§68 中3学習で予め知っておきたいこと new
<中3学習は3つですよ>
中3学習を進める上で、予め知っておきたい問題点と心構え、及び数学の局所的な見解について書いてみたいと思います。
お話をする対象はもちろん中3生とそのご父母の方なんですが、受験勉強に臨む生徒のなか、塾に通わず一人で勉強を頑張ってる生徒に比重をかけ、あるいは想定した形で、書いてみたいと思います。それも公立校高を第一に考えてる生徒。そうでない生徒にも、ご参考にできるところがあれば・・・。
因みに最新のデータでは、中3生の通塾率は全国平均61.1%らしい。 そのデータでは、1位神奈川74.1% 2位奈良73.5% 3位和歌山71.0%
4位兵庫70.6% 5位大阪70.4% 6位東京69.0% 7位三重67.8%… 45位青森33.1% 46位 岩手32.4% 47位秋田30.1%、とのこと。
ふーん、思っているよりは、どうも少ない。ほかのデータに当たると、63%、66%のところもあり、いや最終的(高校受験時)に70%にものぼると書かれているところもあった。いやいや県単位というより都市部では、また学校によってはクラスの90%以上が通っているところもあるだろうし、こうしたデータと肌感覚で捉えいるものとは、必ずしも一致しないのが現実であろう。まあ、ざくっといって、わたしは8割前後の生徒が中3では通塾しているのではないかな、とイメージしていますが。
さて、受験まであと何日あるんでしょうか? たぶん、頭のなかはぼんやり1年後と推っているでしょう。でも実際は、よく考えてみると1年もありません。また内申書なるものがありますね。いつそれができ上がるか、ご存知ですか? 全国都道府県によって、そのつけ方、判断のしかた(学年)、比重のかけ方(入試点と)が異なりますね。詳しくは、下のURLをクリックして、その選抜方法を見てください。
URL: http://www.sing.co.jp/info/exam_info/selection_index.html<各県の選抜方法>
公立第一志望の場合、内申の重要性はいまさら言う必要もないでしょう。つまり、11月の下旬(or12月の下旬)まで何日あるのでしょうか? 8ヶ月or9ヶ月ですね。学校の授業を大切に、定期テストをまずしっかり頑張りましょう。また、提出物云々には注意して、しっかり期限を守ることは当たり前です。しかし案外これができていない生徒が多いものです。特に実技4教科に関しては、提出期限に遅れるのは(理由があろうがなかろうが)大きく内申に響くと思って間違いありません。気をつけましょう。
中3のスケジュールですが、4月から考えると、時間はありますがもう1年先ではないということを、再度しっかり心に留めておきたい。
さて、中3は何をするかといえば、大きく三つあります。一つは中3課程の学習です。二つ目は中1と中2の復習です。そしてもう一つは受験対策です。この三つをすることになります。これまでの1,2年の学年とは、勉強する種類と量がはっきり違います。
2学期になり、それも10月くらいになって、焦リ出す生徒がいます。たとえば理科が弱い、模試の偏差値も他の教科に較べ10以上低いとか、地理をすっかり忘れてしまって実力テストで散散な点をとってしまい、一体どうしたらいいか?なんて、質問されても困ります。確かにその時期なりのやり方はあるんだけど、つけ刃的な勉強のしかたになりかねません。根本的な勉強方法となると、時間がかかるものです。
ほんとそんなのは、つまり自分の何ができて何ができないのか、つまり弱点の科目は何か、あるいは、自分の実力が実際はどの程度のものであったのかは、中3最初の実力テストを受ければわかっておかねばなりません。
私の経験則で申せば、成績のよい生徒でも3分の2以上は、理科、社会の基本ですら大いに忘れています。中くらいの成績なら、なおさらです。つまり、理科と社会の実力なんてそれほど思っているほどありゃあしない。ごくごく少数なんです、ちゃんとした実力が備わってる生徒は。
これまでの定期テストでは、まあ普通の成績だった? 80点くらいはとれていた? そんなのは、比較的やさしい内容で構成された実力テストでも、50点以下になるでしょう。受ける前からわかっていますよね、残念ながら。塾生なんか観ていると、ほんとのんびりしていますよ。確かに最初の実力テストの結果をみると、がっくりしてるようだけど、それじゃあそのあと、どうするんだ?!という次の行動がない。10人中9人はない!! まったく呆れます。自分のことだから、自分で、なんとか考えろよ、人任せにしないでさあ、とつくづく思います。
英語と数学は私が作った通年用問題集で相当鍛えていますから、理科、社会ほどではありませんが、それでも抜けています。習ったことのまあ8割覚えていてくれりゃあ、学力偏差値で65は最低行きます。
こういう事実を、まず知っておいてください。
中3学習は学校の授業を重視ですが、しかしそれは3学期までかかるのがふつうですね。年をあけて2月まで。つまり、それに合わせていたら、私立受験には間に合わないし、肝心の入試対策ができません。ですから、“どれほど遅くとも年内一杯までには、自分で中3課程の学習は済ませなければなりません。”
