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668 学習スピードについて new
<復習をする場合>
これから先の勉強をするのか、それともいままで習った範囲の復習をするのか、その学習の中身と目的によって、学習スピードは当然異なってくるものです。
そしてこれは、塾など人の手とその設定されたスケジュールに則って進むのか、それとも自分の計画した段取りのもとで進めていくのか、この根本的条件によっても大きく別れるところです。
まあでも、塾に通っていてもその成績や実力のつき方いかんでは、自分で復習をしなければならないケースや必要性が出てくるわけで、またそうした現実も案外多く、必ずしも明確に区別できるわけではありません。
そんななか・・・。
これから先の内容の勉強をやるのにもかかわらず、ずいぶんスピード速くこなし、こんなんで大丈夫かなあ・・・と思う場合もあるし、逆に、復習の勉強なのになんでこんなに慎重に、そしてくどくどと繰りかえしてやる必要があるんだ、と感じる場合もあるわけです。
まあ、人それぞれであります。そのそれぞれの考えや思惑に対して、わたしの考えをそのまま押しつける気なんて毛頭ありません。参考になる場合もありましょうが、ときにまったく要らぬお世話にもなることもありますから。
しかし、この個別的なことはここではさて置いて、また一般的な問題集などはどうぞご随意にということにして、ただ、わたしが作成したところの問題集だけに限定させてもらい、日頃思うところをまたメールなどでくり返しアドバイスしているところを、すこし述べてみることにいたします。
復習をする場合。
まずその前に、生徒が復習する場合、何が一番大切なんでしょうか?
こちらがちょっと心配するのは、あるいはいささか懸念を持って想像するの
は、生徒が最後まで果たして問題集をやり通せることができるかのどうか、こ
の点にあります。
やる気があるから復習するのでしょう。あるいは、どうしてもやらねばなら
ない学力の状況があるから、復習するのでしょう。
はじめは、誰しもやる気と緊張感をもって勉強します。しかし、それをどの
くらい持続してコツコツ進めていくことができるのでしょうか? 3日ですか、
1週間ですか? それとも、2週間くらいが限度ですか?
たとえば、中1英語REVIEWという、中1生対象の復習用の問題集がありますが、
これはB-4サイズで52枚の構成です。単純にいって、1日2枚やるとするなら、
26日かかります。5枚なら、11日にかかります。しかし、これは、単にプリン
トをやり、おそらく解答合わせしただけの勉強時間になります。
当たり前のことを書きますが、わたしの問題集を利用して、英語を復習した
としたのなら、次のようなことに注意と確認をして取り組んでほしいと思って
います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・まだ自分がわかっていなかった文法、単語、熟語、そして重要構文が、必ず
あるはずです。
教科書準拠の問題集ではないんですから、また、学校の授業レベルの復習で
はないんですから。
内容的にはあくまで基礎と基本の問題構成ですが、中1のあいだにぜひ習得
しておきたい、身につけておかねばならない知識と学力というものがあるので
す。しかし一般に、案外とわかっていません、気づいてもいません。
このギャップを埋めておかないと、たとえ学校のテストでは優秀で95点くら
いとれていても、学力テストや模試などで同じ95点はまずとれないでしょう。
あるいは、実力との誤差、落差が出てくるでしょう。
これを、どうするんですか?
・わかっていたはずなのに、ついケアレスミスをしてしまった問題が、必ずあ
るはずです。
○つけして、間違えていて、ああ、そうだった・・・、今度から注意しよう
と、そう考えるだけですぐに次に進めばいいんですか?
止まって、直さねば、時間が経つとまた同じミスを繰りかえす。
これを、どうするんですか?
