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§150 理科の問題集を作りながら思ったことVOL.4<360の知識、学力の塊>

今回は「<新版>入試理科の攻略問題集」について説明をさせていただきます。

 当問題集は、公立入試の理科に照準をあて、その本番のテストで85点(100点満点)を取る実力を是が非でも形成したい、その念いから作り上げました。

 もちろんその力を形成するのはわたしではなく、これを使う(?)生徒自身ですが、そのための確かで具体的な材料として、また実力養成へのよき指針になればと、考えている次第です。

 仮にこの問題集を使って勉強すれば、学校での定期テストでは80点、実力テストでは90点、そして入試では85点、そんな力のイメージで捉えていただければいいのではないでしょうか。もちろん目標値ですが。

 わかったようなわからないような、なにやら変な表現ですね。取らぬ皮算用、点数ばかり揚げてもやらねばちっとも参考にならないことですが、やらなくてもまあ、或る一つの些細な情報にはなるかと。

 理科の平均点というのは、実力テストでも入試でも、数学と並んで5科目の中ではいつも低い、と相場は決まっています。ひどければ42,3点、よくても50点を超えることはまずない。また、数学や英語が得意という生徒はそれなりにいても、理科の力が安定していて実力もある、そのような生徒は、捜すに苦労するぐらい、ほんと少ない。そんな科目が、理科です。

 つまり別の角度でいいますと、普段取っている成績がそのまま実力に繋がることはまずない、とみていい科目でもあるわけです。20数年生徒の成績をつぶさに観てきました。それは同時に、見せつけられてきたともいえます。その成績というのは、学校での定期テストの点数、実力テストの点数、そして入試問題での獲得点数(もちろん内申点もですが)。

 その中で生徒のもっとも成績と実力の落差が激しいのが、こちらの落胆も大きいのが、また信用ならないのが、この理科ですね。落胆は一度しても二度しても懲りませんが、三度すれば、まあ懲ります。事実を直視します。

 定期テストでは80数点、90点取っていた生徒が、実力テストとなると平気で53点を取ります。75点なら、わかるのです。68点でもなんとか納得はいくんです。しかし53点は、どう考えてもおかしい。習ったことの半分も忘れているという、悲惨な実力です。

 いや、理科は得意でもなく、定期テストではまあなんとか70点取るか取らないぐらいですか? そしてそれが学校での合格基準点ですか? それなら1年後のあるいは2年後の実力テストでは、40点にも恐らく達しないでしょう。入試ですか? もっとひどい。

 真面目にテスト範囲の勉強をすれば、またテストで出る内容を指示されたりアドバイスに沿って暗記すれば、ある程度はいい点数が取れるでしょう。それはそれで頑張った成果でいいのですが、またよくやったということですが、しかしその結果が、実力の正体ではない、ということもはっきり認識しておくほうが、力の把握に愆りは少ないといえそうです。

 自分の頭でものを考え、ほんとうに深く理解をしたものしか、記憶のうちに留めておくことはできない。しかし、このなんでもない真理を知り、学習のなかで体現している生徒はあまりいませんね。でも、ここまでで実力を蓄えられる生徒というものは、ほんとに頭のできがよく、賢いんですよ。関係ないことですが、わたしはそんな上等なできを有してはいませんでしたし、いまも同じ。

 前回にも書きましたが、実力に結びつく勉強とは、そのあとの詰め、にあります。理解したあとの、中身の重要な部分の押さえ方、ポイントを抽き出して余分なところを全部削ってしまう、その思考と暗記の塗り重ねの作業が欠かせません。

 この事はたとえば、次のようにいえばわかりやすいでしょうか。少し大袈裟かもしれませんが、一つの定期テストの範囲で100を習うとする。その100はまさに1が集まった合計の100でもいいし、2,3点の問題の寄り集まった100点と捉えてもいい。そこには当然、テストのためだけの問題、乱暴にいえば、どうでもよい瑣末な問題が30点前後はある。

 乱暴さゆえ誤解を受けると困るのですが、つまり実力とは関係ない定期テストだけに重要な(?)な問題です。こんなのはテスト後は要らない。また残りの部分も実は、ほんとうに大切な知識、入試で問われる問題というのは、そう多くはないのです。仮にこの大切な部分、絞り込んだ箇所を、いま30とします。こいつは時間が経とうが、雨風が吹こうが忘れてはならない部分です。

 しかし考えてください。常に全体、つまり3年間の総合力が学力ですから、この30にしても、単元で観れば(テストの回数で見ると15回になりますが)12もあるのですから、掛け算すると360の知識、学力の塊になります。入試で出るのはそのうちの4分の1の90ぐらいでしょう? この90を征服するには逆に360ぐらいは要りますね。

 ところが100をだらだら覚えただけの、そして定期テストのためだけの表面的な勉強をしている生徒は、上で書きましたようにたとえいい点数を取っていても、要点も十分掴んでいない上に、この30の絞込みと忘れないための暗記の工夫もまるで足りませんから、その学力の中身は、どうでもよい30点どころか、大切な部分の30でさえ、半分以上は喪失してしまうのです。つまり実力テストの53点という結果ですね。100を12倍すれば1200。覚えられるはずがない! そんな弛んだ勉強を積み重ねたとして、どうして実力をつけられようか?! 