では、中3学習を済ませてから、高校入試対策に取り掛かればいいのか、という疑問に突き当たりますね。一般に、冬休み、1月、そして私立高入試日まで私立対策の勉強、それが済めば公立対策に1ヶ月。確かにこの時期は、受験対策に集中する期間ですが、しかしこれは頭の中のイメージというかたんなる机上の計算でしかありません。勝負の大半は、もっと前にありほぼ決まっているのです。
この期間は、如何に合格圏の学力をさらに拡げ確保するか、テクニックや傾向を掴みその弱い部分を補強するかにポイントを置くべきときでしょう。
ということで、「中1と中2の復習はいつやるんだ、という問題。そして実力アップをどのように図ればいいんだ、という課題」が浮かび上がるわけです。
言いたきことは大きく2点。まず1点は、もうスタートを切らねならないということ。その内容は、社会と理科、2教科の中1,2年分野の復習です。
次に書くことは一つの目安です。参考になればと思います。
1学期と夏休みを併せた期間で、社会と理科の1,2年の基礎の復習をすること。社会を例にとれば、塾では私が作ったプリントで、中1の地理の復習から始めています。プリント1枚に70問あるとすれば、よく覚えてる生徒でも半分も書けません。それほどひどい状況です。内容は世界の地形、国名、主な都市、雨温図、北緯40度の緯線、などなど、そして農産物資源、鉱産資源などの国別特徴、よく出る語句など、基本中の基本からの覚え直しです。暗記です!
まあよくもこんなに習ったことをこと忘れるなあ、それも突っ込んだやや幅広く深い知識が要求される問題(私立入試ですね)ではなく、例えば、世界最長の南米の山脈は何?に対し、このアンデス山脈ですら、知らない(?)忘れた(?)生徒が公立中学の場合、半数以上(いや、もっとひどいだろうね)ではないだろうか。
統計や資料を読み取り、また表現力を磨き、記述式の問題に対応する力を養おうなんて次元じゃあありません。そもそも基本の語句、知識ですら抜けてるわけで、実をつける前に幹と枝をしっかり張りなおさなければならないのが、生徒が持てる力の正体です。よく私が言う言葉に、「骨を入れろ」というのがありますが、肉付けなんてまだまだ秋以降ですよ。いいですか、応用ができないのではなくて、基本ができないのですよ。
まずは暗記!! そしてその確認テスト。世界地理、日本地理、それが終われば歴史。けっこう習った量がありますね。猛烈に覚えなおさなければなりません。そして、まとめの問題集を用いて、さらに演習。反復です。これが完了するのは、11月末ぐらいになります。
もう少しこのことを具体的にいいますと、一度目はまとめプリントで総復習を行い、それを追いかける形でまとめの問題集を使います。同時平行ではありません。プリントで基礎の地ならしをやって、それでも以前よりはましですが、ひどい生徒はまたその半分は忘れますし、成績がましな生徒でも7割覚えていればいいほうです。忘れる頃に、こちらにしてみれば忘れてもらったら困る頃に、まとめの問題集で再演習して、覚え方、受験に必要な知識、細々したあらゆるテクニックなど勉強します。
つまり、方法は別ですが、二度繰り返して復習してることになります。これでようやく基礎の復習は終わりです。学力偏差値はこの時期、11月末頃には当初から平均して10は最低上昇しています。でもですね、これで基礎的なことがおおよそ入る生徒もいますが、実際新たに復習したなかでまだ8割くらいしか頭に残っていないのが平均的な生徒の姿といえます。それでも「だいぶまし」になっているわけです。そんなもんです。基礎とはいえ2年間勉強してきた知識というものは、生徒にとっては厖大なものですから。
そしてあとの時間、入試までに、もう一冊受験問題集で演習をし、繰り返しとプラスαの応用の知識を教えていきます。理科については若干方法は異なりますが、大同小異。これだけのことをひたすら地道にやっていかないと、受験に確実には繋がらないということです。
一方、中3の学習があります。そして定期テストがあります。定期テストの前、1,2週間はそれに時間を充てなければなりませんので、当然中断されます。勉強のリズムが狂ったり、意志が弱まったり、いろいろ問題は起こりますが、とにかく最後までやり通すことです。それが社会、理科の実力アップの最も基本な学習の姿であろう、と思います。
次に、言いたいことの2点目。数学について。
これもほんとさまざまあるのですが、ここでは受験に絡んだ学習方法のなかのたった一つ、局所的な学習のつめ、数学の応用問題に対する処理のしかたに絞って述べてみます。
なぜこれを書くかといいますと、もちろん非常に大事だからですが、今まで教えてきて、どうもその勉強のしかたは拙いよ、折角やっても本当には身につかないよ、という問題点を孕んでいるからです。まずは、どんな問題レベルか、下記URLをクリックしてみてください。ざーと、問題内容に目を通すだけで結構です。
http://www.e-juku1st.com/textmathexp/textsu2.htm <公立高入試問題>
E-juku1st.Com 中2数学(通年用)問題集の7章<プラスα、応用>で、採りあげた問題の一つです。応用の中ランク程度の問題です。偏差値(公立高限定)でいえば、65ぐらい。どのようにお感じになりますか?
