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§55 いろいろな悩み・問題点をみて
<益なし>
とあるホームページを見て、下記のような親の意見・考え・悩みが書かれていた。そのまま載せると差し支えがあるので、抜粋したり、多少言葉を変えて書いてあります。あまりにランダムに列挙しているので、おおまかにグループわけしました。またそこの趣旨は、CDロムを使って家庭学習を謳うものであるので、幾分偏った視点があることも、予めお知りおき下さい。
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<グループ1>
○いくら子供に言っても勉強しようとしない。
○机の前に座っての学習ができない。
○勉強する習慣をつけさせたいが、動機づけがどうも難しい。
<グループ2>
○勉強することに慣らせるために塾に行かせたのに、余計勉強が嫌いになった。
○塾に行かせたら成績があがると思ったのに、行く前と全然かわらない。
○友達が行くから塾に行かせたけど、ただ電車に乗って隣の町に行くだけのよ
うな気がする。
<グループ3>
○学校での授業の理解不足対策に塾に行かせているのに、塾は個人別に対応し
てくれない。
○せっかく塾に行かせたのに、20人クラスでは学校と一緒で、本人が理解する
までに内容が先に進んでいる。
○学校も塾もうちの子のレベルに合った教え方をしてくれない。
○わが子は性格的に内気なので、学校でも塾でも質問できない。
○どこがわからないか、どの単元がわからないのか、がわかっていない。
<グループ4>
○父親の帰宅がいつも遅いので、勉強を見てやれない。
○中学の数学は私ではもう教えられない。
○私たちの頃と解答の導き方が違うから、子どもに理解させられない。
<グループ5(その他)>
○内申書を重要視してる県なので、クラブ活動をやらせてることもあり、塾に
行かせる時間がとてもない。
○女の子なので塾に行かせると、夜遅くなり帰りがとても不安です。
○どうにかして平均点をとらしたい。
○数式等計算関係は解けるけど、文章問題になると難点がある。
<グループ6>
○親として合格してほしい高校・大学はあるのだけど、勉強方法をアドバイス
できない。
○子供はまだ小学生・中学生だけれど、大学まで見据えた教育をしたい。
○どうすれば公立高校・国立大学に合格させられるか。
○子供とも話合い、目標校・志望校を決めたけど、何時から、何を、どうすれ
ばいいか。
○うちの子は算数(英語)が好きなので、学年飛び越しでどんどん進ませたい。
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当然といえば当然なんだけども、ざーっと読み渡してみて気付くことは、そしてまた気になるのは、文章の終わりが「〜ない」と否定の語句で結ばれてるのがとても多い、ということですね。また、当事者にとっては一つ一つが重要な案件なんだろうけど、笑い飛ばして済ませたくなるようなもあるし、いや待てよ、これは案外深刻な問題かも知れないな、というのもあります。
全体的には誘導的というか、そして販促活動マニュアルの基本というか、だから個別学習を自宅でパソコンを使ってしましょう、という方向にもっていくのはわからないことはないのだけど、またそれを批判するつもりも毛頭ないのだけど、何かぴんと来ないところがあるというか、短絡的で大事な視点が欠落してるような気がしてなりません。
まあそれはさておいて、私の印象というか感慨を少し書かせていただきます。
まず、<グループ1>ですが、子供が勉強しようとしない、机の前に座わろうとしない、習慣をつけさせたいが、動機づけが難しい、等は、確かに事例が多いし、古今東西を問わずまた昔からの永遠の課題。しかし寡聞にして、これに対する対処のしかたも、効く薬の有無も知らない。専門家に任せます。
<グループ2>も本質的にはグループ1と同様で、若干行動したものの、生徒自身親の意向も気持ちもわからず、根本的に勉強がまったく好きでないというか、向いていないのでしょうし、言葉でよき助言や提案をいえる人がいたら、妄言以外の何者でもないでしょう。塾に行かせたら成績があがると、単純に考えるのもちと問題ですし、塾側にも指導する能力が欠如してる場合もあるでしょうし、またそういう原因を人に押し付ける親の、子供の性格的な要因も実は大いに影響していると思いますが。
<グループ3>は、「学校も塾もうちの子のレベルに合った教え方をしてくれない」に代表されるかと思いますが、見方を変えれば<グループ2>とその根底に流れてるものは同じです。まったく当事者にとってみれば大変な問題だとは思いますが、まずは徒に他者に解決を委ねるのではなく、その学力の至らない原因を探ることから始めねば、問題は何も解決しないといいますか、前進はしないように思います。
<グループ4>ですが、「中学の数学は私ではもう教えられない」はよくわかりますが、「私たちの頃と解答の導き方が違うから、子どもに理解させられない」は、明らかに誤解です。ほんのちょっと教えてみて感じたことなんでしょう。導き方は同じです。昔も今も、解法は2,3通りは普通あるのです。
それよりもっと大きな問題は、昔に較べ、いまの生徒の学力は一部を除いて全体的に低下しているのであり、それは統計的に見てもはっきり出てます。大学のレベルでみても、学生の基礎学力が不足し、教えることに不都合が生じて嘆いてる先生はかなりの数に昇ります。
それは中学段階でも教えていて肌身で感じることですし、うんざりするほど味わっています。それ以上に、習う内容がかなり減りました。まったく何を考えてるのか、2002年から新学習指導要領で更に減るわけですから、日本の教育レベルと将来は暗雲が立ち込めている、といっても過言ではない。いえ、現在の時点で既に、頽落と混沌が生じていますね。
ここまで書いてきて、ほんと今回のテーマは薮蛇というか失敗であったと、感じています。一つ一つ取り上げる気にもなりませんが、グループ別けしてもその内容を吟味、検討してゆくと、頗る底辺的なものであり、またそのどれをとっても、「〜ない」の発想から出てくる問題で、ちょっと真面目に考えれば蒙く憂鬱になっちゃいます。じゃあこうしたらと、すぐさま簡単に、また肯定的発想に持ってゆける材料が殆ど見当たらない。
<グループ6>とて、唯一前向きな思考は感じられますが、その実よーく読むと、「どうすれば公立高校・国立大学に合格させられるか」なんて、漠然とした努力もない問いであるし、「子供とも話合い、目標校・志望校を決めたけど、何時から、何を、どうすればいいか」も、親の意見としては頗る曖昧で頼りないものを感じる。問う前に、何か自分ですることがあるだろう!と言いたい。
こんな雑然とした無益なテーマにちょっと頭を突っ込もうとした、自分の不明をいたく反省する次第です。次回はもう少しましなものを。と、いいますか、ほんのちょっとでも益になるもの心掛けたい。
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