 実力に結びつく学力とはそのあとの詰めの作業に在る、といっている大切さが、およそおわかりいただけたでしょうか。 この30の部分に的を絞り込んで作り上げたのが今回の、「入試理科の攻略問題集」になります。

 余計な問題はしない。また基礎的な説明も必要なもの以外はしない。理解する上でここが解法の急所、生徒がわかりづらいと感じる部分、理解と暗記をとことん追求しなければならない箇所などは、もちろん繰り返し、もういいだろうというまでしつこく簡潔に説明はする。
 
 ただ、基礎的なことを理解するために、わからないところやわかりづらい部分を詳しく説明と演習、図解する問題集、参考書なら、市販の問題集で十分だし一杯あるでしょう。それはそれで学習上必要なことだ。しかし、十分ではまったくない。その充分であることを追求する問題集である。

 つまりこの「入試理科の攻略問題集」は、学習の前半の部分の作業、大抵の生徒はそこまでで終わってしまうのだが、それにポイントを置いているのではなく、後半の部分の作業、実力をつける作業に圧倒的に比重をかけた問題集である、と捉えていただきたいと思っております。

 すべき問題の的を絞り、かつそれを繰り返す。問題の95%は過去の入試のなかの良問題で構成。それだけに言葉や表現、問う形式が違っても、同種の問題が出てくることも度々あるかと思います。つまりそれは、重要性そのもので、何を深く理解しておかねばならないか、何を覚えておかねばならないかを語っているわけです。この繰り返しの出題は、もう十分かなと敢えて割愛したものものや、逆にまだ足りんと編集して付け足したものもありますが、あくまで問題を通して考えていく、深く覚えこんでいくという問題配列にしてあります。

 あともう一つの大きな特徴。
 それは、問題だけを解いていても実力の溜まりはまだ不十分であるという歴然たる事実に対し、「ノート化」を推し進める点にあります。つまり、この問題集の構成は、見た目は非常にシンプルですが(他のわたしが作成した問題集と同様)、「問題集とノート」の二つの役割を兼ね備えているように作りました。

 ノートにあたるスペースを採り、そこに自分でまとめる。自らの頭で考えたこと、問題を通して気付いたこと、各問題の絞り込んだポイント、覚えておくべき重要な解法に纏わる知識など、問題を解いたあとに、まとめるのです。つまりこれは、再三主張しています、、実力をつけ定着を図る、そして記憶を長持ちさせる後半の部分の作業ですね。

 この規範となるのは、解答にあります。具体的で詳細な勉強のしかたは次回に、もう一度説明をいたしますが。この解答の比重がほかと較べ、とてつもなく重い、と思ってください。まさにそこに、自立した勉強のあり方と進め方のすべてが顕わされていますから。

 ノート化のこの勉強の過程は、単に問題のまとめだけに留まっていてはいけない。理解と記憶の追及に、さらに何をしなければならないかが、解答を参照していけば、もう少しわかっていただけるかなと推います。

 大切なことは、勉強したことを頭に入れるということです(いうまでもないことですが、けれどもその実態は、どうにも頼んないし、不十分に過ぎる)。そしてそれを、いつでも必要な時に小さく鮮明にした形ですぐ取り出せるよう、整理整頓しておかねばなりません。そのためのノートまとめであり、また問題集でもあるのが、実力に近づくひとつの風景でしょう。

 つまり、究極は、頭の中のなかのノート(あるいは、抽斗)にしまうことであり、現実のノートは閉じれば、多くはそれで終りです。あくまで問題集とノート化はそのための一手段にしか過ぎません。けれども多くの勉強手段とさまざまな機会に触れる中で、この企画の問題集はかなり有効な、そして実力獲得へ向けての本格的な学習の契機と実行手段になることは、まず間違いないかと考えております。

 対象は公立中3生を中心に、もちろん中1生でも中2生にも利用可能な内容になっております。問題構成は、1分野の化学と物理、2分野の生物と地学の4つの内容に含まれる各3単元、計12単元を、土台になる問題(といっても、すべて入試レベルですが)、それをさらに演習し実力を磨く問題、そして確認テスト、といった3段階の構成にしてあります。

 B-4プリントで3段階(44枚+50枚+24枚)の総数118枚の問題プリント、その解答が同様の118枚で、計236枚の総枚数になっています。