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 中学生の学習のしかた by Toppo
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§285 中2の実力のあり方について <理科と社会を大切に>

 今回は、いま中2である生徒を想定して、すこし書いてみます。

 たとえば3教科の偏差値では65はあるんだけど、5教科になると60ぐらいになってしまう生徒がいる。このケースは、稀ではない。つまり、社会と理科の2教科の偏差値が50すこししかないわけだけど、これでは仮に偏差値65あたりの公立高校(2,3番手かな)を狙うとしたら、ここでは内申点の問題はさておき、実力だけを観るなら、無理であろう。と、指摘すれば、どう捉えるだろうか?――

 なにをそう断定するのか、と不快に感じる人もいらっしゃるでしょう。これからの頑張り次第で、なんとでもなるじゃない、無理なことなんて決してない、と反撥を抱かれる方も多いかもしれません。

 ただし、無理である、というのは「断定」ではなく、無理であろう、と「予測」で書いているのだけど、斯様にあまりよくない響きの言葉というものは、ふだんの会話のなかの言葉ならそのニュアンスも伝わって軽く受けとって貰えても、こうした書き言葉となると使い方が難しく、というか正しく伝わるかどうかは難しく、また誤解を招く可能性大となる。

 あなたの息子は100メートル、10秒で走ることは絶対に無理である、といっても、さほど反感を覚えられないかもしれません。が、あなたの息子(or娘)は上の成績では、将来、東大合格は絶対に無理である、と書けば、どうなるだろうか? 絶対に、とは何事か、やってみなくちゃわからんだろう、と恚る方もおられるかもしれませんが、いやあそこまで考えていないので、なんとも思わない、ととられる方もいるでしょうか。

 ところが、中2のこの時点で、3教科の偏差値では65だけど、5教科になると60ぐらいになる成績では、偏差値65あたりの公立高校を狙うとしたら、実力だけを観るなら、無理であろう、と書けば(絶対に無理である、とは書いていないのですが)、様相はガラリと変わる。容易に手の届く範囲だと思うからである。教育に関する話題は、とかく耳障りのいい、阿諛追従型の考えや言葉は受け入りやすいが、事実を端的に指摘することは難しい面が多々あるといえる。

 さて、では、容易に手の届く範囲なのか?

 まず偏差値の60から65という、あくまで数字上のイメージで判断、たぶん観ているように想われるのですが、それならわたしだってじゅうぶん可能だと考えます。ただし、これは論点がずれています。わたしが指摘したのは、もう一度書きますが次のようなことです。「たとえば3教科の偏差値では65はあるんだけど、5教科になると60ぐらいになってしまう生徒がいる。このケースは、稀ではない。つまり社会と理科の2教科の偏差値が50すこししかないわけだけど、これでは仮に偏差値65あたりの公立高校を狙うとしたら、ここでは内申点の問題はさておき実力だけを観るなら、無理であろう」と、書いたわけです。

 まずひとつ目の問題点は、
 社会と理科の2教科の偏差値が50すこししかない、その実力、中身の実態です。偏差値の50というのは、偏差値がたとえば38しかない生徒にとってはかなり高い目標といえますが、そのような生徒を過去わたしもかなり教えた経験があって、到達の困難さを決して否定するものではありません。しかし、いまは偏差値65あたりの公立高校(準トップ校)を基準にして話していますので、それでいうなら、あくまで「並みの力」なわけです。

 この良くもない悪くもないように見える「並みの力」とは、実感としてわかってもらうために単純化するとどうなるか。中2ですからまだまだ学力テスト(模試)とはいえ基礎・基本のレベルからの出題であり、仮に100個の知識をこれまで習ってきたとして、それがすべて出たとして1個1点、合計100点。平均点が47点としたら、47個の正解率となりますね。なんと半分以上の53個は、わからなかったり、間違ったり、忘れていたりする実力なわけです。並みの実力の本質、正体とは、こういう姿なのです。よって、こんな状態の理科と社会の学力で、偏差値65あたりの公立高校を狙えるのですか?と、指摘しておきたいわけです。

 ふたつ目の問題点。
 いまの成績(偏差値65とします)が、1年後にも同じである保証はなんらありません。常に細かく変動するものです。それはいいとして、3年生になれば、成績(これは定期テストではなく、実力テストを指しています)が上がる生徒もいれば、下がる生徒も当然います。数・英・国の3教科の偏差値が伸びるどころか、夏休みを挟んで逆に下がってしまう生徒が少なからずいるのです。これでは偏差値の60から65へアップという以前の、根底そのものが揺らぎ崩れてしまうことになりかねないでしょう。 

 3年になって理・社の実力を上げるんだと思っているようでは、なかなかうまくそのようにはいきませんよ、と指摘おきたい。1年とすこしの学習量で偏差値が50程度なら、1年先の、2年半前後の学習量になればもっと厳しくなるのは当然で、そのことが果たしてわかっているのかなと思います。この2教科の偏差値を少なくとも60、そして65にどうやって持っていくのか、その方法とか対策を知っているのだろうか、と思います。おそらくこの大半は、塾の指導やその勉強に頼るわけだけど、一般に平均当たりの成績では、他人に依存した勉強をしている限り、1年かかってもさして向上した結果を残すことなく終わる可能性は大きいのです。めきめきその力が向上する生徒というものはごく限られている、という現実を予めよく知っておくべきだと思います。

 三つ目の問題点。
 これは、いまの勉強そのものに問題点があるのではないか、ということです。こう書くと誰しもいっぱい問題点があるのがふつうですが、ここではひとつだけ指摘しておきます。それはすべきこと、具体的にいえば、やらねばならない理科と社会の問題集、教材などで、積み残しや中途半端な勉強のまま終わっているものがないだろうか?ということです。いまがちゃんとしていないで、どうして先になればちゃんとできるのか?!と思います。数・英に較べ、学校でも塾でも接する機会と時間が少ない傾向にあるのが、理科と社会ですから、なおさらきちんと計画通りに励む必要があるのです。果たして大丈夫でしょうか?

