E-juku1st.Comの中学数・英問題集
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 中学生の学習のしかた by Toppo
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§30 こんな生徒が伸びる!かな・・・
<学力が伸びる生徒の性格>

 教える側から申せば実は、教えやすい生徒と教えにくい生徒があるんですね。
 ふつうはこのどちらでもない真んなかで、割合的に敢えていえば80%ぐらいに対し、教えやすい生徒、教えにくい生徒は各10%ぐらいになるでしょうか。これはわれながら変な表現ですが、しかしこれから述べる内容のなかに、なにか学習上のヒントになるものが含まれていればさいわいです。

 まず教えにくい生徒の方からいいますと、教えにくい生徒=成績のよくない生徒、という意味ではなく、もちろんこのケースも正直いって多々あるのですが、それよりもむしろ、その生徒の学ぶ姿勢、性格によるところが大きいんですね。

 もうすこし具体的にいいますと、二つのタイプがあります。

 まず一つ目は、比較的成績のいい生徒にもあるのです。俗っぽくいいますと、自惚れタイプです。たとえば、自分は数学ができるとか、英語ができるとか、授業中それが何気に表に出てきて、やさしい事やわかってることなどは気を抜くというか、大事な説明などしている折に、集中力が欠けるときがある生徒です。

「過信すると物事の表面しか見えなくなることがある」ように、これは生きていく上に措いてすべて当て嵌まるかと思いますが、勉強の上に措いても同様です。基本が大切です。わかってることはさらに確認しようとする姿勢が、次の応用力への土台、糧になるわけで、そこまでいかなくても、基本の実力をより強固にすることに繋がります。

 また別の厳しいいい方をすれば、このような生徒は、ほんとうに応用力を必要とする段階、レベルアップした思考力を要する問題になると(中3の入試応用からですね)、簡単に壁にぶつかるというか、力が発揮できないというか、または力そのものが備わっていないことが、しばしば露呈されてしまうんです。

 ですから、そのような生徒の態度、しぐさに触れるとわたしは、本人のためになりませんから即座に矯みます。でもですね、何度注意しても注意した訳を説明しても、どうにも直らない生徒がたまにいるのです。これは教えにくい、と感じます。

 二つ目は、成績とはまったく関係なく叱られると、すぐ拗ねる生徒です。行き過ぎた体罰や躾はもってのほかですが、最近の子供は家庭のなかで両親や、また学校等であまりきつく叱られた経験がないのでしょうか、また甘やかされし過ぎなのでしょうか、その原因、状況をここで堀リ下げる気はありません。

 ただ、勉強をしていくということは、新しいことを次々に学んでいくんですが、そうすんなり生徒はそれらを頭に入れるわけでありません演習のなかで次々にわからないこと、安易なミスが出てきます。この箇所は注意してこうするんだと教えたあと、即座に間違える生徒も愕くほどいるのが実態で、これはまことに厄介なことであります。

 まして積み重ねの科目は、過去に習ったことを踏まえて次に進むわけで、その過去の内容を吃驚するくらい抜けていますから、それを補強しながらとろとろ進むことになります。

 教えるだけなら、ほんと、どれほど楽だろうか! 生徒が習った大事なものをぼとぼと零しながら進むのを別に気にせず、ただ目先の勉強内容だけを理解させ、表面的にわからせるだけなら、大学生の家庭教師でも新米の先生でもじゅうぶんできるでしょう。

 問題は教えたことが、また生徒が学んだことが、如何に生徒の身についたか?!で、すなわち実力として備わっているか!で、これは言うは易し、行なうは難しの現実のなか、ある程度経験と観察を積めば、生徒がここで間違う、またわかった顔をしていても実は本当には理解していないな・・・、などなど観えてくるものであります。

「教え過ぎる」というのもどうかと思いますが、いろいろノウハウやポイントを教えていく作業と、そこで起こるさまざまな問題点が出てくるなかで、基本の勉学姿勢が拙いと、あるいはまた生徒自身のなかに気持ちの面での前向きさがないと、学力向上どころか、勉強そのものを人から学ぶことができない可能性が出てきてしまいます。そのひとつに、上で書いた拗ねる生徒のケースがあるわけです。

 もちろんこれも、あるべき勉強姿勢に指導していくのですが、しかしなかには、どうにも直せない生徒もごく稀にですがいるんですね。これは、教えにくい。まあこれはぼやきに属する内容にしても、この種の躾、勉学姿勢は、家庭や学校で、基本的に養っていて欲しいとつよく思いますよ。理想をいってるのではなく、ごく普通の、当たり前のことを申し上げているに過ぎません。

 では次に、正反対の、教えやすい生徒についてはどうでしょうか? 今回のテーマである「こんな生徒が伸びる!かな・・・<学力が伸びる生徒の性格>」に深く関わることといえます。

