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暗記について <やれる生徒は少ないが・・・>
生徒に対して、直接問いかける形式で書いてみます。(よって、言葉遣いが
ぞんざいなところがなかにあるのは、ご容赦のほどを。)
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暗記の勉強をどうしているんだ?!
暗記したのが、それがノートなのかプリントなのか、それとも教科書や参考
にマーカーして覚えたのか、そんなことはわからないが、それを閉じてしまっ
たのなら、あとは自分の頭にのなかにほぼすべて入った状態であるんだろうな?
どれだけ記憶に残っているか、あくる日にでもチェックしてみたか?
1週間後にはどうなんだ、1か月後にはどうなんだ、あるいは1年後にはいっ
たいどうなっているんだ?
一度暗記したものは、どれほど時間が経とうとも覚えているように、実際そ
のようなことは不可能であるけれど、しかし、それくらいの気持ちで覚える勉
強をしてみたらどうなんだ。その気持ちが強くなれば、そこには覚え込む工夫
と自分なりの知恵なんかもすこし生まれるのだけれどもね。
数学なんてそもそも暗記するものがほんとにすくない科目であり、よってこ
れは省くが、また国語も漢字や文法がこの暗記に入るかもしれないがここでは
省くとして、いや、待て、そうでもないな、文法なんてものは覚える量はごく
少ないのに、生徒は恐ろしく忘れるな、これもあとから書くグールプに入れて
おくとする。
いろいろたくさん覚えなきゃならんのは、英語と理科と社会であろう。ただ
英語と、理科と社会は、同じ暗記の勉強でも、その中身は違うのではないか?
どうもいっしょごたにしてるんではないのか。
どこが違うんだ? いや、これでは、漠然とした質問だな。もうすこし限定
した質問であるべきだね。うーん、学習していく内容というか流れ、その単元
の構成で考えてみろ。
うん・・・、まだわからん? じゃあ定期テストと実力テストではどういう
成績の結果になるか、そのテストの出題問題で考えてみろ? どうだ、違いが
わかるもんは? なに、違いはなんの違いか、だって?
・・・ったく、だから、英語を勉強した場合の暗記と、理科と社会を勉強し
た場合の暗記とでは、どこに違いが出るんだってこと。それを訊いているんだ。
それでも答えられる生徒は、まあ多くない。驚くことに、4分の1もいなんじ
ゃないかな。
簡潔にいえば、勉強の連続性があるかどうか、でしょう。英語は、新しい文
法を習っても、前に習った文法を引き継いでいかねばならない。文法だけでな
く、すでに出てきた単語も熟語も覚えていて積み重ねていく。現在形を習い、
現在進行形を習い、過去形と学習を進んでいく。そこには暗記した内容の、連
続性がある。ところが、過去形を習い、未来形になんか進んでいくと、なんで
現在進行形の文で、be動詞が抜けて書くんだ? こういう生徒がいる。けっこ
ういる。この知識の不連続性は、どうしたことだ!
こういうのは、ケアレスミスとはいわない。それで片付けてしまうような甘
えた判断は、断じていけない。あきらかに完璧な間違いである。こういう学習
をしてきた生徒は、現在進行形が範囲として出てくる定期テストではできてい
たことも多いんだろうね。しかし、こんな間違いをやる原因はなんだ?
よくね、しっかり理解してからでないと暗記はできない、とか巷間いうけれ
ど、たしかにその面は大いにあるけれど、文法の基盤そのものの理解が、時間
が経ったというだけでどこかに吹っ飛んでしまうような、そんな勉強はしては
いけませんよ。理解のあとの豊富な演習が伴っていない勉強、そして暗記のい
い加減さは、英語でもこうした不連続性を生む。
だから、生徒のたぶんに矛盾に満ちた現実に即していうと、英語と、理科と
社会は、勉強の連続性があるかどうかでは、区分けしづらい面があるのだけど、
そして国語の文法やあるいは漢字などもこの不連続性に入ってきそうだけど、
一応科目としてくっきり、勉強の連続性がないのが、理科と社会であろう。
社会は、地理と歴史と公民に別れる。各々別分野だ。そこに連続性はまった
くない。そりゃー歴史にも多少日本の地理は出てくるけれど、基本的には地理
を土台に歴史を組み立てるわけではないし、まして公民など地理とも歴史とも
99%関係ない。
理科は、化学、物理、生物、地学の4分野のうち1つずつを各学年で学び、計
12の単元(環境を入れれば13単元)がある。数学のように、1年で習う計算、
方程式、関数、図形の基礎の上に、中2でも同じ分野をすこし発展させ、それ
らを土台にして中3数学ではさらに同じ分野の発展、あるいはほかの単元との
融合を図るといった、そうした連続性は、理科にはまったくない。
社会も同様だが、理科の1年のはじめに習った単元は、中3になってもすでに
それは学習済みとして扱われ、頭からどれだけ知識が吹っ飛んでなくなってい
ても、また基礎の理解から再度勉強しないとわからい個所があっても、そんな
ものは基本的に、自分でもう一度勉強せよ、ということ。
もちろん学校でも、夏休みやほかの休みなどを通じてそれまでの復習をさせ
る問題集を出すのがふつうだし、塾などでも休み期間の講座や追加の授業など
で学習した範囲の復習はするので、自分でもう一度勉強せよという形は、いま
の中学生にはほとんど当て嵌まらないだろう。
それならば、範囲が限られて狭い定期テスト並のせめて平均点くらいまで実
力テストでもとれてもいいようなものだが、理科、社会で50点を超えるような
ことはまずないでしょう? そしてさらに、入試対策を懸命にやった後の入試
点でも、理科は43点前後、社会も50点前後という結果を、いったいどう捉え、
解釈するのか?