 以上、三つの問題点、視点から、「無理であろう」と書きました。物事のみかたは、どの位置、視点に立っているかによって大きく異なるものです。ほとんどの方は、もちろん希望的観測をもって先を観ているわけですが、結果から観た場合、その最終局面は、意志をたいして貫くこともなく平凡な結果になったり、すべきときにじゅうぶんしなかったせいでずるずる成績が推移したり、妥協して志望校をワンランク、ツーランク下げたり、そのような例は枚挙に暇がないものです。

 しかるに、これはひとつの警句なのです。無理であろう、という単なる予測、しかし5人に4人は当て嵌まる、そのなかに入らないよう、いまの勉強の姿と中身をよくよく吟味、検証され、その反省のなかで次に進んでもらたいと思うのです。勉強も真面目によく努力している、その努力と本人の真剣な姿勢に見合った学校にできる限り行ってもらいたいものです。それには5科目全体によく目を配り、怠ることなく万遍なく勉強するのが、まず本筋でしょう。

 次に、もう一例。
 公立トップ高校を志望している生徒の場合。
 英・数・国の3教科の偏差値で68、9はあるんだけど、5教科になると63ぐらになってしまう成績なら、これまた、理科と社会の力が偏差値的に60を切って58前後と推測できますね。その程度の力ではとても受験を突破できるものではないだろう、とまた同じような指摘になりますが、書いておきます。
<注:ここで書いている偏差値は、ネット上の偏差値では72,3に相当します>

 視座を、もうひとつ高いところから述べねばなりませんね。基本的なところは、上で書いた三つの指摘と同じです。
 
 ということで、すでにまったくおかしいということがわかるでしょうか?

 理科と社会はほとんどの生徒の場合、入試でできるとかなりの援護射撃になり、5教科全体を押し上げてその合格可能性を非常に高めるものです。公立トップ校を受験する生徒の場合は、その難易度からみて、それほど難しい問題、差がつく内容は出題されないので、受験生の大半が高得点をとるのがふつうです。まずこの厳しい事実をまだもし知らないなら、ここでしっかり認識し、こころに刻んでおくことがいいでしょう。

 中2の現時点で、「英・数・国の3教科の偏差値は68、9、しかし5教科になると63ぐらになってしまう成績なら、理科と社会の力が偏差値的に60を切って58前後なんだろうが、・・・」と書いたように、理科と社会の2教科が、数・英・国の3教科の偏差値の足を引っ張っていては、ダメなわけです。いいことなんかひとつもありません。むしろ入試では何事が起こるかわからないわけですから(特にそれは、数学に起こる傾向にあります)、その不測の出来事に対して理科と社会の2教科が、その穴を埋める学力をじゅうぶん持っていることが望まれるのです。

 3年になって理・社の実力をたとえば58から68に10上げることは、もちろん可能でしょう。しかし現実、1教科を10上げるのは、想像している以上にたいへんなことです。時間も、気力も、相当要るんですね。仮にわたしがこのゾーンの生徒を教えても、半年はかかる、と思っています。それが2つもあれば、さらにである。

 よくご存知のように、車のハンドルには遊びの余裕があるからまっすぐ走れるのように、もし到達できたとしても、それは理科と社会に関して合格範囲ぎりぎりの実力であり、まだそこには遊びの余裕がない。この余裕の実力が、偏差値でいえば70を超えたもっと高い力が、ほしいのです。それがあれば、上の反復になるけれど、数学(or英語・国語)の万が一の点数の目減りにも対応できるというか、補えるでしょうから。なければ、テストの内容次第で理・社そのものにも響くだろうし、ましてや他の3教科に点数をまわす余裕なんてないのが、公立トップ高の受験です。

 英・数・国の3教科の偏差値もまだ、実は入試用の偏差値ではなく、一般に、この時期の学力テスト(中2)の意図するところは、あくまでいままでに習ってきた範囲の基本レベルの実力確認であり、内容的にもまだやさしい。ですから、英・数・国に関しても、ほんとうの応用レベルが混じった問題のテストとなると、果たしていい偏差値を維持できるのか、そのへんの課題も実はあるので、なおさら理科と社会については意識して頑張ってほしい。

 入試は5教科です。その総合力です。公立トップ校を目指すなら、3教科がよければいいというものではありません。高校ならいざ知らず、中学では5教科全体の実力を磨くべきだし、そして中2のいま、上記の厳しい指摘をひとつの参考に、各科目バランスのいい勉強を進めてほしいと思っています。