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 中学生の学習のしかた by Toppo
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§326 中学生の国語力アップの一方策VOL.3<ノートへの書き方など>

 今回は書写のしかたに関して、すこしでも役に立つ点があればということで、わたしなりのアドバイスを書いてみます。書写の対象は高校入試の国語の文章、説明文、論説文、随筆文、小説文の4つを想定するとします。以下、6つを書いてみました。

・まず写すノートですが、大きさ「A-4サイズ(A罫35行40枚)」の大学ノート(コクヨのキャンパスノート)がいいですね。80ページあるのが普通ですから、 毎日書く必要はまったくないにしても、それで計算しても2ページ使うとして 1ヵ月半ほどの量があります。一般に生徒はB-5サイズのノートを、学校でも 塾でも利用していると思いますが、これは小さくて、窮屈で書写に向いてい ないと思います。次の書き方とも関連しますがゆったり使いたいので、A-4 サイズのものをぜひ利用してみてください。

・書き方ですが、文章はとうぜん縦書きですね。そして1行書けば、中1行を空けてその次の行に文を続けて書いていく(1行飛ばしに書いてゆく)。びっしり詰めて書くのは、書きづらく、字も乱雑になりがち、書いたあとから見ても黒く密集した感じで、いい印象も持ちにくい。それに比べ、行をあけて写していくと、全体のバランスも考えてていねいに書こうとする傾向があり、見栄えもよい。
 
 それ以上に良いのは、1行空いた部分に漢字や語句など修正ができたり、文のすぐ横に波線や棒線を引けて、自分の気に入った箇所や文章の分析にも利用できること。

・新聞のコラム(天声人語など)を上の要領で書写した場合、書く字の大きさと詰め方にも拠りますがまあ平均とすると、1ページ半ぐらい使うことになります。ここでは高校入試の国語の文章ですからまちまち、ページ数も4ページぐらいのものから長ければ10ページにもなるのもなかに出てくるでしょう。

 しかし、それはそれでいいではありませんか。あくまで第一義は、ただ単に文章を写す、それだけをすればいいのですから、たとえば1日に2ページを写すことを自分の目標とすれば、長いと思える文章でも4、5日(or4、5回)進めていけば、ひとつの文章の書写は終わるのです。

 そんなことは馴れてくればなんでもなくなるし、それより段落別けとか、句読点の正しい打ち方とか、正しく文章を写すことにいつも注意して身につけていきたいものです。

・ノートの左側の4、5行を常に残し、空白にしておきたい。この余白部分で、すぐ右側の文章の覚えておきたい漢字の練習や知らない語彙の勉強にあてる。

 ただし、VOL.1で「感想を書くとか、毎日読むとかだと重荷になってしまいますが、ただ「読んで写す」ことならできます。毎日、文章に触れることができます。やること自体簡単なので、続きました。」と、生徒の体験を転載しましたが、重荷になる勉強のしかただけは決してすべきではありませんね。やること自体が簡単であること、これが続けられる秘訣なのですから、はじめのうちはせいぜい漢字の練習ぐらいでじゅうぶんでしょう。それも強制ではなく、本人がしなくちゃならないと思った場合に応じて。

・上からの目線でいえば、書写の勉強にはまだまだ奥行きというかもっと突っ込んだ勉強が可能なのですが、たとえば漢字の読み書きの練習、辞書を引いての語彙力の強化のほかに、筆者の主張を的確に読み取るために、あるいは登場人物の心情や思考を理解するために、文章の要点をまとめるとか、感想を書くとか、文章の流れと構成を分析し箇条書きにまとめるとか、そうしたことも国語力の強力なアップのために実行可能なのですが、これは非常な重荷になるでしょうし、継続することは実際至難かと思われます。それゆえ、お勧めは決してできません。

 マラソンみたいなものかと思います。なんで日本のマラソンランナー(想定しているのは男子陣ですが)が、ケニアやエチオピアのランナーに圧倒的に敵わないかといえば、ご承知のようにその育った環境、酸素の薄い高地の厳しい荒地で幼いときから平気で走ってきた者と日本の平地で走ってきた者との、まあ埋めようがない差がひとつに大きく挙げられるでしょう? 

 ここまで大袈裟に譬えるのもなんですが、書写を黙々とするということは、高地でトレーニングするようなもので、それだけで大きな意味があると思うんですけれどね。他にまだ望むほうが行過ぎた考えとでもいえるでしょうか。問題は、どれだけ持続して続けていけるか、そしてそれがふつうの感覚でできるようになるかだと思います。

・まずは気楽に考えて、とにかくやってみる。どこがゴールともいえないし、目標もあえて決めなくてよい。一応半年くらい続けられれば、たいしたものである。そしてその結果も出てくるだろう。学年と時期にも拠るけれど、毎日は負担に感じるので、週に2回とか3回でもいいね。ただし、春・夏・冬の休み期間は毎日でもできるし、そこは柔軟に取り組む。こんな勉強は、何も頭の冴えた意欲充実した時間にやる必要はなく、たとえば寝る前の20分とか睡眠薬(?)代わりにやってもいいと思うよ。要は、重荷に感じず、いかにコツコツと自分なりに継続してできるか、その視点で決めるのがいい。


 さて、作業進行上のおよそのイメージといいますか、書写にあたってこんなふうに考え、やっていけばいいのではないかといった内容を、参考まで書いてみました。

 こうした勉強は学年にとらわれることなくやれるものです。しかし、強制されてやるべきものでもなく、あくまで本人の自覚と意思のもと取り組むのが基本ですね。

 最後に、高校入試の国語の文章たって、どこから入手すればいいのか、そしてそのなかでどの文章を抜き出して書写すればいいのか、といった問題があるかと思いますので、ご参考まで下の問題集を付記しておきます。
 
・「全国高校入試問題正解の国語編」(旺文社)
 分量はじゅうぶん。説明文、論説文、随筆文、小説文(これはすぐわかる)の区別がしにくい。また字が小さいなど作業の面でしんどいかも。
・「各都道府県の入試過去問(5ヵ年分)」のなかの国語
 確実にやっておきたいが、5年分では足りない。
・「総合的研究問題集 国語読解」(旺文社)<価格1400円>
 よく似た名前でこれより小さい(しかし分厚い)「総合的研究 国語」と間違えないように! 公立・私立と混じっており、市販の問題集ではこれが一番いいか?
・「基礎固め100% 国語 読解編」(公文)
 中1、2,3年用にと各別れて作られているが、内容はH.14年の教科書からの出典が多く、高校入試の国語の視点からはあまり勧められないが・・・。

 ほかにもありますが一長一短で、またどうもピンと来るものはなく省かせていただきます。
・「入試国語の実践演習 by Toppo」(拙著)<すみません、宣伝になります> 系統的にまとめてあって、しかもよい文章の書写の勉強がしやすく、またあいだを置いて再び本格的な入試対策の勉強ができる。しかし、値段面を考えると・・・。