・しっかり習って覚えていたはずなのに忘れて、正確に書けない単語や熟語、
英文が、必ずあるはずです。
これを、どうするんですか? まさかほっておいて、次に進むんではないで
しょうね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
つまり、アバウト倍の時間がかかるんではないですか? ほんとうに身につく、正しい復習をするには。
52枚の構成。1日2枚やるとするなら、26日かかるではなく、50日あまり。5枚なら、11日ではなく、20日ほどかかるのがふつうでしょうか。もちろん1日に勉強する時間によってかかる日数は違ってきますが、しかし、5枚やるのはけっこう大変ですよ。
ただ、内容or単元項目が並列的に並んでいる理科や社会と違って、そして数学とも微妙に違って、英語は前の知識を土台にしながらの積み重ねの教科ですから、新しい文法を学習してもそれは勉強するなかの理解と暗記で考えれば2,3割の比重にしか過ぎませんね。
つまり、積み重ねた土台の知識がほぼ漏れなく、正確になると、この部分は当然処理速度が速くなるわけです。しかも、慎重にミスなくこなせる能力がついてきているはずですから、問題集のある程度後半になると、緩やかでいいのですがその学習スピードは加速度的に上がるものです。
ですから、上で書いた日数よりも実際は短く完成できるはずなのです。
それでもですよ、長くてまとまった休みがにするのであれば別ですが、ふつうの時期に復習の勉強するとすれば、ほかにいろいろな科目の勉強もしなければならないでしょうし、ときにテスト対策の期間もあるでしょうし、塾に要する時間もあるでしょう。よってかかる日数ではなく、初めの日から終わりの日までの日数は、プラスマイナスそれほど変わらない可能性もあるわけです。
こうしたことを踏まえつつ、生徒のやる気の持続のリミットと物事を成し遂げる貫徹力を想像すると、復習という勉強は、何度もくり返して勉強する考えと行為は、一般の問題集(とくに薄いもの)ではいいとしても、わたしの問題集ではあまりお勧めしておりません。
それよりか、上の波線(〜〜〜)で括った部分をどうするんですか、ということです。ここにこそ、復習の本質があります。きちんとノートにやり、学習してください。
できるだけスピード感をもって、テキパキと進めていくこと。やる気が萎えては話になりません。やる気を持続させるには、スピード感のある学習の進捗具合とそこで得る充実感が、生徒の勉強のなかでなくてはなりません。そもそも復習なんて勉強は、面白みに欠ける面があるのですから、集中して取り組んで、できるだけ早く終わらせるに限ります。この問題集の場合の期間は、早ければ1か月、遅くとも2か月以内に仕上げるのがいいのです。
復習をすればその内容すべてを、頭のなかに入れるためにゆっくり時間をかけ、とくに「何度も繰り返して問題集をやり直しをしたい」と当初考えている方が、なかにいらっしゃいます。
たしかにこれができるのなら構わないのですが、時間的な確保と余裕がいつまであるのか、と心配です。それ以上に、やる気と継続した学習スタイルがいつまで続くのでしょうか?
この問題集を何度も「くり返す」という考えは、成績の良しあしに関わらず、復習以外のあるゆる学習形態にもいえるのですが、実行力を持った生徒はほんとに稀である(全体の2%もいない・・・)ことを指摘しておきたいと思うのです。
もう一点。わたしは、「復習をしっかりすれば、その内容すべてがまた頭のなかに入る」とは、努々思っていないのです。またまた、忘れるところがあるのです。じゅうぶん理解していないところもあるのです。暗記していないところも出てくるのです。注意していない個所もあるのです。
このことはある程度、しかたがないことと認識しています。この、しかたがないなんて言葉を、軽々に書いているわけではありません。20数年指導してきた生徒の現実をつぶさに視てきて書いている言葉であります。ですから、仮にまだ学習してきたなかの5%くらいが上記の状態なら、ほんとそれは万々歳であります。
なぜなら、まだ基礎と基本の段階とはいえ学校レベルよりワンランク上の力の習得を目指してる問題集であって、たとえ定期テストで95点とっていてもわたしから見れば、この問題集での実力はまず80%もないのではないかと思っているからです。この15%は、偏差値的にみれば5〜7に相当すると判断しています。
仮に、中1後半の定期テストで70点そこそこしか取れなくなった生徒の場合はどうでしょうか。この問題集での実力は、まず50%にも充たないでしょう。もうあちこち大きく穴があき、ガタガタな文法の状態です。そして最後まで問題集をていねいにやり、学習してきたなかの20%ほどがまだ上記の状態なら、それは大きな進歩、よくやったなと思います。おそらく、学校のテストでは90点近くはとれるところまで来ています。
そんなもんなんです。課題はすべて解決しません。次の段階の勉強で、それを埋めていけばいいわけです。
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