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§148 理科の問題集を作りながら思ったことVOL.2<理解しただけでは、覚えられない>

 今回は「理科の問題集を作りながら思ったこと」の続きです。

 「理解」という代物は危ういものだ、と前々回書きました。知識に関する、その理解と持続性の関連について、少し言及してみます。

「単なる暗記はその場限り。苦労して理解したものも、実はよく抜ける。じゃあ、深く理解して暗記したものはどうなのか? それもね、多少はましなんだけど、絶対ではないんだ、と。」

 この「絶対ではないんだ」という感慨をあらためて深くしたのは、理科の問題集を作りながらでした。あれほど完璧に理解し、また絶対的といってもよいほど深く、揺るぎなく、暗記した(?)ものが、ところどころ、記憶からから剥がれ落ちている。考える途中糸が絡まって、あるいは靄がかかって、はてどうだったかなあ?と蒙昧になっている箇所、目を閉じて反芻するところがぱら
ぱら出てきた。

 額にしわ寄せて考えたものが、情けないことにすっかり間違っていることもある。何故だ?! それを時間かけ、解きほぐす。うーん、そうだった、と。

 まあ専門ではないとはいえ、14,5年間も理科から離れていたのだから、その知識と記憶に穴があき、錆びついて其処彼処にガタがきていてもしかたがない。ただし、2年や3年で錆びつくような軟な記憶力はしておらんぞ、という気概だけはある。また、齢のせいもあるかも知れない。これらは所詮弁明に過ぎないけれど、ここで少し、考えた。

「理解する」とは、どういうことか。理解の中身の実態はどう量ればいいんだ? 理解の度合いで、暗記の持続性は決まるのか?! などなど。

 話しがなにやらむずかしい方向に行きそうな雲行きで、こいつはわたしには似合わないから、解析した中の一点だけに拘ってみたい。つまり、こういうことになる。「理解」は勉強の中で必要不可欠なものだけど、それだけでは全然足りませんよ、ということ。覚えるためにはまず、しっかり理解するのが前提だ。が、しかし、理解しただけでは、覚えられないという事実を認識している
のかな? まして、ずっと記憶に留めておくことはできやしない、ということを。

 なんだ、考えたという割には、当たり前のことを言っているだけじゃないか、と思われるかも知れない。しかし、そうだろうか? 学校でも、また塾でも家庭教師でも、教え教わる中身の問題は、わかるわからないの次元で留まっていることが殆どではないだろうか?! 

 如何に理解をさせるか、どうしたらわかるか、さらにできるようになるか、の視野で教える側は頭を使い、こころを砕いている。しかし、其処までなんだね。粗い言い方だけど、理解をさせれば、理解をさせてその場でできれば、事は済んだのだ。また生徒側に措いても、理解をすれば、わかってできれば、事は済んだのだ。

 まるでわかることまでが大変であるかのようにどちらも受け取っているが、またそういう認識で捉えていることがいかにも多いのだが、では何故、習ったことを、理解も十分しできたものが、半年、一年も過ぎれば、いや、1ヶ月や2ヶ月そこらで、いとも簡単にできなくなったり、忘れてしまうのだろうか?! 

 つまり事は、その本質に措いて何も済んではいないのだ。少なくとも生徒側にとっては。理解したあと、そしてその問題とやらができた、そのあとからこそが実は、もっとも大事なんですね。記憶に深く染みこませる作業が、各自の中で必要なんです。其処が、足りない! そしてそのことを、わかっていない、ほんとうには「理解」してない生徒が、あまりに多すぎます。

(おいっ、勉強って、もうちいっと、自分でせえ、他人にばかり依存しないで。そんな声が、心のなかからふつふつ湧いてきます。特に、この後半の大事な詰めに関しては)

 たとえ理解が不十分でも、その場だけの暗記だけでなんとかなることは勉強に限らずいくらでもある。これも一つの才能(もし、ほんとうに深く覚えられるなら)で、必ずしも悪いとは言い切れない。ときには必要なことだってあるし、有効な手段ですらある。しかし中学レベルでは、それに偏って勉強していてはいつまでも本物に、つまり実力に結びついた知識には殆どなり得ない。

 理科という科目はご承知にように、数学や英語のような積み重ねの要素が絡み合って、また横の知識が比較的結びついている科目とは違い、4つの分野(生物・地学・化学・物理)に抱合されるものの、その各内容、3つずつの計12の単元は、まあ雑な言い方ですが、一つずつが独立しておりその世界があって、はっきりいってばらばらですね(化学だけが統一性がありますが)。

 それだけにまた魅力と多様な観かたに触れる機会を持てるわけですが、そのことに言及する力はわたしにないので控えるとして、さて、理科をどう攻略すればいいのか? それを問題集の中でどう具現化していけばいいのか、理解を乗り越えたあとの、最も大事な作業をどう詰めていけばいいのか、そのあたりを次回、述べていきます。