つまり、ここを考えてもらいたいのだけど、定期テストで平均点あたりのボ
リュームゾーンの生徒(およそ半分くらいとします)の暗記は、範囲の広い内
容の復習をしても、その勉強のやり方が雑で浅かったり、どうにも拙かったり
で、実力の伸びはまあそれほど期待できないといわざるをえません。
では、それが、上のゾーンの生徒の場合――定期テストではすくなくとも85
点以上とか、90点台をとっている――、上述したことが当て嵌まらないのかと
いうと、もちろんもうすこし良い点数がとれているにしても、なかには実力テ
ストとなると60点前後しかとれない生徒はザラにいますね。実力が英語や数学
なみの高い偏差値がとれず、意外と足を引っ張ってる生徒も少なくないのが現
実でしょう。
大きく別けて、ふたつ。入試対策の勉強のなかで、最後追い込んでなんとか
帳尻を合わしていく生徒がいます。そして目標とする偏差値まで到達できない
生徒がいます。
前者は、よくやった、万歳かというと、たしかに90%万歳なのですが、残り
10%がすこし気になります。入試勉強は5教科です(3教科でいいところもあり
ますが)。たとえば、偏差値60のところを相当頑張って70くらいまで上げるこ
とができたとします。しかし、それにはかなりの時間をかけたはずです。当然
他の科目、英語や数学にかける時間がおろそかになるとは思いませんが、もっ
と時間をとってさらに応用問題にあたり、その力を磨いていきたい作業がやや
減ってしまった、という結果もじゅうぶんあることです。
後者は、その原因がいろんなところにあるので、ここでは書ききれませんが、
ひとつ注意しておきたいのは、中3になってその実力に気づくようでは遅いの
ではありませんか?ということです。ましてや、入試勉強の時期に入って慌て
ても志望する高校(かなり高い)には隔たりができてしまう可能性が大となる
ということです。
ふだんとっている理科や社会の点数、それも定期テストの結果だけを視ずに、
実力テストあるいは塾の模試の偏差値をしっかり分析、評価することが、必要
です。そして、どうすればふだんやっている勉強の浅さに気づき、暗記の力を
磨き、実力をつけていく勉強ができるか、そこを考えて勉強のしかたの改善を
していくことが大事なのではないでしょうか?これはもちろん、前者の生徒た
ちにもいえることでしょう。
で、はじめに書いた「暗記の勉強をどうしているんだ?!」を、もう一度下
に転記してみます。
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暗記したのが、それがノートなのかプリントなのか、それとも教科書や参考
にマーカーして覚えたのか、そんなことはわからないが、それを閉じてしまっ
たのなら、あとは自分の頭にのなかにほぼすべて入った状態であるんだろうな?
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閉じたものは、短期の暗記。開かれたものは、長期の暗記。
開かれたものとは、なに? それは、見ようと思えば、いつでもすぐに見れ
る状態のものです。
たとえば、B-4のプリント1枚。社会なら、地理で4枚ほど、歴史で4枚ほど、
そして公民は前半の部分で2枚ほどあれば、まとめられる。この10枚ほどあれ
ば、実力テストで80点くらいはとれる内容を書き込めるけれどね。
理科は全部で12単元。1単元1枚、単元が済めば、それをまとめ、全部で10枚
ほどまとめればいい。社会ほどではないけれど、それでも自分がとっている定
期テストの点の80%前後の知識は実力テストでも確保できる、そんなまとめが
可能だと思うよ。
ちなみに、なんですべての内容でないのかというと、理科も社会も中3後半
の内容は直近のことで、頭にそこそこ入っているでしょう。それに入試対策の
なかで勉強すればいいことだ。あくまで2年半の内容をまとめたものが、実力
の基盤であり、長期の暗記の核心であろう。
このプリントを自分の部屋に貼っておき、つねに確認。抜けてしまいそう
な、あるいは混乱しそうな知識や、理解がおろそかになって来てる部分を覚
え、目減りする学力が抑制できる。
この暗記の勉強は、自分が一度持った知識を100とするなら、それを1年や2
年で60まで落とすのか、それとも80までに留めるのか、ということであり、ま
たもうひとつの長所は、常に接しているだけに、残りの20が漠然とどこにある
のかではなく、ある程度その個所が意識されることです。そこを復習のおり、
より重点的に勉強すればいいわけですから。
さて、最後に、では何をどうまとめるのか。これが疑問として残るであろう。
それは考えてください。これは与えられたものを、ただ効率的に受けとる受動
的な勉強ではなく、自らの力で克ちとっていく能動的な勉強です。やれる生徒
はすくないでしょう。やれると直観できる生徒は、ぜひがんばってトライして
みてください。 |
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