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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§45 中1では何をすべきか?! new
<たかだか計算、されど計算>

 中学の1年のときは、勉強していく上に措いて、一体どういうことに気をつ
けてゆけばよいのか? 

 さまざまありますが、まず真っ先に書かねばならないのは、「数学の計算力」
です。現在の中1の数学は、その習う中身といったらほんとにしれています。
それは塾で教えたとして、ゆっくりゆっくりやったとしても2学期の末で完了
してしまう内容と量です。英語と大違いです。数学の場合、昔習った内容の質
と量で3分の2くらいに過ぎません。

 実際に、その計算の貧弱さには目を蔽いたくなることがしばしばあります。
小学算数の学力というかその計算力を中学に持ち込んで来て、正負の数の計算
単元から始まるわけですが、足し算、引き算、掛算、割算はできたとしても、
分数がらみになるとスピードダウン、累乗になると急に生徒の頭は停滞、縺れ
ることが実に多い。

 乗除混合はなんとかクリアーしても、四則混合になるとまたまた計算力が低
下。ましてや、( )や{ }、[ ]の括弧がらみの計算レベルになると、そ
の解説指導はとてつもないエネルギーを要する。しかし、完全にそのルールを
知って、使いこなせ、且つ正答を得る生徒は1割に満たないのではなかろうか。

 それでも中1からの生徒については、計算の基本から応用まで、徹底して教
え、訓練し、それはもううんざりする程行ないます。自分勝手な計算方法は直
し、排除し、正しい計算のしかたを全員に行き渡らせる。宿題でも手抜きをし
ていれば、やり直し。経験則でいえば、易しい計算で式を書かかずに答えだけ
を書く生徒は、応用になるとその殆どはできませんね。計算力に限って言って
も、たいした力は持っていない。できる生徒ほど、基本を守ります。

 たかだか計算ですよ、されど計算なんですね。たかだか計算の意味するとこ
ろは、計算中心のテストの点がよかったとしても(各学年、1学期にかたまっ
ている)、それは数学全体の力ではないわけでしょう。入試から捉え直すと
、計算の問題は20%から25%、後は文章題がすこし混じることはありますが、
70%以上は関数と図形の力が占めます。即ち、関数と図形の力が数学の力とい
っても言い過ぎでない。

 されど計算の意味するところは、おわかりのように、単独の計算問題のみな
らず、関数、図形、文章題にはすべて計算がついてまわるわけで、確かな計算
の力がなければ、たとえ解法がわかったとしても、正しい解答には到達しない。
ここで、即ち、関数や図形の問題で、計算力が貧弱であると、大きく足を引っ
張られることは目に見えてる。これは中2の後半、また中3になって、ボディ
ー・ブローのように効いてくる。

 中2からあるいは中3からの途中入塾者の数学の計算力を見るに、というよ
り見せられるに、その計算ルールのいい加減さには驚きを越えて声を失うこと
がたびたびです。当然の如く、数学の力は低い。一体、公立中学校で何を教わ
ってきたのか? 学習すべき内容を減らし、高度な応用は一切せず、みんなが
できる基本に終始してるはずなのに、その基本が満足に身についていない生徒
の、まあなんと多いことか。 

 その原因は、一体何? 教える側の力量不足? 教わる側の能力不足? 遡
ってその遠因は、小学校での演習不足? 

 つまらぬ指摘はこの辺にして、自分の足元を見ましょう。原因を認識してお
くことは大事ですが、ここでは敢えて、自分の身は自分の力で守る(少々オー
バーな表現ですが)術と姿勢を心掛けたい。

 もう一度言いますが、たかだか計算です。計算なんて、そのルールと式の進
め方を守り、ミスをしやすいところではスピードを落とし慎重に、そして手を
動かして解いてゆけばよい。頭を使うのは、文章題や図形、関数問題でしょう。

 ところが現実の生徒は、計算問題に頭を使っている。頭を使っているから、
いちいち手が止まる。考えながら解いているから、一行計算すると次の一行で
手が止まる。手が頭になっていないから、スピードはとろい。とろくても正確
ならまだましだけど、必ずどこか間違っている。

 確かに初めて習う場合は、計算問題とはいえ頭を使うのです。ああ、こうい
うふうにして解くのか、計算してゆくのか、このルールを守らないとミスが出
るんだな、だからここで、この箇所は、用心しながら計算を推し進めていくの
だな、と考えたり自分に問わなければなりません。

 そしてそのタイプの問題を演習する。これは学校でも大抵の塾でも行なう当
たり前の風景です。ここに、何の問題があるというのか? 私に言わせてもら
えば、三つあります。

 まず一つは、演習不足です。頭で解き方、計算のしかたがわかった状態にす
ぎないということ。体の中まで入っていないのです。手が頭になるまで、即ち
いちいち考えないで手が次の式へ自然に動くまで練習を積まねばならない。注
意する箇所を知り、後はスピード・アップ。その訓練、宿題が不足、或いは欠
落していると計算力はつきません。

 次に、計算ルールです。教えてもですね、その通り守らない生徒、注意散漫
で適当にやる生徒は結構いるものです。それを見落としてる教師、講師もまた
結構いるものです。数学の力が偏差値で68以上ある生徒については私は何も
言いませんが、それ以外の生徒については厳しくルールを守らせ、ミスを誘発
するような自己流の計算をしている生徒は、式転換の基本を徹底して教え込み
ます。もし、これに該当する生徒は直ぐ直して下さい。

 三つ目は、反復、繰り返しです。反復しなければならないということは、計
算問題を忘れるのか?・・ はい、忘れるのです、ものの見事に。例えば中1
の範囲だけに限定しても、次の如く。正負の数の後、文字式を習います。その
次に1次方程式を勉強するわけですが、1次方程式の計算を終わると、前に習
った文字式の計算のある部分を間違う生徒が出てくるのです。

 どのくらいで出てくるかと言えば、偏差値60以下の生徒はほぼ全滅でしょ
う。それくらいひどいというか、きっちり理解していないというか、かなりの
演習をしていても、また更に注意、警告を発していても、落とし穴にはまるん
です。テキスト形式なので具体的にその箇所を表現できないのが残念ですが。

 よって、以前に習ったことの確認、復習を時折混ぜながら進めていくことが、
計算問題においても重要だと思います。目には見えないこれら三つの問題を、
実は生徒は程度の差はあれ抱えているということ。計算に振り回されずに、計
算を自由自在に操れるようになるには、この三つのポイントをクリアーするよ
うな学習を進め、実行しておかねばなりません。

 最初に書きましたように、公立中学の中1の数学の授業内容はほんとに少な
く軽いですから、その軽さの環境の中で慣れ親しんでしまうと、基本中の基本
である計算力もじゅうぶんに磨かれないことになりかねません。

 よって、時間的にはたっぷりあるのですから、平易な計算問題を数多くこな
すことはもちろん、やや応用っぽいレベルまで手を広げ(以前は当たり前でし
たよ)、「計算なんて、そのルールと式の進め方を守り、ミスをしやすいとこ
ろではスピードを落とし慎重に、そして手を動かして解いてゆけばよい」とい
う心境になるまで、訓練を積まれていくことをお勧めします。

 それがひいては中2の計算、中3の計算(因数分解、平方根なにど)に役立
つことは言うに及ばず、頭を使わねばならない文章題や図形、関数問題の場面
で力強いベースとなることでしょう。