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§44 実力テストの受け方について NO.2
<英語について>
今回は実力テストの「英語」について、その受け方の問題点と改善点を少し述べてみようと思います。
英語のテスト問題は、平常の実力テストに措いては単語、語彙関係(発音、アクセント、イディオム・・)の基本、文法の単独問題(穴埋め、書き換え、問答、正誤、同意文・・)、長文問題、そして英作と、4つぐらいに大別されるわけですが、まず注意しておきたいのは、その解く順番です。
中1段階では内容も薄く量も少ないことから、時間が余ってしまうケースが多いのですが、中2の後半から中3になるとそれなりに習った量が増えているわけですから、長文も含めいろいろな問題がその中に詰め込まれて構成されている。数学ほどではないにしても、生徒によっては時間一杯かかってしまうケースが出てくるのです。
解く順番は、直ぐ出来る問題から手をつけていくこと、ですね。長文は後回し。これが鉄則です。何でこんな当たり前のことをわざわざ書くのかといえば、書いてるわたしも不思議なんですが、殆どの生徒が1番から順番に問題を解いていくからです。
テストの構成によって違うのですが、各都道府県の公立入試に対応した、即ち類似した模擬テストと違って、一般の学力テストでは、たとえば1番に発音、アクセントなどの語彙問題、2番に単語力や会話など簡単に問う問題、3番、4番にまあそれほど長くはありませんが長文問題、5、6番に文法単独問題、そして最後の7番に英作問題等で構成されてるケースが多いわけです。
当然の如く生徒は、3番、4番の長文問題に時間を費やすというか、鉛筆の動きが止まって考え込んでいる。英語の総合力が問われ、読解力と基本的な文法に根ざした表現力が必要になる部分ですね。しかし、悩んで苦しんで書いた答えが全てあってるといいんだけど、現実はそうではない。英語がかなりできる生徒もどこか間違えており、この部分での全問正解なんてあまり見たことが
ない。
英語の力のない生徒は、書いてもぼろぼろに間違ってるか、解答欄が空白のままになってることが多い。偏差値が60くらいのまあまあ英語ができる生徒も、ここでの安易なミス、読解の至らなさ、ほんとうにしっかりした文法力を持って長文を読みこなす力が、まだまだ足りないことを露呈している場合が殆どだ。
そんな姿を見ていると、「おいおい、時間は大丈夫かよ。まだ5,6,7番が残ってるぞ。残り15(or10)分で、できるのかよ?!・・・」と、言いたくなる。そんなときは何とか間に合わせて最後まで書くのだけど、当然問題の処理の仕方は粗いわけで、それより更に悪いケースになると、最後までできていない。時間が終了して後からみると、ああこれはできていたなあ、とがっくり。
ごく一部の生徒がそういうテストの受け方ならわかるんだけど、また注意をすれば済むのですが、ごく一部の生徒が順番通り解かず、すぐできそうな問題から手をつけていくという、この反対の現象には、いまどきの中学生は、一体何を考えてるんだと思いたくなります。そもそもこれまで何回テストなるもの
を受けてきたのか?!
たとえば上記の問題構成では、1,2番をやり、5,6番と7番(英作でできそうでないのは後回し)を丁寧に解き、そして3,4番の長文にじっくり取り組むべきではないですか?(当たり前なことを書いてますね)そして、見直しの時間を必ず作らねばなりません。
この問題形式は、程度の差はあれ私立高校の入試問題にも共通しており、長文2問以外の、語彙や文法問題から解いていくのは鉄則です。このやりかたはほんとに大事ですから、普段から絶えずテストでその呼吸を体得していかねば、一体どこで覚えるのですか?! 中3の入試近くになり、私立の過去問を解き出して、「えーっ、こんなに問題が多いのかよ?! これじゃあ、時間が足りないよ」と、嘆いた生徒に、「易しい問題から解くんだ」よと、口でいくらアドバイスしても、そんなに生徒は直ぐ実行できない。
それは、まるで海の上で大きな船が急に針路を変えることができないのに似て、軌跡を修正するにはゆっくり時間がかかるのですよ。平生の中の勉強の作業で、たとえば英語の疑問文では、?マークをつける、というごく単純で基本的なことを、平均的な生徒に何回言わねば完全に覚えないか、ご存知でしょうか? 3年間なら悠に100回以上は軽く超えます。即ち、100回以上も同じミスをしているわけです。
恐らくもっと多いのですが、中3にもなってまだこのミスをする生徒がたまにいるわけで、「おまえにはもう、言い草臥れたよ・・・。たまには学校の先生に直してもらえっ!」と、暴言とも悲鳴ともいえぬ疲れた声で、怒鳴ってしまうことがあるのです。気を長くしなければいけませんが、100回は軽く超えるこの単純なミスに、即ち、それを見つけてはいちいち指摘して直させるわたしの神経は持ちません。
このように、ほんの小さなことでも教えきるということは大変な場合があり、その問題の大小を問わず、科目を問わず、間違いや問題点は無数に転がっているのです。これが勉強面での、現在の公立中学の平均的姿です。ですから、テストの受け方一つをとっても、何度も言わねば全員に徹底せず、ああ、そうなんだ、とほんとうに気付くまで時間がかかるのです。
自分ひとりで頑張ってる生徒で、もし同じようにテストで1番から順番に解いていくのを習慣化してるなら、是非参考にして下さい。結果、7,8点は違ってくると思いますよ。数学のところで書きましたが、英語も実力テストとなると、平均点は数学より5点くらいましな55点前後です。
いつもの範囲の指定された、文法的に何が出るかがわかってるテストで、70点〜75点くらい取ってる生徒の点数です。つまり、実力テストになると15点〜20点は下がるのが現実ですね。その中身の問題点はここで論及するつもりはありませんが、もう少し実力をしっかりしてもらいたいと思います。
公立高校の入試に真似た形式なら大きく違うところですが、業者使用の学力テストではなく学校での一般の実力テストで言うならば、全体に占める長文の割合は、いいところ3割くらいです(まったく異なる形式ならお許しください)。仮にこれで考えますと、平常の定期テストで80点前後の生徒は,長文以外の70点で×0.8
の56点、長文で×0.5 としても15点、計71点は取れる。平常点が90点以上ある生徒は、70点×0.9 の72点、長文で×0.7 としても21点、計83点は取れる勘定になる。
もちろんこれは机上の計算上のことであり、ある程度の確固とした文法力がなければ成り立ちません。成り立ちにくいことは誰よりも深く知ってるつもりです。ですが、実力テストにおける解き方、そのポイントの置き方、攻め方に工夫というか、また、自分の力量というもの念頭に措いて臨むなら、闇雲に解いていくよりはもう少しましな点が取れる、と思うのです。
人は、制限時間を設けられた中で何かを達成しなければならない、と課せられると、途中で躓くと誰しも焦りが生じる。焦ると却ってよくない結果に陥るのは、これまた誰しも知っている。では、躓くところを予測して、後回しにしてはどうか?! 避けて通ればどうか?! これは小さな知恵ですね。でも、恐ろしいほど生徒はこれを知らない。
自分の力で出来る問題を着実にするということは、先にするということであり、ややこしそうに思える問題は後に回しにすることに他ならない。そうすれば、余裕を持ってじっくり取り組めるとともに、焦りもあまり生じないで済む。これは他の教科にもいえるし、私立入試についてはなおさら大事なノウハウですね。
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