これを入試直前の対策でして、生徒はできると思われますか? 数学の偏差値が68の生徒でも、最後まで完答することは難しいかもしれません。入試本番は一種独特な雰囲気のなかで緊張に包まれ、それに時間も制限されています。平常は仮にできたとしても(35人に1人ぐらい)、入試では思ったほど力が発揮できないケースは多々あります、特に数学は。
この問題はなんら特殊な問題ではなく、応用問題としてはパターン化された代表問題のひとつに過ぎません。生徒は苦手ですね。第一、学校ではこんな問題はしない、教えない、教えることができない。実力テストでもこのレベルは出ない。しかし、入試は出題される。生徒の数学の能力をみる為に。
ここから局所的な学習のつめの、本題に入ります。基本ではありません。応用レベルの話です。お間違えのない様に。このレベルの問題を出し、生徒に解かせたとする。できない。定期テストで90何点とってる生徒でも、殆どできません。数学は、「自分でできないのは、できない」のです。もちろんその前に、あるいはずっと前に、それを解く知識と重要ポイントは教えてあります。
できないから、わからないから、でいねいに気持ちを込めて教えますね。こうやって解くんだ、ポイントはここにある、と。応用になると、その説明でわかる生徒もいますが、わからない生徒はかなり出てきます。ある程度わかった? そんなのは全然わかってはいません。では、わかった生徒は、できるようになるのかといえば、とんでもありません。できないのです。なぜなら、「自分の頭」でまだ考えていないからですね。
それではと、追求して、ノートまとめをさせます。復習です。問題を写し、図形などすべて手書きです。その際の注意点もしつこく言います。次回の授業の折、点検をします。みんな生徒は丁寧にやってきます。でも、視ればわかります、できないことが。問題の急所まで到達していないのです。自分で考えた指紋が残っていません。ほとんどは授業での解法の丸写しです。
人から「教えてもらった」問題はできない! 自分で、自分の頭と力で解けた問題しかできない、のです。
なんか、これ、世間の常識、社会通念からだいぶ外れていますね。でも、公立中学生を教えて20数年、ひとつの限りない真実に近い感慨です。数学ができる生徒でも(といっても、公立の範囲ですが)、この応用レベル以上の問題になると、ほんとうの勉強がなかなかできない。
目を瞑れば、問題を解く道筋と、要はこれだなというポイントが鮮明に頭に浮かばねばなりません。そこまで追求することです。時間はかかるんです。ノートにやり直したのは、何がまだほんとうにはわかっていないかの確認作業であって、そこからほんとうの勉強が始まるのです。自分の頭で考え直し、理解し、かつ覚えこまなければなりません。
なぜ、覚えこまなければならないかというと、できなかったからであり、解く能力がもともとなかったからです。負けなんですね。それを身につけようと思うなら、また思ってほしいのですが、最低覚えこまなければなりません。からだの芯まで入れなければ、即ち悟得するまでその問題と付き合わなければ、真の応用力は身につかないものです。
ノートは、閉じれば、それで目に触れることはありません。悟得するには、何も丁寧に書く必要はないのだけど、再度その問題と解法を余った紙に書き、自分の机の前か部屋の壁に貼り、首を廻せば目に触れるようにし、何度も考えることです。そうすれば、次第に見えてきますよ。鮮明に問題が見えれば、破り捨てたらいい。同題、類題ばかりか、その種の応用問題はある程度自信をもって解けるでしょう。つまり、活用する力が生み出されるわけですね。
応用問題を解いたからといって、またその説明を受けてわかったからといって、決して自分の力にはなっていない。自分の力にするには、実はそのあとの勉強と追求のしかたにある、ということです。
学校の授業を大切にし、基本をしっかり学ぶことは大いに必要だけど、数学の場合、それだけでは決してじゅうぶんとはいえません。中3ともなると、数はそれほど多くなくてもいいが、常に良質な応用問題にぶつかり、自分の力を鍛え、さらに一段高く上がるために、表面的な勉強に留まることなく、もっと深くほんものの勉強を追求することを、ぜひ日頃から心掛けていってほしいと思っています。
|