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 中学生の学習のしかた by Toppo
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§169 地理の覚え方<地理は地図帳でしょう!再び>

 地理の覚え方。今回はワンポイント・レッスンです。
 すでに「地理」についての具体的な勉強のしかたのアドバイスは、「社会について思うことVOL.2」 で書きました。ご参考に。

 その中の1つに、「世界地図・日本地図を自分で作る!」というのを挙げているのですが、このことについてもう少し詳しく述べてみます。

 たとえば、能登半島を描いてみろ、といわれれば、描けます。その正確な精度は別にして、およそのイメージとしては。また、愛知県の知多半島と渥美半島、そして三重県の志摩半島を含んだ、その地理的イメージを描いてみろといわれれば、これも描けます。じゃあ、下北半島と津軽半島の青森県を描いてみろといわれれば、これも描けます。別に自慢しているわけではありません。

 北海道、本州、四国、九州も、鉛筆1本書きでもちろん描けますし、北方四島から沖縄まで含めて日本列島を描くことができます。消しゴムを3,4度使いますが。同様に、世界地図も。

 まあ、しかし、それがどうした?!ってことですが、この作業は深く「地理」を見る目を養うのです。小学5、6年と中1で習得したこの技術(?)は、何十年経って多少色褪せてもまだ、確かな指紋として脳裏に残っているのですから、不思議なものです。これはしかし、人それぞれ形は違うものの、いろいろと得手なものは多少持っているものです。

 教科書から離れ、問題集や参考書からも離れ、そして教え教わる先生からも離れ、勉強していく上で役立つとか、そういった目的意識からも離れ、遊び半分愉しんで、また無心でするのがなによりいいんでは、と考えます。

 百聞は一見に如かず、だけど、百見は一描に如かず、ともいえるかな。 要なものは地図帳1冊、小学生は小学生用の、中学生は中学校社会科地図で十分。あと最初に要るのは適当なB4 用紙と鉛筆だけです。

 最終の完成地図は、画用紙4枚分の大きさ、四六判(788mm×1091mm)というのかな、その用紙にカラフルに描くことが目標です。市販の日本地図や世界地図と、その内容量は負けても大きさでは負けない、見栄えは悪くとも愛着のある、独自な地図を作り、自分の部屋に張りましょう。但し、そこまでは無理だな、と思う生徒は、通常の画用紙程度の大きさでもいい。その場合は色鉛筆とかを用いるべきだろうし、でっかいのはマジック・インク(細いのを)なども使わないと迫力もバランスも取れないが、そのような細かいことは自分であれこれ決めていけばいい。

 それよりもっと基本的なこと。最初のB4 用紙に戻ります。
 まずは思うままに描いてみること。地図の上に紙を載せてトレースするのはやめましょう。あくまで地図を何度もみて、自分の手で描写することです。この地図を何度も、何十回も見ることが、あとあと大きな意味があるのですから。しかし、まあ、そうして出来上がった最初のものは、恐らくとんでもなく歪でひどいものになるでしょうが、次第にうまく描けるようになってください。

 とはいっても、なにも考えずにただただ地図をよく観て描いても、また部分的にはうまく描けても、全体のバランスがおかしいのではやはりまずい。その先の更なる書き込みが進めません。よって、2,3度試みたあとは、次のやり方を参考にしてください。

 地図には経線と緯線がありますね。これを利用すべきです。また、そんなことは学校では習うこともないでしょうが、意外なところで思わず利用もできることがあるので、知っておいたほうがよい。

 9つのマスを作る。それには縦と横の線が4本ずつ引かねばならない。縦の経線は明石を通る標準子午線、東経135度がまず基本の線です。そして左に1本、東経130度の経線、右に2本、東経140度と東経145度の経線、これで4本。東経130度は九州の長崎、東経145度は北海道の根室、すべておよそですが、日本列島の東西の幅の目印ですね。東経140度は東京だし、すべて5度間隔の4本の経線を描く。