 すでに書いた、教えにくい生徒の姿勢、性格の逆、と考えればいいのかもしれません。生徒A(女子)と生徒B(男子)の例を、すこしだけご紹介します。
 
 生徒Aは中3になってから入塾してきました。入塾テストの成績はそりゃあヒドイもので、英・数・国の3教科、どれをとってもまともなものはなく、中1、2の基礎が、例によってかなり入っていない。偏差値でいえば、いまから想い出すに35ぐらいではなかっただろうか・・・。うーん、とわたしは深く深く唸りました。この3学年の生徒たちは中1よりこつこつ鍛え上げたというか、最初の成績からはかなり上がり、一番できのわるい生徒でも偏差値50までは来ており、上は68(ネット儒の偏差値でいえば72くらい)、平均にして60ぐらいはありました。

 クラス別けするほど大きな塾ではないので、今からそのなかに入ってやっていけるだろうか? この生徒にかかりっきりになると、全体が進まず、全体を優先するとこの生徒Aは一人取り残される。まあ、これは小さな塾ならどこでも抱えてる問題ですが、悩みながらもそのあたりを含め、お母さんと生徒に説明しました。しかし、それでもかまわない、とにかく公立高校になんとしても入りたい、と真剣にまた必死に訴えてきます。

「君にだけかかずらってるわけにはいかん、歯を食い縛ってついて来い、人が30分でできるところを1時間かけてやること。暗記しろ、という問題、テストは、必ず頑張ること!」など、わたしはその女生徒と母親に説明しました。

 最初は戸惑いつつも、簡単な暗記テストで、他の生徒が涼しい顔して90点以上とるところを、70点ぐらいとるのが、やっと。その生徒がじゅうぶん努力してるのはわかりつつも、「なんで、70点なんだ、もっと時間かけて覚えんかっ!」と、厳しいわたしの言葉が飛びました。授業中も当然、みんなより注意されることが多い。叱ったり、突き放したり、無理にみんなのペースに合わせたり。でも、それにもめげず、彼女はついてきます。

 そして、いつ頃からだっただろうか、他の塾生と同じ点数がとれるようになったのは。でも、私はホメめない。ホメて木に登らすことはできても、山に自力で登らすことはできません。この方針がいいとは決して思っていませんが、とにかく自分の足で歩け、汗水垂らすのは当たり前だ、と考えている。多少同じ問題の暗記テストができたとしても、それが即、実力に繋がらないことは、うんざりするほどわかっている。 

 でもそんな厳しい指導にもかかわらず、生徒Aは誰よりも早く塾に来て、勉強道具を机の上に置きました。静かに、地道に、コツコツ勉強しようとするその姿は、暑い夏が過ぎ、秋になる頃、ようやく報われてきました。教えたことの7割ぐらいが身につき出した、とわたし感じる。偏差値も徐々に向上し始め、翌春を迎える頃は、希望する公立高校(偏差値48、ネット上では53)に、無事合格することができました。

 注意されたことを素直に聞く。どんなに叱られてもくさらない。与えられた課題は手を抜くことなく、真面目にする。別段、特殊なことではないけれど、これを無理なく実行できる生徒というのは、すくないですよ。最初の2,3ヶ月は本人もわたしも、ずいぶん気骨が折れたけれど、その後は本人の性格もあって、大いに「教えやすい生徒」であったと断言できます。

 もうひとり、生徒B(男子)の場合はどうだろうか。中1からの入塾でしたが、当初の偏差値は48。できるわけでもなく、できないこともない、ごくふつうの学力の生徒でした。中2では57、8ぐらいの偏差値であったか。しかし、中3の2学期には最高70まで行きました。平均でも67ぐらい、調査書(内申)が今いち振るわず(実技4科目が低い)、学区内のトップ高(68)<注;ネット上の偏差値では72>には行けなかったけれど、それでも準トップ高(65)に進学しました。

 この生徒は3年間で、偏差値20アップしたわけですが、その理由はなんだったのだろうか?

 一般的理由――生徒自身の絶え間ない努力、塾との相性のよさ、使用教材のよさ(ここで宣伝、すみません)――の他に、見過ごしやすいのですが、生徒自身の性格によるところが、ひとつの大切な要因であったと考えてます。
 
 まず何より、性格的に屈折していない、素直そのものです。(わたしなんか、屈折しまくって、ほどいても元に戻りませんが。そんなことはどうでもいい。) これは勉学に措いて、すこぶる大切かと思います。生徒Aもこの要素をしっかり持っていました。勉強していくということは、ただ新しい知識、問題とその解法を習得するだけではなく、同時にその周りにあるもの――覚え方や注意点、テクニック、学習法などを、教わったり、真似したりするものでしょう。

 ふつうの生徒は、それらをなるほどとその場では感心したり納得したりするものの、宿題以外はなかなか実行しないものです。けれども生徒Bは、それらができました。そう、思っています。
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 上記二人の生徒は、偏差値で15から20アップしたのですが、その半分は生徒自身の努力、そしての残り半分はわたしが作成した問題集によるものだと思っています。
 これをお読みいただいている方にも、ぜひ問題集を活用されて「実力」を上げてほしいと思っています。 クリック→中学オリジナル各問題集