習に臨むべきかと考えます。5%を制する
(?)前に、95%の力の所在をもっと凝視してください。そして考えてみてく
ださい。理科と社会は秋以降の追い込みで、まずは数・英に力を入れて学習だ?
ばかな、すでにそのときには、実力の勝負のおおよそは済んでいますよ。
今回は公立トップ校を目指すにおいての、基本的な太い道の話しで、細かい
点、対策については避けますが、VOL.1でも書きましたように公立入試の場合
は、5科目の総合力が何よりも問われるのです。数学・英語はもちろんですが、
理科と社会の、その知識と実力は大丈夫か?、ということ。中3にもなればど
うしようも手の打ちようがない(?)、とまでいえば言い過ぎですが、国語の
読解力と表現力は大丈夫か、ある程度は備わっているか?!
もう一度書きます。受験対策の勉強時期とその対策のなかで、本人なりの持
てる力に対し、その30%もの力をさらに伸ばし、獲得することができるか?!
こんな蒙昧で生徒の現実に目を背けた命題は採りあわないとして、95%の力の
所在のなかの30%なら、何とかすれば11月までには形をつけることができるか
も知れない。
現実は勉強していても。結果に措いて10%ですらなんともしないのが8割以
上の生徒に当て嵌まりますから、この数字は大きいのです。頑張ることです。
ここで持論のひとつを書きます。普通の学力テストの場合、偏差値の65まで
なら到達は容易(?)です。なぜなら、習ったことの基本のほぼすべてを覚え
ていれば、65の数値は出るからです。思考力を要する、ちょっとした応用レベ
ルの問題への対応力がなくとも。つまり、65までは大したことはない(実際は
生徒の立場に立つと、しんどいもので、なかなか難しいことなのですが)。ほ
んとうに能力の切磋と切れが要求されるのは、その上の65から68(〜70)の段
階からです。これは大したものです。
いま、もし自分の力が65以下なら、それは単に基本が抜けているからです。
復習してその穴を、まず埋めることから、受験勉強は始まります。これは言葉
で書くほど楽ではありません。しかし、それほど難しいことでもない。
さて、何を? まず中3の最初から意識して動き、肚を括って取り組んでい
くべきものは、中1と中2の2年間の、社会と理科の総復習からです。夏休みの
終わりまでには、まず第1回目の知識の点検と弱い部分の理解と暗記が、実力
補強のまたアップの中心命題となります。
公立トップ校を目指す生徒に措いては、この2教科の、2年間の内容と知識は
それほどぼこぼこ穴が空いてガタガタではないにしても、わたしから観れば、
なんなんだ、その頼んない力は!という生徒の多いのには、いつもながら愕き
ます。
まずは、そこそこ容をなすように、秋以降の2回目の学習でさらに実りをつ
ける布石になるように、そして偏差値の65ぐらいはせめて到達するように、
すぐにも取り組んで行かれる事をお勧めします。
さらに他については、といえばやはりそれは、数学と英語。しかし、理科
や社会にかける時間とエネルギーに較べれば、むしろこの時期はまだ少なく
てすむといえます。なぜなら、そこそこ力がついているんなら、全体ではな
く弱い部分をカバーする学習を重点的にすればいいからです。数学は、関数
と図形です。英語は文法です。的は決まっていますよ。
では、頑張って下さい。
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中3生対象入試対策問題集
社会の学習:「<新版>入試社会の攻略」
理科の学習:「<新版>入試理科の攻略」
数学の学習:「入試図形問題の攻略Version5」
英語の学習:「<新版>公立入試英語の攻略Ver.4」
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