 次に緯線。東経135度から100を引いた35度、覚えやすい。北緯35度がまあ京都とか名古屋を通っていますね。北緯40度が重要なのだけど(世界地理で)、それは秋田市(のやや上)を通っている。さらに5度足した北緯45度、北海道の稚内の近く、これで北の目印。あとは北緯35度から5度引いた北緯30度、九州の鹿児島のまだ下、種子島と屋久島の下まで含む。これで緯線も4本。

 沖縄とか国後、択捉の北方4島までは含められないけれど、およそこの経線と緯線で囲まれた9つのマスのなかで、日本の4島は描けますね。すべて5度間隔の線だけど、一つのマスは、正方形ではなく、縦対横が5:4の長方形になりますから、地図をよーく観て。

 その線を薄く引いて自分なりの目印を決め描いていけば、より正確で均整のとれた日本地図の外郭が完成するでしょう。これを2枚作る。1枚目は、日本の地形中心にまとめてみる。川、平野、山脈、盆地、半島、湖、海流などを項目ごとに色分けして、集中的に記入する。何を、どれだけ? それは、日本全図が載っているページを参考にして、自分で決めればいい。

 2枚目は、都道府県に別けて、県庁所在地を入れ、その他重要都市を記入していく。たとえば北海道なら、札幌以外に、函館、室蘭、苫小牧、根室、釧路などの都市の「地理的位置」を正確に知っておくべきだけど、稚内や旭川、帯広、北見なども書いてもいいね。あとは都市や県に関連した農産物関係、工業関係の情報、知識などをわかった範囲で書き込んでいけばいい。
 
 他には、雨温図とか果物の県別生産高とかさまざまな資料や統計など、その周りの空白部分に記入したりすれば、なおさらいい。まあそうした下準備ができてから、或る程度叩き台になる材料とその具体的作成の感覚を掴んでから、より大きな用紙にトライするのだ。

 そうしてできあがった地図を、自分の部屋に貼る。他人から与えられたものではなく、また既成の地図ではなく自分自身が作った地図なので、非常に愛着のあるものになっている。それだけに多少不備があろうと、拙い点があろうと、とにかく完成することが重要です。

 当たり前のことなんだけど、地図帳は閉じられていると、そこからはなんら情報が得られない。勉強机の棚に収まってる地図帳はそこにある限り、たんなる飾りでしかない。恐らく98%の生徒はこの状態であろう。ここに記憶力の修練はない。実はそのことに、多くの人が気付いてはいないが。

 アランはいみじくも言っている。
「私は、記憶力は勉強の条件ではなくて、むしろまさにその成果だと信じている」と。

 自分の部屋に貼った手作りの地図を、度々眺めることになる。ときにはぼんやりと、ときには睨めっこして真剣に。その行為を通じて記憶は、その成果を徐々に生んでいくのだといえる。

 ここまで到達するに、地図帳を何百回見たことか。しかし、そうして苦労して出来上がった地図の内容もまだ、すべて覚えているものではないのも事実。鮮明に記憶に焼きついている部分もあれば、まだうろ覚えや問題意識もなく定かに焦点も合っていない箇所も、最初はかなりあるものだ。その詰めの学習(?)を、いやいや遊び半分の気分のなかで、繰り返し眺めるうちに見出して、また覚えていこうとする作業は、強制ではないだけに愉しいともいえる。こうして日本地理ができれば、それを応用して、世界地理もできる。

 教科書や先生から学ぶ知識は半分でいい。あとの半分は自分で学んでいけばいいのである。社会はそれができる科目なのだから。また実際、教科書や問題集、先生から勉強して覚えたものは、時間が経つと、生徒は3分の1も残ってはいないではないか! 
 
 手間と時間をかけたなかで、またその後の繰り返しのなかで確かに得たものだけが、実力の核である。その核の形成は、小6と中1の時期であろう。