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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§469 教科書ガイドブックについて<続>
<集中力とは>

 前回の続き。

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 アウェイよりホームの強み。自宅が一番の学習環境です。使い慣れた自分の
参考書も辞書もすべて手元にある、アウェイにはないホームならではの環境で
す。自宅は一番落ち着ける場所。この安心安全が集中のもとになります。体調
管理面でもベスト。自宅は学びに最適な環境です。
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 ホームとアウェイの言葉は野球にも使われますが、いま一番ぴったりするのは、とくに国対国対抗のサッカーでしょうか。わたしもファンのはしくれです。

 先週、日本対オーストラリアのサッカー2014W杯アジア最終予選(第3戦)がありました。結果はよくご承知のとおり、1対1の引き分けでした。

 それまでホーム2戦(対オマーン3:0、対ヨルダン6:0)の圧勝に対し、FIFAランクがほぼいっしょで力は互角のオーストラリア戦では、日本は、アウェイの厳しい洗礼を受けました。

 スタジアムを圧倒的に占めるオーストラリア・サポーターから受ける威圧とブーイング(これはしかたない)、日本では考えられないピッチコンディションの悪さ、これらは当然想定し耐えても、中東の審判の質の低いジャッジと不可解な笛(これは以前にもありましたが)には、またまた大きく足を引っ張られました。

 しかし、これらの悪環境とひどい条件、さらに主審の恣意的で理不尽な判定のもと、選手たちやコーチ、監督の集中力という点では、どうだったのでしょうか?

 それはよくご存じのように決して途切れませんでしたし、見事な集中力でした。ホームでの集中力も大事ですが、アウェイでの集中力は、その一段上をいく力が要ります。それは失敗と苦い経験から培われ、得られるものです。

 わたしはこのお母様の考えやポリシーを、批判したり、否定したりするつもりでこれを書いているわけでは、まったくありません。

 自宅が一番の学習環境とし、使い慣れた自分の参考書や辞書を手元においてつねに利用して勉強に取り組む。それは、アウェイにはないホームならではの一番落ち着ける場所です。この安心安全な、学びに最適な環境で、ともするとゲームに夢中になったり、マンガやテレビ、携帯に意識をほとんど囚われて勉強がお留守になっしまう生徒がけっこういるなか、自宅は勉強に集中できるという捉え方は、誰もが同感できるというものではないでしょうが、すばらしいと思います。

 しかし、自宅がホームとするなら、アウェイはどこを指しているんでしょうか? 学校なんでしょうか、塾なんでしょうか。それとも、どちらもそうなんでしょうか。「自宅が一番の学習環境です」と書かれているので、学校は当然の場として省かれ、やはり塾などを想定しているんでしょうね。でも、生徒の感覚でいえば、塾も通い出したはじめの頃はアウェイであっても半年、1年と学んでいればすっかり馴れてしまい、アウェイというよりホームの感覚になっている生徒も多数いることでしょう。

 わたしがちょっとこだわって言及しておきたいのは、このへんの矛盾点(?)ではなく、ホームとアウェイという言葉を、その学習環境に置いて、「集中(力)」という観点で述べているということです。

 つまり、安心安全な環境が集中のもとになるのか、ということです。もちろん、ふだんの勉強は、この「集中」が大切なことはいうまでもありません。

 しかし、一番落ち着ける場所で、安心安全な場所で「集中」ができても、そうではない場所の場合、「集中」が切れては、どうにもならないということです。はたしてこの「集中力」は、保たれるんでしょうか? 

 言葉を換えれば、ほとんど落ち着けない、安心とも安全ともいえない、それも自分一人ではなく他の生徒が大勢混じる場所、つまり、そのアウェイの最大のものは、生徒にとって高校入試の場面になりますが、この「集中」はかき乱されることなく維持できるんでしょうか? 答えは、ノーです。

「集中」といってもじつは二通りあり、ふだんの勉強で求められる「集中力」と、テストの際求められる「集中力」がありますね。このふたつはある程度比例はするでしょうが、あくまである程度にすぎません。そこに、ホームとアウェイという環境を持ってくれば、さらに比例の頻度は下がる。これではいけません。

 安心安全なホームでの集中力もいいですが、決して油断できない、何が起こるかわからない、ときとしてわけもわからず足を引っ張られるアウェイのなかの集中力、これこそあらゆる場面と機会を利用して、もっと磨いてほしいものです。

 実際考えてもらえばすぐわかることですが、このアウェイの集中(力)と、またその制御のもとに発揮しえる実力こそが、結果のすべてを支えているんでしょう。途中の努力、結果に至る過程が大事、などとよく言われますが、そのようなものは当然のことで――しかし、この当然のことが現実どうも実行むつかしく、まずく、たいへんなのは、よく承知していますが――、わたしも含め大半の人はやはり、物事の結果によって判断、あるいは認識をしているといえます。

 結果とはなにかといえば、サッカーでは試合、生徒ではテスト、その結果です。よくご存じのように試合といってもいろんなレベル、環境の違いがあるように、テストもいろんなレベルがあります。範囲の狭い定期テスト、習った基本の力をみる実力テスト、塾の学力評価テスト、公開テスト、業者の模試などなど、そして最後の入試。

 このなかで、アウェイはどこなんだといえば生徒それぞれ違うんでしょうけれど、前回のテーマである、すくなくとも自宅を一番の学習環境とし、安心安全なホームとし、その集中のもとに教科書ガイドを中心に勉強するという立場でみるなら、定期テストをはじめすべてが、アウェイとなる可能性がとても高いのではありませんか。たとえ定期テストでは良好であろうと、次のステージではどうか。これがコワイ。仕事柄、この物事の結果の推移を、人一倍知っています。

 やはり、アウェイで出す結果を最大限いいものにするためには、井の中の蛙にならぬよう自分の実力をつねに客観的にみる機会と判断材料をもつとともに、たしかな実力を鍛え上げていく、より視野の広い勉強と、そしてアウェイの集中の経験をできるだけ踏んでいくことが大事なんだろうなと思っております。