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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§439 ドラエもんを描くとは?
<中1生に向けて>

 もうずいぶんまえになりますが、ネット上のある掲示板(どこかも忘れました)に、下の内容が書き込まれていました。ちょっとおもしろ可笑しく感じたのでコピーして保管していたんだけど、それもいつのまにか忘れてそのままになっていたのを偶然また見つけ、今回これに関して書くことにいたしました。

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 数学の宿題が出たという。図形分野だ。
「コンパスを使ってどらえもんの顔を描いて来なさい。」
 幼稚園児じゃないんだから.............
 どういう教師だ?
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 文面の口調からおそらく子供のお父さんなんでしょうが、なまの怒りがストレートに伝わってきて、なかなかおもしろいと思いました。お子さんの学年は数学の宿題、図形分野という言葉で、まず中1だと想像されますが、学校の先生から出された宿題に、それも子供がこんなの出されたよ、と不満顔に親にいったのでしょう。

 生徒もそれを伝え聞いた親も、どちらもかなり不満である。生徒のほうは、中1にもなってなんで数学の宿題に、いまさらドラエもんなんかを描かねばならないんだよ・・・、アホくせえ、と感じているんでしょう。

 おそらく出した先生も生徒に、その理由もいわず、ただ宿題をとして描いてこいと、突然いったのだろうと想像されます。

 しかし、わたしはこの先生の、これこれこういうことだから、ドラえもんの顔を描くことを宿題にするとくどくど前もっていわないところに、好感をもってしまいます。やれば、わかるんですから。

 さて、このお父さんの受けとり方と心象も、とても理解できるところなんですが、わたしもなぜドラえもんなのかが、はじめよくわかりませんでした。ドラえもんをイメージしてもマンガを描くセンスがないので、輪郭も細部もぼーっとぼやけて正確にイメージできません。

 さて、この図形の宿題のポイントは、“コンパス”を使ってドラえもんの顔を描くことにあります。手で自由に描くのなら小学生でも、あるいは「幼稚園児じゃないんだから」の幼稚園児でもマンガを描くのが得意な子なら描くことができるでしょう。しかし、“コンパスを使う”となると、話はまったく別です。ここに、おおきな引っかかりを感じました。

 手元や周りにはとうぜん(?)マンガ類はありません。しかしいまは、便利なことにすぐネットで検索できますから、ドラえもんの顔や全体をよく見てみると―――。なあーるほど・・・。

 コンパスを使うのが条件です。つまり、円と半円、そして弧の部分を捜すと、以下のごとく。

<ドラエもんの顔の部分>
1.顔の輪郭
2.顔の中身
3.目がふたつ
4.赤い鼻
5.口の半円(あるいは弧)
 顔のてっぺんにある
<ドラエもん全体になると>
6.手がふたつ
7.お腹の部分
8.その中の半円
9.首にまいた鈴の部分

 ドラえもん全体の姿となると、10個以上の円や半円を描くことになるので、「ドラえもんの顔」と指定したことが頷ける。口ひげ以外、それでも円を大小6個ほどコンパスで描くことになり、実際にやってみればわかるがけっこう難しい。いや、相当にむつかしく、何度も失敗しつつ完成しなければならないはずです。

 コンパスを用いて円や半円、弧などを描くのは小学校のあいだにきっちり習得しておくものであると思いますが、実際わたしも中1生や中2生のそんな場面に立ちあって、彼らが不器用にまごまごしつつ描いている姿を何度も目にしている。

 中心をきめて、針がずれないようにしっかりと紙にさし、針がずれないよう気をつけてコンパスをまわすのが、そしてそのとき、線の濃淡が出ないようにじっくりしかもできれば一度でまわすのが、円の描き方の基本作業だと思うが、どっこいこれがスムーズにできない生徒の割合は、半数からひどければ4分の3近くもいますね。たったこれだけのことに生徒は、いろんなまずさ、ぎこちなさが出る。針と鉛筆の芯にかける力の入れ具合とバランスを、小学校のあいだに練習して身につけていないのだ。

 だからこの先生は、単純な円を描く訓練では生徒は感心も興味ももたないだろうと、遊びの感覚を入れてドラえもんの顔を描く宿題を出したものと想う。

 ただし、半径4センチと半径1センチでは、ちいさな1センチの円のほうが描くのはむつかしく、ノートいっぱいに大きく描くのなら別だが、ふつうの大きさでドラえもんの顔を描くとなると目や鼻の円は小さくなり、単純な円を何度も描くより、けっこうややこしいかもしれません。

 でも、それだからこそ、中1数学の図形分野のひとつの宿題といえるでしょうし、幼稚園児でも小学生でもないところを見せてほしいと思います。

 まあこうしたちょっとした誤解は世間にほんとに多いだろうけれど、わが身とて同じで、言葉少なければ真意はなかなか伝わらず、かといって多くても、相手に余計なことと感じさせてしまう助言などを書けば、ときに思わぬ誤解と反感をもたれるであろうし、勉強に関する事柄やアドバイスってものは、ほんとにむつかしいところがあるものだと思っております。